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オプティム Research Memo(6):新ビジョンは「世界一、AIを実用化する企業になる」

2018/6/27 15:06 FISCO
*15:06JST オプティム Research Memo(6):新ビジョンは「世界一、AIを実用化する企業になる」 ■中長期の成長戦略 1. 新たなビジョン「世界一、AIを実用化する企業になる」 オプティム<3694>のビジョンは、「IoT/AI/Robot分野への投資を強化し、第4次産業革命の中心となる企業となる」ことである。基本戦略としては、あらゆる産業と同社の持つIoT/AI/Robotテクノロジー・ノウハウを融合させる「◯◯×IT」により、ITの力で新しい産業基盤を創造することである。◯◯には様々な業界が入るが、直近で進捗が著しいのが、農業、建設、医療・介護、小売、行政や交通インフラなどの業界である。2019年3月期は新たに「世界一、AIを実用化する企業になる」がビジョンとして追加された。技術が優れているだけでなく、実業の中で使いこなし効果を出すという、強い思いが込められている。 2. 今後の投資の見通し、マネタイズの時期 同社は、2018年3月期決算のタイミングで初めて将来的な「〇〇×IT戦略」への投資の見通し(年表)を明らかにした。それによると、2018年(2019年3月期)は「投資」をメインとし、ビジネスモデルの確立と主要パートナーとの連携を行う。2019年(2020年3月期)には、「投資」とともに「売上計上」が始まり、拡販に向けた体制を確立する。2020年(2021年3月期)以降は「利益回収」と位置付けられている。2019年からの売上計上が見えてきたということは、複数の業界において実証を積み重ねてきた中で、効果が認められ、事業化及び収益化の確信が持てるようになったと推察できる。 3. 建設 × IT:ランドログ(4社の合弁会社)がスタート 建設 × ITは強力な推進体制が整備された。コマツ<6301>、NTTドコモ<9437>、SAPジャパン(株)および同社は、建設・土木におけるオープンプラットフォーム「LANDLOG(以下、ランドログ)」の開発・事業化を目的とした新会社、(株)ランドログを設立した。建設業界では、建設生産プロセスに複数の工事事業者が携わるため、各種データは事業者毎に管理されている。新プラットフォーム「ランドログ」では、建設生産プロセス全体のあらゆる「モノ」のデータを集め、そのデータを適切な権限管理のもとに多くのプロバイダーがアプリを提供し、多くの建設現場ユーザーが利用することで、安全で生産性の高い未来の現場の実現を目指す。現在、約180社が参画検討しており、業界を巻き込んだ大きな流れができつつある。 4. 農業 × IT:スマート農業アライアンスが本格スタート 同社を率いる菅谷社長は佐賀大学農学部出身であり、大学や自治体、農業関係者を巻き込みながら、スマート農業への取組みは大きく進展している。これまで、佐賀県を中心に同社のIoTプラットフォームや周辺の先進ツールを活用して実証実験を展開してきた成果は2017年に「OPTiM スマート農業ソリューション」として6つのカテゴリーに整理され、技術として確立されている。特にドローンやクローラー(陸上走行型ロボット)、ホーク(固定翼ドローン)、スマートグラスから得られたデータからAIが解析を行い、ピンポイントで農薬散布などの対策を講じる技術は同社の真骨頂である。 同社は2017年12月に生産者を中心とする「スマート農業アライアンス」を設立し、第一期の募集を開始した。この取り組みは、AI・IoT・ビッグデータを活用して“楽しく、かっこよく、稼げる農業”を実現すべく、スマート農業を推進することを目的とする。農家が主体となって参画し、同社は技術支援を行うが、金融機関(生産者紹介)、企業(技術等の提供)、自治体や大学(協力関係、共同研究)もアライアンスに加わる。驚くべきはビジネスモデルである。収穫された作物(大豆と米から開始)は同社が全量買い取ることを宣言している。技術への投資が負担となる生産者には無償(または安価)で技術を利用してもらい、買い取った “スマート野菜”ブランド・付加価値をアピールして販売し、同社は商流からマージンを得る。既に70の生産者が参画し、50haで栽培が開始されている。農作物の新しい“流通業”が誕生した。 さらに同社は、2018 年 4 月にスマート農業で生産者をサポートする、ITと農業の未来メディア「SMART AGRI(スマートアグリ)」をオープンした。このメディアでは、農家が抱える課題、農作業負担軽減、後継者不足、技術伝承問題を AI・IoT・ビッグデータを活用した「スマート農業」で解決する方法や農業経営に関する実例、ノウハウ、体験談、最新ニュースなどを提供する。 5. 医療 × IT:医療機器製造業登録証を取得 同社は、2016年12月にIoT・AIなどの最新のテクノロジーを活用した研究を行う「メディカル・イノベーション研究所」を設立し研究活動を行ってきた。特にAI を用いた眼底画像診断支援の研究には注力しており成果がでている。今後、研究成果を製品化するにあたり「医療機器プログラム」としての製造を予定しているため、2018年3月に医療機器製造業者として登録され、「医療機器製造業登録証」を取得した。画像解析はAIが得意とする分野であり、人的な判断による誤診が社会問題になっている中で強力な支援ツールになることが期待されている。同社にとっては、医療分野におけるビジネスモデルの確立に一歩前進した形だ。 また同社は、2018 年4月、“テレビを通じて自宅が病室となる“AI・IoT を活用した在宅医療支援サービス 「Smart Home Medical Care」を全国の医療機関向けに提供を開始した。このサービスは、社会医療法人 祐愛会織田病院にて 2016 年 10 月より実証実験を行ってきたものであり、高齢患者でも普段から慣れ親しんでいるテレビを見ているだけで、医師の顔をみながらビデオ通話が行える。さまざまなバイタルセンサーと連携して、自宅に居ながら院内で医師や看護師に見守ってもらっているような状態を実現することが可能である。 6. 小売 × IT:無人店舗モノタロウAIストアの開設 〇〇×ITの取組みは、小売業でも始まっている。同社は2018年4月に、間接資材通信販売最大手のMonotaRo<3064>と、無人・省人オペレーションを目指した店舗の運営実証実験を行うべく業務提携を行い、佐賀大学の本庄キャンパス内に無人店舗の 1号 店「モノタロウAIストア powered by OPTiM」を開設した。 この店舗では、専用アプリでキャッシュレス・セルフ決済を行い、店舗内のカメラ映像及び入退店ゲート機器の情報を、 同社が提供する店舗管理支援サービス「Smart Retail Management」と連携させ、実店舗に店員がいない場合でも状況が把握できる。さらに、取得しデータをAIが解析し、来店状況の分析や防犯検知などにも応用できる。本店舗は実証実験のため、無人店舗運営上の問題点とその解決策を検証する。 海外ではAmazon Go(レジのないコンビニ)が話題になっている。日本においても人手不足が続く中で、無人店舗には大きな可能性を秘めている。同社の技術が小売業にどのように浸透していくのか注目される。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫) 《NB》
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