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ダイナムジャパンHD Research Memo(10):大手による寡占化が一段と進行、シェア拡大の好機に

2023/7/5 16:30 FISCO
*16:30JST ダイナムジャパンHD Research Memo(10):大手による寡占化が一段と進行、シェア拡大の好機に ■ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>の今後の成長戦略 1. 市場動向 パチンコ市場は長期縮小トレンドが続いている。(公財)日本生産性本部がまとめた「レジャー白書2022」によれば、2021年のパチンコ・パチスロ参加人口は、コロナ禍の影響もあって720万人、市場規模(貸玉料)で14.6兆円となっており、2002年(2,170万人、30.4兆円)と比較すると参加人口で3割強、市場規模で5割弱の規模にまで落ち込んだ。 こうした状況を反映して、パチンコ・パチスロホールの店舗数も減少傾向を辿ってきたが、コロナ禍以降は経営状況が一段と厳しくなり、中小ホールを中心に閉店数も増えてきた。2022年末の店舗数は前年末比9.4%減の7,665店と20年前の水準と比較して5割弱の水準まで落ち込んだ※。遊技機の設置台数についてもパチンコ機が前年末比5.7%減の2,205千台、パチスロ機が同7.9%減の1,358千台といずれも減少傾向が続いている。 ※出所:警察庁「令和4年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」 経済産業省の統計によれば、パチンコホールの売上高はコロナ禍で休業を強いられた2020年度第1四半期(4月~6月)を底に、第2四半期以降はコロナ禍前の水準の7割台まで回復したが、断続的に感染拡大の波が到来したこともあり、完全回復するところまでには至っていない。ただ、前述のとおりスマスロの導入開始によって若中年層を中心にホールへの客足が戻り始めており、今後に向けてはやや明るい兆しが見え始めているといった状況にある。ただ、売上回復の鍵を握るスマスロを導入する資金力のない企業にとっては厳しい状況に変わりない。このため、2023年に入ってからも年間800~900店舗の閉店ペースが続いている。 このため、今後は経営体力のある大手企業の寡占化がより一層進むものと予想される。実際、店舗数上位5社の市場占有率は2017年末の約10%から2022年末は約14%に上昇した。業界における1店舗当たりの遊技機設置台数の推移を見ると、2017年末時点の419台から2022年末は465台と年々上昇傾向となっており、店舗の大型化が進んでいることからも業界の寡占化が進んでいることが推察される。ちなみに、ダイナムグループの2023年3月末時点における1店舗当たり設置台数は477台と業界平均をやや上回っている。 今回のスマート遊技機の導入によって市場の活性化が期待されるが、業界にとっては1992年に導入されたCR機(プリペイドカード対応機種の導入)以来の大変革となる。当時はCR機の導入によって市場が活性化した経緯があるだけに、業界の期待度も大きい。ただ、現在は様々な娯楽があり、インターネットの普及によってソーシャルゲームなど当時と市場環境が異なるのも事実で、スマート遊技機の導入によってどれだけ市場が活性化するかは未知数な部分でもある。最終的には、顧客を惹きつけるだけの魅力ある機種をメーカーが開発できるかどうか、ホール側にとってはホスピタリティも含めたサービス品質の維持向上を図り、リピート客をいかに増やすことができるかが成長のカギを握る。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《SI》