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カルナバイオ Research Memo(3):スクリーニング・プロファイリングのノウハウと高品質なキナーゼ作製技術

2020/5/28 15:23 FISCO
*15:23JST カルナバイオ Research Memo(3):スクリーニング・プロファイリングのノウハウと高品質なキナーゼ作製技術 ■カルナバイオサイエンス<4572>の会社概要 3. 創薬研究プロセス キナーゼ阻害薬の創薬研究では、まず創薬研究を行う対象疾患の標的となるキナーゼの特定から始まる。そして、この特定のキナーゼの働きを阻害する働きを持つヒット化合物を多数の化合物の中からスクリーニングして選び出す。このヒット化合物の中からさらに薬の候補となりそうな化合物を数種類選び出し、それらをもとにしてさらに類似化合物を合成し、キナーゼの選択性向上や副作用の低減が進むよう分子構造の「最適化」を行っていく。例えば、標的Aというキナーゼの働きが疾患原因ということであれば、Aのみを阻害する化合物であることが副作用の少ない薬ということになる。違う種類のキナーゼを阻害してしまうと、他の正常な機能が働かなくなり、副作用となって身体の変化として現れるためだ。このように、開発する化合物がどのキナーゼの働きを抑制しているのか/しないのかを判定する試験を「プロファイリング」と呼んでいる。こうした研究プロセスを経て最適化された化合物の中から、前臨床試験へ進む医薬品候補化合物を見つけ出していく。 こうした一連のキナーゼ阻害薬の研究プロセスの中で重要となるのは、スクリーニング及びプロファイリングで用いられる化合物の評価システム(アッセイ系)にある。このアッセイ系において用いるキナーゼタンパク質の品質や測定システムの精度、また、結果の再現性が高くなければ、医薬品候補化合物を選び出すことが困難となり、研究開発効率も低下してしまうためだ。同社ではこうしたスクリーニングやプロファイリングのノウハウ及び高品質なキナーゼの作製技術を持つことが強みとなっている。 同社が製造販売するキナーゼの種類は、2019年12月末時点で360種類442製品となり、キナーゼの品ぞろえでは世界トップクラスとなっている。ちなみに、ヒトの細胞内には518種類のキナーゼが存在すると言われているので約7割をカバーしていることになる。残り3割は体内での役割が明らかとなっていないものがほとんどで、薬の標的と成り得るキナーゼの品ぞろえとしてはほぼ網羅していると言える。キナーゼの作製やスクリーニングサービスなどを行う競合企業としては、米サーモフィッシャー・サイエンティフィックや米リアクション・バイオロジーなどがある。 創薬支援事業で得た収益等で創薬の開発を行い、ライセンスアウトで大きな果実を得るビジネスモデル 4. 事業内容 同社グループは同社と連結子会社1社(CarnaBio USA, Inc.)で構成され、事業セグメントとしては「創薬事業」及び「創薬支援事業」の2つに分けられている。キナーゼの作製技術やキナーゼ阻害薬を研究するに当たって必要となるプロファイリング・スクリーニングなどのキナーゼのアッセイ系のノウハウ並びに、キナーゼ阻害活性を有する独自の化合物ライブラリーを構築するノウハウなどが同社の基盤技術となっている。同社はこれらの創薬基盤技術を生かして創薬支援事業で安定した収益を獲得し、獲得資金を創薬の研究開発に投入し、開発品のライセンスアウトを行うことによって大きな成長とリターンを目指すビジネスモデルとなっている。 (1) 創薬事業 創薬事業は、同社が有するキナーゼ阻害薬に関する創薬基盤技術がベースとなる。高品質なキナーゼを製造する技術や高度なプロファイリング・スクリーニング技術によって、効率的に医薬品候補となる化合物を探索できることに加え、自社内に本格的な化学合成ラボを有していることから、随時化合物の最適化ができる点が、他社との差別化要因となっている。同社の創薬パイプラインは、そのすべてが自社単独ないしはアカデミアなどとの共同研究から生み出されたものとなっており、独自性が高い。これまでに創り出してきたキナーゼ阻害活性を有する独自の化合物ライブラリーを有しているだけでなく、in-vitro(試験管内)、in-vivo(動物モデル)の評価を行う人材・設備等も整備している。また、2018年12月期には研究開発本部に臨床開発部を創設し、自社で臨床試験を実施するための体制を構築し始めている。現在は本社に3名、米国に新たに開設したオフィスに2名の体制となっているが、臨床開発のノウハウを持つ人材をもう少し増やしていく方針となっている。 創薬事業の経営方針としては、いまだ画期的な治療法が確立していないアンメット・メディカル・ニーズの強い疾患を中心に選定、特にがんや炎症性免疫疾患を重点領域として少数精鋭の研究体制により、ファースト・イン・クラス※1とベスト・イン・クラス※2のパイプライン構築を進めている。また、一部のパイプラインを除いて自社で臨床試験の前期第2相まで開発を進め、導出価値を最大化した上でライセンスアウトを行う方針としている。一部のパイプラインに関しては前臨床段階での早期導出も戦略的に進めていく。 ※1 ある疾患に対する治療薬で、新規な標的や作用機序を持ち、従来の治療体系を大幅に変えるような独創的医薬品(画期的新薬)を指す。 ※2 ある疾患に対する治療薬のうち、新規の作用機序を有するわけではないが、既存の標的・作用機序に新たな価値を付与することで他の既存薬に対して明確な優位性を持つ薬を指す。 (2) 創薬支援事業 創薬支援事業とは、同社のキナーゼに関する創薬基盤技術をベースに、製薬企業や大学などの研究機関で実施される創薬研究を支援するための製品・サービスを販売・提供する事業となる。製品としては、キナーゼ阻害薬の研究で用いられるキナーゼタンパク質、キナーゼのアッセイキット※を販売している。また、受託サービスとして製薬企業などが創り出した薬の素となる化合物のプロファイリング及びスクリーニングなどの実施や、顧客からの特注によるアッセイ開発、並びに同社及び同社の協力会社が開発したセルベースアッセイサービスの提供などを行っている。セルベースアッセイとは、キナーゼ阻害薬の研究が深化するなかで細胞レベルでの化合物評価をしたいという顧客ニーズに対応するサービスである。 ※アッセイとは測定試験の総称で、被験化合物が標的とするキナーゼの働きをどの程度抑えるのか、また抑えないのかを調べること(キナーゼ活性測定)を指し、調べるために必要なキナーゼや緩衝液などをキットにして販売している。 同事業セグメントの売上高の大半は、キナーゼタンパク質の販売やアッセイ開発、スクリーニング・プロファイリング受託サービスで占められる。同受託サービスの主要顧客として、国内では小野薬品工業<4528>、海外では米ギリアドなどが挙げられる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《YM》
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1717年創業の医薬品メーカー。抗悪性腫瘍剤「オプジーボ点滴静注」、慢性腎臓病治療剤「フォシーガ錠」などが主要製品。新薬開発に特化。配当性向40%目途。がん・免疫疾患、中枢神経疾患などが重点研究領域。 記:2024/08/26
4572 東証グロース
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時価総額 5,598百万円
キナーゼ阻害薬等の研究開発を行うバイオベンチャー。がん、免疫炎症疾患が重点領域。キナーゼタンパク質の販売、受託サービス等を手掛ける創薬支援事業も。次世代非共有結合型BTK阻害剤AS-1763に注力。 記:2024/08/06