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日本トリム Research Memo(3):整水器事業は、回復基調から成長路線へ(1)
2018/12/10 15:03
FISCO
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*15:03JST 日本トリム Research Memo(3):整水器事業は、回復基調から成長路線へ(1) ■日本トリム<
6788
>の事業概要 家庭用医療機器メーカーからメディカルカンパニーへの移行という大きな目標を掲げている。飲用整水器をコア事業に、電解水素水技術を医療や農業分野に応用している。海外では、アジアにおいて飲用事業を展開しているが、2019年3月期から中国の病院運営事業が加わった。先進医療分野では、再生医療、生殖医療関連事業を展開し、企業価値の向上に努めている。 1. ウォーターヘルスケア事業 (1) 飲用事業 a) マスコミによる報道の影響 水素水ブームに乗り、多くの企業が市場に参入したため、市販の容器入り水素水と電解水素水整水器の区別がつかず、混同するきらいがある。アルミパウチ、アルミボトル、ペットボトルに詰められたバブリング水素水は、いわゆる健康食品であり、効能について言及することは許されていない。「健康食品」には法律上の定義がなく、届出制・自己認証制・個別許可制などの保健機能食品とも分けられている。一方、水素水生成器には、スティック型、携帯型、据置型、蛇口直結型があり、電気分解方式や水素発生剤により水素を生成する。同社が手掛ける電解水素水整水器は、医薬品医療機器等法(旧薬事法)のもと、胃腸症状改善の効果が認められている家庭用管理医療機器である。国から効果が認められている水処理器は「整水器」のみとなる。同社は、その整水器のトップメーカーであり、一般財団法人 機能水研究振興財団の理事になっている。 2016年6月から、新聞などにより水素水に対するネガティブ報道が始まった。消費者からの問い合わせが増えたとして、2016年12月に独立行政法人 国民生活センターから水素水に関する報告書が出された。同センターは、市場でシェアの高い容器入り水素水10銘柄、水素水整水器9銘柄の合計19銘柄について、溶存水素量を測定し、その表示との差異について調べた。整水器では、トップメーカーの同社と第2位のパナソニック<
6752
>が対象となった。両社とも表示について、問題ない旨が報告された。その後、消費者庁からダイエット効果などの不当表示により清涼飲料水などいわゆる健康食品の水素水商品の販売会社3社に対し行政処分が下され、水素水ブーム全体に水を差した。 厚生労働省の薬事工業生産動態統計による連続式電解水整水器の年間生産台数は、2014年に216千台、前年比34.1%の急成長を遂げたが、その後3年連続して減少した。しかし、疑わしい業者が淘汰されたことによる影響もある。現状、同社の業績は回復から成長軌道へと展開しており、水素に関する研究の進展などから、今後、市場は急速に回復していくものと思われる。 b) 販売チャネル別の動向 2019年3月期第2四半期における同社の整水器売上高(4,305百万円)の販売チャネル別内訳は、直販のDS(ダイレクトセールス)事業部が56.0%、既存顧客からの紹介によるHS(ホームセールス)事業部が23.0%、百貨店やスポーツクラブなどの催事場で販売するSS(ストアセールス)事業部が8.2%、大手電機メーカーなどに供給する卸・OEMが9.2%、業務部(アフター)が3.6%であった。 直販は、企業などに出向き、社員向けにセミナーを開いて販売する職域販売がメインになる。販売拠点を順次拡大してきており、現在は全国28拠点のネットワークを構築している。1人当たりの販売台数や1セミナー当たりの販売台数等の販売効率を重視している。 直販の主力であるDS事業部は、ネガティブ報道の影響が2018年3月期上期まで尾を引いたが、健康経営を切り口としたBtoBの営業活動等に注力し、2018年3月期下期より販売効率は反転、回復基調となった。さらに2018年3月期下期に投入した新製品により販売単価が上がったことも奏功し、成長路線への移行も見えてきた。一方、卸・OEMは、まだ回復の途上であるが、新規大口取引契約の見込みも複数件出てきている。 c) 電解水素水整水器「トリムイオン GRACE」の発売 2017年9月に、3年半ぶりとなる電解水素水整水器の新製品「トリムイオン GRACE」を発売した。同製品は、医療現場の技術で作られた電解システムを搭載しており、最大水素濃度1,300ppbを実現した。従来製品の「トリムイオン HYPER」の最大濃度は300ppb程度であるから約4倍となる。同社は、中性のまま水素濃度を上げる固体高分子膜の新型電解槽にアルカリ性にする従来型電解槽を組み合わせた“ハイブリッドダブル電解システム”を搭載することで、水素濃度が高く、体にやさしい電解水素水を作ることに成功した。「トリムイオン HYPER」でも十分な水素濃度があるが、これまでの研究で水素濃度の高い方が細胞内活性酸素消去能力が強いことが報告されている。同業他社から同等の製品は、いまだ登場していない。 本体のメーカー希望小売価格は、「トリムイオン HYPER」の164,000円に対し、「トリムイオン GRACE」は248,000円と高額になる。価格差から従来品が主力製品であり続けると想定していたが、新製品は発売当初に直販の5割以上を占め、直近では6割程度まで上昇し、ユーザーからの圧倒的な支持を得ている。新製品は、金型の償却負担や新たな部品を使用するため従来品に比べ製造原価率が高いが、増産効果によりコストダウンが進む見込みだ。 d) 健康経営 同社は、2年連続して「健康経営優良法人~ホワイト500~」に認定されている。「ウォーターヘルスケアという、新習慣。」という考え方を推進している。 2017年3月期より「健康経営」をテーマに、法人向け営業を活発化させた。ガロンボトルを導入しているオフィスに対し、電解水素水整水器は胃腸症状改善の効果が認められている点をアピールしている。電解水素水の常飲は、他の健康法に比べ習慣化しやすく、毎日の飲用時に健康への意識が働くことが採用企業に評価されている。健康意識の高まりが定期健康診断などの受診率向上に寄与することも期待される。 職域販売において、健康経営を重視する企業に整水器を設置し、職場で電解水素水の飲用を習慣化した社員に広げるBtoBからCへ展開する販売手法が形となりつつある。健康経営提案により自動車ディーラーへの大量納入に成功している。他地域への横展開を進める。 e) カートリッジの売上高 浄水カートリッジは、使用状況にもよるが、通常年1回交換されるため、整水器の稼働台数の増加に応じて、安定した伸長が見込めるストックビジネスになる。ウォーターヘルスケア事業売上高の3割程度を占める。OEM供給した整水器の交換にも、同社のカートリッジが使用される。第三者による「互換」カートリッジに対しても対策済みである。 f) 海外子会社 アジア市場の開拓 家庭用電解水素水整水器の国内市場で圧倒的なシェアを持つがゆえに、アジアにおいて新規市場の開拓をする成長戦略を取っている。現在、中国、インドネシア、台湾に拠点を持つ。ウォーターヘルスケア事業における、2018年3月期の中国とインドネシアの子会社を合わせた売上高構成比は7.6%であった。 インドネシアのSinar Mas Groupとの合弁会社PT. SUPER WAHANA TEHNOは、2006年からペットボトル及びガロンウォーターの製造販売に携わっている。アルファマートやインドマートなど約24,000店舗に向けた全国展開を進めている。インドネシア最大の都市ジャカルタを中心とするジャワ島西部に加え、第2の都市スラバヤを擁する東部でも展開している。2016年11月に委託生産により生産能力をペットボトルで2倍、ガロンで5倍に拡大した。大幅な増産に備え、品質管理体制を強化する。今後も高成長が続くとみている。 新規市場開拓先として、日系商社と組み、ベトナムを皮切りに、インド、カンボジア、フィリピン、タイなどでの事業展開を図る。2018年3月期の販売実績は2,500台程度であったが、1万台を目指して事業拡大を図る。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) 《MH》
関連銘柄 2件
6752 東証プライム
パナソニックホールディングス
1,536
11/25 15:30
-15(-0.97%)
時価総額 3,770,029百万円
電機大手のパナソニックを中核とする持株会社。1918年創業。家電や住宅設備、AV機器、デジカメ、電子部品、産業電池・車載用電池等を手掛ける。配当性向30%目安。車載電池、空質空調等を投資領域に位置付け。 記:2024/09/02
6788 東証プライム
日本トリム
3,455
11/25 15:30
+85(2.52%)
時価総額 29,910百万円
整水器メーカー最大手。電解水素水整水器等の製造・販売を行うウォーターヘルスケア事業が主力。電解水透析等の医療関連事業も。ステムセル研究所を傘下に持つ。スポーツ分野、美容分野の販路開拓は順調に進捗。 記:2024/06/11
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