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博展 Research Memo(2):マーケティング支援を展開、リアルとデジタルの融合による新たな価値提供にも取り組む

2018/6/8 15:02 FISCO
*15:02JST 博展 Research Memo(2):マーケティング支援を展開、リアルとデジタルの融合による新たな価値提供にも取り組む ■会社概要 1. 事業概要 博展<2173>の報告セグメントは「リアルエクスペリエンス&コミュニケーション事業」と「デジタルエクスペリエンス&コミュニケーション事業」の2つであるが、さらに商材別カテゴリーとして、主力の「展示会出展」「イベントプロモーション」「商談会・プライベートショー」のほか、次世代の基幹商材へと育成を進めている「カンファレンス・セミナー」「商環境」「デジタル・コンテンツ&マーケティング」「その他」の7つに区分される。主力3 商材が売上高全体の68.2%を占めており、そのうち創業来の「展示会出展」の構成比は33.7%となっている(2018年3月期実績)。同社では、新規事業の拡大を始め、注目されているリアルとデジタルの融合など、新たな価値提供を通じて成長を加速させる方向性である。 主なサービスの概要は以下のとおりである。 (1) 展示会出展 展示会出展は、特定の業界やテーマを絞り込んで開催され、最新の製品やサービス・ソリューションをPR・販売する企業が一堂に会し、来場者が目的を持って訪れる為、情報収集・購買意欲が高く、通常の営業活動ではアプローチが難しい良質な数多くの顧客と効率良く接触できる機会であり、売上向上のための見込み顧客獲得や製品アピールまで同時に行える。博展は、出展企業の展示会選定から戦略立案・企画・デザイン・制作・運営までをワンストップで提供し、出展企業のマーケティング課題に沿った製品・サービス体験の創造により、出展効果を最大限引き出すサポートを行う。創業来の主力として高いシェアを誇るが、近年はデジタル・コンテンツを活用した新たな体験価値の提供に努めており、好調な外部環境や営業体制の強化(営業活動量の増加)により、足元では受注件数及び受注単価ともに大きく伸びている。 (2) イベントプロモーション イベントプロモーションは、新商品・サービスの発表会や体験会などの製品プロモーション、ユーザーイベント、広報イベントといったリアルな場におけるプロモーションプランの設計から実行までをサポートしている。加えて、SNSにおける拡散など、イベントとデジタルメディア・コンテンツをターゲットへ効果的にアピールするイベント体験価値向上に努めている。スポーツブランドやゲーム会社などによるBtoC向けイベントが増える傾向にあるなかで、ワンストップ・ソリューションを生かした大型案件の受注などにより、売上高はここ数年で大きく伸びてきた。イベントプロモーションは地方開催や屋外イベントも含まれることから拡大余地も大きい。今後も東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、売上機会は大きく増加していくものと期待される。 (3) 商談会・プライベートショー 商談会・プライベートショーは、特定の顧客ターゲットに対し、商談やビジネスマッチング、自社製品・ブランドのプロモーションを目的に開催され、より深い製品・ブランド体験や双方向コミュニケーションを可能にする戦略立案、クリエイティブ、事務局サポート、施工、運営をワンストップでプロデュースを行う。場(空間)の提供だけでなく、顧客のビジネス成果に結び付ける踏み込んだ提案力で差別化を図っている。IT業界におけるプライベートショーが盛んであるが、銀行など金融機関からのビジネスマッチング案件なども増えている。 (4) カンファレンス・セミナー カンファレンス・セミナーは、最新の技術動向、ユーザー事例など情報提供を目的に開催され、様々なフェーズの来場者に合わせた課題発見やニーズ喚起を実現する戦略立案、会場選定、集客プロモーション、事務局サポート、施工、運営、アフターフォローまでサポートを行う。最近では、外資系IT企業やソフトウェア企業等からの需要が増えている。 (5) 商環境 商環境は、企業が自社及び商品のブランド認知度向上や販促活動のために設置する常設空間(ショールーム、店舗など)について、物件選定からデザイン、設計、施工、監理までトータルにサポートを行う。顧客のマーケティング目標達成に向けた「売り」につながる施設の生涯価値を生み出すソリューションを提供する。最近では、期間限定のポップアップストアやフラッグシップストアなど、コマーシャルスペースとしての需要も増えている。 (6) デジタル・コンテンツ&マーケティング マーケティング活動におけるデジタル・テクノロジーは、メディアやデータプラットフォーム、デジタル・コンテンツの分野において、費用対効果の可視化や双方向のコミュニケーションツールとしてリアルのイベントと連動・融合させることで、顧客のマーケティング活動に新しい価値を提供する。連結子会社である(株)アイアクトや(株)スプラシアとの協業等を通じて、デジタル・テクノロジーを駆使したソリューション分野での差別化と業容拡大を目指す。 年間の顧客数(単体)は657社(2018年3月期実績)。過去においては、取引先数が減少する傾向が見られたが、その背景には、経営資源に制約があるなかで、顧客のマーケティング・パートナーとして顧客内シェアの拡大(顧客単価の向上)に注力してきたことがある。もっとも、2017年3月期以降は、それまで先行投資的に行ってきた体制面の強化が奏功し、取引先数及び顧客単価の両方を伸ばすことができている※。 ※難易度の高い顧客(案件)に対応する力をつけてきたことが最大の要因と言える。ナショナルクライアントとの取引開始により顧客属性にも変化が見られるようだ。 対象業種は多岐にわたるが、同社が得意としているのは、各種展示会やカンファレンスなどに対する需要が大きい「製造業」や「情報・通信」を筆頭として、「スポーツ」「自動車」「食料品」等が挙げられる。また、最近は、官公庁関連など公的部門へも領域を広げつつあるようだ。同社の事業拠点は、本社(東京都中央区)、西日本事業所(大阪市)に加えて、自社の製作部門(スタジオ)を埼玉県八潮市に保有している。また、2018年4月に中日本地域の営業拠点として、中部営業所(名古屋市)を開所した。2019年 9 月に愛知県国際展示場(展示面積は国内最大級 60,000平方メートル)の開業が予定されており、主力事業となる展示会・イベント関連の需要が増大することが見込まれる。 連結子会社は、アイアクト(デジタル・コンテンツやAI・Webサイト制作などのデジタルマーケティング)とスプラシア(独自開発の動画編集プラットフォームやデジタルサイネージ、アプリ開発等)の2社である。 なお、連結子会社であったタケロボ(サービスロボットの開発・製品化等)は、2018年5月31日付「子会社の第三者割当による新株発行に伴う子会社の異動に関するお知らせ」のとおり、グループの資本効率と事業戦略における関連性を検討した結果、タケロボが今後の営業力強化等を目的に実施する第三者割当増資をマイカホールディングス株式会社が引受けることで、タケロボの事業運営から撤退することを公表しており、同社の連結子会社に該当しないこととしている。 2. 企業特長 同社の特長は、(1)直接取引を主体としたワンストップ・ソリューション、(2)専門分野を持つクリエイターによる企画・提案力、(3)採算性の高い指名受注が多いこと、の3点にある。 (1) 直接取引を主体としたワンストップ・ソリューション 同社の最大の特長は、顧客との直接取引の比率が高いことに加え、営業・進行管理から、プランニング、デザイン、制作まで、顧客の求めるサービスをワンストップで提供できるところにある。代理店経由で個別のサービスを下請け的に受注する同業他社が多いなかで、同社は直接取引を主体としたワンストップ・ソリューションにこだわってきた。それによって、迅速で柔軟な対応や高度な品質コントロール、中間マージンがないことによる価格競争力など、他社との差別化が図られている。 この事業モデルを支えているのは、長年積み上げてきた信頼の高さであり、さらに株式上場による信用力や知名度の向上もプラスに働いていると考えられる。また、国内有数の規模を誇る製作部門(スタジオ)を保有していることも、品質管理や柔軟かつ迅速な対応を可能としている。 加えて、連結子会社のアイアクトやスプラシアとの協業によるITソリューション(デジタル・コンテンツ)とイベントの連動も、今後の差別化や付加価値向上に寄与するものと期待される。 (2) 専門分野を持つクリエイターによる企画・提案力 企画営業とデザイナーが自社内に在籍し、それぞれの得意分野を生かしたチーム編成で顧客ニーズを捉えた質の高い提案を行っている。「展示空間をいかに美しく見せるか」を競い合う傾向が強い業界の中で、同社は「顧客の求める成果を上げる」ことを命題に掲げ、企画・提案力の精度を高めてきた。その結果が、顧客からの高い支持やリピート率の高さに結びついている。 (3) 採算性の高い指名受注も高い水準で推移 受注形態にはコンペとノーコンペ(指名受注)とがあるが、指名受注のほうが営業経費等を圧縮できるとともに、価格競争に巻き込まれにくい点で採算性が高い。新規の積み上げ部分については、コンペとなる案件も増えているもようであるが、同社の指名受注売上高の比率は62.0%(単体)と高い水準にある(2018年3月期実績)。それは、顧客のマーケティング・パートナーとして長期的な関係構築ができている証左であり、顧客単価(顧客内シェア)の向上と合わせ、同社の戦略が進展していることを示している。 展示会、イベントを軸に事業基盤を拡大、デジタルマーケティング分野への投資にも積極的 3. 沿革 同社は、1967年に現代表取締役社長田口徳久(たぐちとくひさ)の父である田口博(たぐちひろし)氏によって、展示会、ディスプレイの施工を行う会社としてスタートした。1970年に株式会社に組織変更。その後、中堅・中小規模の顧客との直接取引を主体として順調に事業を拡大してきた。 同社にとって大きな転機となったのは、2008年2月に大阪証券取引所「ヘラクレス市場」(現東京証券取引所JASDAQ市場)に上場したことである。代理店の下請け的な役割ではなく、顧客との直接取引にこだわる同社が、大手企業との取引を増加させるためには、上場による信用力や知名度の向上が不可欠であった。 上場等を通じた顧客属性の変化に伴って案件単価や顧客単価が上昇するとともに、リピート顧客も増加していった。企業の販促・プロモーション戦略において、実効性の高い「Face to Face」のマーケティング手法が見直されるなか、イベント展示会事業を軸に一連のマーケティング活動をサポートしたことが顧客からの高い支持につながったと言える。 2013年には、Webサイトの企画・設計やCMS※の導入支援等で実績のあるアイアクトと資本業務提携するなど新規事業にも参入。サービス領域の拡充と付加価値の向上による差別化と新たな市場創造によりマーケティング・パートナーとして顧客との長期的な関係構築を目指している。 ※コンテンツ・マネジメント・システム。Webページを作成するための専門知識を必要とせずに、Webサイトのコンテンツ管理を実現する仕組み。 その後、2015年2月にアイアクトを100%子会社化したことにより、2015年3月期第4四半期から連結決算に移行した。また、2016年6月にスプラシアを完全子会社化する等、戦略的M&Aによるデジタルマーケティングサービスの強化を図っている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫) 《MW》
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時価総額 10,512百万円
展示会出展やイベントプロモーション等のリアルイベントが主力。デジタルコンテンツやマーケティング等も。トランザクションと業務提携。大規模案件等が寄与し、23.12期通期は変則決算でも過去最高益を更新。 記:2024/04/16