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サイネックス Research Memo(5):既存事業の成長と、サービスモデル事業の転換で中長期成長を目指す

2019/1/7 15:25 FISCO
*15:25JST サイネックス Research Memo(5):既存事業の成長と、サービスモデル事業の転換で中長期成長を目指す ■中長期の成長戦略と進捗状況 3. Web・ソリューション事業の成長戦略と進捗状況 サイネックス<2376>はWeb・ソリューション事業の中で10を超える事業を展開している。これらの中で、現状収益モデルがある事業は5、6事業とみられ、その中で『わが街ふるさと納税』、『わが街とくさんネット』、トラベル事業の3事業で同事業セグメントの収益のほとんどを稼ぎ出していると弊社では推定している。 一方、『わが街ホームページ』と『わが街アプリ』の自治体支援クラウドサービスや、デジタルサイネージ事業の『わが街NAVI』は、現状は収益モデルがなく、自治体への“サービス”として事業を行っている。現在は契約自治体を積み上げている最中であり、将来的には収益モデルを導入して収益事業化する可能性があると弊社ではみている。 また、『わが街集客アプリ』のように、新たに収益事業としてスタートしたものの、まだ本格的に立ち上がっていないものもある。 このように、Web・ソリューション事業は、潜在的な収益獲得機会が数多く残されており、成長余地の高い事業分野と言うことができる。問題はスピード感だが、同社は地方創生への貢献を重視するスタンスを維持しながら、既存事業の成長や新規事業の収益化、サービス事業から収益事業への転換、などを段階的に進めていくものと弊社では推測している。 (1) 『わが街ふるさと納税』事業 『わが街ふるさと納税』はふるさと納税支援事業で、自治体がふるさと納税による収入(厳密には納税者からの「寄附金」)を獲得するためのプロモーション活動や、寄附金受付に関する事務業務の代行、寄附金に対する返礼品の管理・配送業務、及び決済業務など、ふるさと納税に関する一連の業務を一括して請け負うものだ。2014年7月に茨城県笠間市と契約したのを皮切りに、2018年9月末時点で109の自治体と支援契約を締結している。同種のサービスを手掛ける企業はほかにもあり、同社は市場シェア(契約自治体数ベース)では3位にあるとみられる。 収益モデルは完全成果型報酬制だ。自治体側の初期費用はゼロ円で、ふるさと納税制度の税収実績に応じて一部が報酬として支払われることになるため、自治体の財布からの持ち出しは一切ない。自治体との共存共栄という基本姿勢を明確にした事業モデルで、経営方針と軌を一にしていると言える。 弊社では同社の『わが街ふるさと納税』事業はWeb・ソリューション事業セグメントの中の中核事業として、収益を支えているとみているが、今後の成長性の点でも高いポテンシャルを有していると考えている。ポイントは収益モデルがふるさと納税の納税額に応じた成功報酬型である点にある。仮に契約自治体数が現状維持であっても納税額が増加すれば同社の収入も増加することになる。したがって、同社にとって最も重要なことは、契約する自治体に対してどのようなアドバイスを行って税収増を支援できるかであり、自治体数の市場シェアはさほど大きな意味を持たないと弊社では考えている。同業他社の存在は、ふるさと納税制度の普及拡大につながり同社も間接的に恩恵を受け得るという意味で、競合関係ではなく協業関係と言えるだろう。 ふるさと納税制度をめぐっては、過剰な返礼品の自粛や地場産品による返礼を求める通知や要請が総務省から繰り返し出されている。この点はふるさと納税の動きに対するブレーキにはならないと弊社では考えている。 (2) 自治体支援クラウドサービス事業 自治体向けのクラウドサービスは、自治体のホームページ作成と運用の支援を行う『わが街ホームページ』とアプリ作成を行う『わが街アプリ』の2つのサービスから成る。 『わが街ホームページ』では、ホームページの作成とその後のコンテンツマネジメント(内容の保守管理、更新等)が直感的・簡単にできるシステムを提供している。『わが街アプリ』はスマートフォンでの利用を前提に、子育て、防災、観光、ゴミ出しなどの領域に関して地域住民の生活支援を図る、自治体公式アプリの作成・運営を支援するサービスだ。保育園の空き情報の検索・通知や、電子母子手帳などが具体的な例として挙げられる。 自治体クラウドサービスは『わが街ホームページ』、『わが街アプリ』ともに現状は収益事業化していないが、将来的には収益事業化していくと考えられる。『わが街アプリ』の場合、収益モデルは『わが街事典』と同じく広告収入モデルになると考えられる。“三方よし”を、IT技術を活用することで実現しながら収益につなげる構図だ。弊社では自治体数がある程度積み上がって事業が軌道に乗ったタイミングで収益化に移行するものとみている。 弊社では『わが街アプリ』などの自治体支援クラウドサービスは成長ポテンシャルが高いと考えている。特に『わが街アプリ』は、ジャンルを問わずニーズや有用性の高いものを自由に制作でき、いざ制作された場合には市民の活用度は高くなると想定される。活用度が高いということは広告価値の上昇、ひいては同社の収益拡大にもつながっていくと弊社では期待している。 (3) トラベル事業の成長戦略 同社は連結子会社のサイネックスネットワークを通じて旅行事業を展開している。『わが街トラベル』のポータルサイトを通じて、地方の隠れた魅力を体験できる特色ある旅行商品を提供している。そうしたなか、同社はインバウンド需要を取り込むべく、2018年2月に第1種旅行業登録を取得した。第1種旅行業登録をすると、国内・海外の募集型企画旅行、受注型企画旅行、手配旅行、他社募集型企画旅行代売など、すべての旅行契約を取扱うことが可能となる。 同社はインバウンド客の取り込みに当たっては、海外に支店を置くのではなく、インターネットを活用して集客を行う計画だ。また、外国人旅行者の地方への送客や体験型旅行の企画を強化し、地方の観光振興や地域経済の活性化への貢献を狙っている。 トラベル事業の成長戦略では同社が有する全国47都道府県で培ったネットワークや、『わが街とくさんネット』や自治体支援クラウドサービスなどの他の事業とのシナジー効果が重要な役割を果たすのではないかと弊社ではみている。各地方に対する同社の知見を商品開発に生かすということだ。 収益拡大のタイミングの点では、2019年にはラグビーのワールドカップや2020年の東京オリンピック、2025年の大阪万博などのイベントをうまく活用することで、国内旅行とインバウンド旅行の双方で収益機会が得られ、成長が加速する可能性があると弊社ではみている。 2019年3月期第2四半期は、前述のように天候不順や自然災害の影響で旅行商品の販売が前年同期比減収となり、Web・ソリューション事業セグメントの業績の足を引っ張った。しかしながら、不振の要因が構造的なものではないため、過度な懸念は不要だと弊社は考えている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之) 《HN》
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地域行政情報誌「わが街事典」の発行等を行う情報メディア事業、DMソリューション等のロジスティクス事業が柱。DXサポート事業、ヘルスケア事業等も。デジタルプラットフォームアプリ「わが街Pay」の提供開始。 記:2024/09/01