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シュッピン Research Memo(2):全事業が増収増益となり、大幅増益で着地。利益の進捗率は70%超

2020/1/9 15:12 FISCO
*15:12JST シュッピン Research Memo(2):全事業が増収増益となり、大幅増益で着地。利益の進捗率は70%超 ■業績の動向 1. 2020年3月期第2四半期決算の概要 (1) 決算の概況 シュッピン<3179>の2020年3月期第2四半期決算は、売上高17,852百万円(前年同期比9.1%増)、営業利益1,124百万円(同64.9%増)、経常利益1,118百万円(同64.7%増)、四半期純利益758百万円(同64.0%増)と増収・大幅増益で着地した。 期初予想との比較では、売上高は若干の未達となったものの、営業利益以下の各利益項目はいずれも期初予想を大幅に上回り、通期予想に対する進捗率は70%を超えた。 売上高は前年同期比9.1%の増収となった。詳細は後述するが4つの事業部門すべてで増収となった。新品についてはカメラ、時計とも若干弱かったが、いずれも中古品は好調に推移した。計画に対して未達となった理由は、消費税率引き上げ前の駆け込み需要の読み違いだ。計画では8月から9月にかけての盛り上がりを想定していたが、8月は例年と同水準で推移し、9月も駆け込み需要が明確に出てきたのは月半ば過ぎてからとなり、計画を下回った。 利益面では、売上総利益が前年同期比18.8%(501百万円)の増益となった。増収効果に加え、売上総利益率が前年同期の16.3%から2020年3月期第2四半期は17.8%に改善したことが寄与した。売上総利益率の改善は中古品の買取りが順調だったことと、販売において中古品比率が上昇したことが主因だ。販管費は同3.0%(59百万円)増の2,051百万円となった。前年同期比3.0%増と売上高のそれを大きく下回ったことで、販管費率は11.5%と、前年同期の12.2%から0.7%ポイント低下した。詳細は後述するが、同社の特徴であるEC特化型モデルは固定費が軽いため、売上高の増加ペースに対して販管費の増加ペースは緩やかになるという特色が素直に出たことが要因だ。これらの結果、営業利益は同64.9%(442百万円)の大幅増益となった。 2020年3月期第2四半期決算は、数値面では全事業で増収増益(自転車事業は黒字転換)となったことや、売上総利益率が順調に改善したこと、また販管費率が過去最低水準にまで低下したことなど、全般的に改善が見られた好決算だったと言える。 内容面を掘り下げると、同社が進めてきたOne-to-Oneマーケティングが軌道に乗ってきたことが、まず2020年3月期第2四半期の進捗事項として挙げられる。これに加えて、カメラ事業で進めてきたCGMマーケティングの強化を目的に7月にクロスメディア・プロジェクトをスタートさせたことも重要なステップだ。同社が目指すのは売上高の拡大につながる好循環を確立することであるが、それが2020年3月期第2四半期においても着実に歩みを進めていることが確認できた。この点が2020年3月期第2四半期決算の最大の注目点と弊社では考えている。とりわけカメラにおいては売上拡大のプラットフォームが一応の完成を見たと言ってよく、今後はカメラでの成功事例を他の商材へ拡張適用して全社ベースの収益の一段の押し上げを目指す段階へと移りつつある。 (2) 販管費率の状況 前述のように2020年3月期第2四半期の販管費は前年同期比3.0%(59百万円)増の2,051百万円となった。内訳は人件費と業務委託費の増加が目立つ以外は、前年同期から横ばいもしくは減少している。人件費の増加は、業績の拡大に伴う賞与の増加や人員の増加が要因で、収益成長に伴う自然な増加と言えるものだ。業務委託費は同社が進めるAIMDの新システムの開発費などに伴うものとみられる。 一方、減少項目では支払手数料の減少が注目される。これは同社がZホールディングス<4689>や楽天<4755>といったECモールの支店サイトを通じた販売にかかる費用だ。ECモール販売高に比例して支払手数料も増減する。同社は現在、本店である自社サイトを通じた販売の拡大に注力している。その目的は、同社が強化してきた商品画像や動画の充実などによって、自社サイトの情報量がECモール支店のそれに比べてはるかにリッチな内容となっており、それがコンバーション率上昇(すなわち販売の増加)につながると期待されるためだ。One-to-Oneマーケティングにしても、自社サイトへの誘導を目的としている。2020年3月期第2四半期において、売上高が順調に増加したなかで支払手数料が顕著に減少したことは、自社サイトでの販売が伸長したことを表している。 ただし、同社はECモール経由の販売をゼロにするようなことは考えていない。ECモールには集客力があるのは事実であり、また、同社の知名度の維持向上やブランディングの観点からも大手ECモールを避けて通ることは得策とは言えない。同社は支払手数料の売上構成比についてまだまだ下げる余地はあるとしつつも、十分許容可能なレンジに入ってきたと認識している。 販管費率は11.5%まで低下したが、この点も極めて良好な数値と言える。ECの事業モデルは固定費負担が小さく、売上高が拡大すると、販管費率が急速に低下する収益構造となっている。実際にはシステム開発投資や前述の支払手数料などもあるため、リニア(直線状)に下がっていくわけではないが、長期的傾向としては順調に右肩下がりとなっている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之) 《ST》
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