マーケット
11/22 15:15
38,283.85
+257.68
44,296.51
+888.04
暗号資産
FISCO BTC Index
11/24 15:23:42
15,197,975
フィスコポイント
保有フィスコポイント数
  
今月フィスコポイント数
  

為替コラム:上海株のチャートに見る中国の危うさ

2016/1/25 11:37 FISCO
*11:37JST 為替コラム:上海株のチャートに見る中国の危うさ 金融市場を日々ウォッチしていると、「これでいいのかな」と思わずにいられない時があります。中国経済の実態があまりよく把握されていないにもかかわらず、世界経済の牽引役としての期待があまりにも大きすぎるのではないか、という不安です。年初から続く混乱により、そう感じる機会はますます増えました。 最も象徴的だった1月19日の取引を振り返ってみましょう。この日は午前11時に中国の国内総生産(GDP)と小売り売上高、鉱工業生産と重要指標が同時に発表されました。内容は、いずれも前回実績を下振れました。特に、GDPはほぼ予想の範囲内だったものの、25年ぶりの低水準となったことが嫌気され、上海総合指数は下落。日経平均株価も急反落したことから、ドル・円は大きく値を下げました。東京市場は午後になっても反転せず、軟調地合いが続きました。 しかし、ここからムードは一変します。上海株は後場寄り直後から急反発。さらに時間を追うごとに上げ幅を拡大させます。大引けに向けて上げ幅を次第に拡大していく上海株のチャートをみれば、当局が人為的に操作しているのは明らかです。このまま高値引けのような上昇基調で取引を終えました。 上海株の上昇を好感し、欧州株式市場は全面高になるとリスク先行的な円売りが強まり、主要通貨は上昇。続く米国市場ではさらにこの流れが続いて堅調となり、ドル・円は米国取引時間帯には118円を回復しました。上海株の後場の上昇は、GDPの悪化による中国経済の減速懸念を一時的にかき消してしまいました。めでたし、めでたし、大団円。でも、それで良かったのでしょうか。 もちろん、市場が混乱しているのに、中国の当局者が「操作」をせずに指をくわえて見ていればいいのかといえば、もちろんそうではありません。問題は、世界経済が中国頼みになっている現状です。原油市場も、本来は石油輸出国機構(OPEC)の領域ですが、「中国経済の減速懸念」によりエネルギー消費国の需要が落ち込むとの観測から、最近では中国が原油価格の下落要因にまでなっています。 中国の経済成長は7%近くもあり、主要先進国と比べて圧倒的に高いのだから心配する必要はない、という意見がありそうです。しかし、中国の経済統計の信ぴょう性を考えると、そうは言えないはずです。例えば、今回発表された「GDP成長率6.8%」という数字をどう読んだらいいのでしょうか。「中国政府が目指す成長率7%に“届きませんでした”というサインだ。つまり、3%や4%という可能性はある」と、邦銀のある外為ディーラーは指摘しています。いくら広大な国土だからといっても、あまりに大陸的すぎます。