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東都水産 Research Memo(7):内憂外患の事業環境に豊洲市場移転問題が浮上

2017/12/1 15:37 FISCO
*15:37JST 東都水産 Research Memo(7):内憂外患の事業環境に豊洲市場移転問題が浮上 ■東都水産<8038>の事業概要 3. 厳しい事業環境 食品流通業界では、人手不足による物流コストの上昇や原材料価格上昇による商品の値上げ、消費者の節約志向などの逆風は今後も続くと予測されている。そのほかにも水産物卸売業界には重たい課題が多い。 世界的に水産資源が減少し、タコ・マグロ・カニ・ウナギなどの漁獲規制が年々厳しくなる一方、欧米での健康志向の高まりやアジア地域での所得上昇によって、世界的に魚食需要が増大している。このため水産物の国際価額が上昇、日本企業の「買い負け」現象が顕著になってきた。また、地球温暖化により魚の回遊水域が変化し、漁獲量が激変しているとも言われている。 国内でも、食の多様化や人口減少による魚需要の減少など、水産物卸売市場を取り囲む環境は厳しい。食料品の安全・安心は古くて新しい問題だが、トレーサビリティなど消費者への積極的な情報提供も必要になってきた。また、年々、卸売市場を経由する取扱量が減少し、大型量販店向けは市場外流通による取引が増加している。魚価高に加え漁業規制によって水産物卸売市場での取扱量が年々減少している。この結果、市場間・市場内の競合が激しくなりつつある。 ことさらに築地市場においては、豊洲市場への移転問題がある。築地市場は施設の老朽化が進んで建物の一部が劣化・破損し安全性が保証できないこと、施設の拡張ができない構造で商品の一部については一時的に屋外に置かざるを得ないなど品質保持や衛生管理が困難なこと、当初列車運送を想定していたため大型トラックの搬入スペースが不足していること、築地再整備には時間と資金が非常に多くかかるため断念した経緯があること——などから、豊洲市場への移転は不可欠である。豊洲市場に移転するメリットは、新施設のため安全な上、最新のコールドチェーンにより品質保持と鮮度管理が十分可能、大型トラックによる搬入がスムーズ、量販店専用のピッキングエリアがあり、少なくとも築地再整備より時間はかからない——という点にある。 一方、懸念されている点は、水産物仲卸の店舗の間口が狭い(と言われている)など使いにくさのあること、車動線の問題から観光客を誘致すると混雑が予想されること——などいくつかある。しかし、例えば水産物仲卸店舗の間口の問題については、1店舗当たり平均面積は築地に比べて広くなっており、使う業者による魚種や規制の違いに応じた取り組みも進められている。築地市場の立地や80年の歴史で培ったブランド、80年の間に施行された法律や規制などに関し、関係者の温度差がこうした懸念が生じる背景にあると推察される。本来話し合いや調整で解決可能と思われることだが、その努力がやや不足していたところに土壌汚染問題が追い打ちをかけ、問題が複雑化したのである。その土壌汚染については、地下水管理システムを強化するなど専門的・科学的で妥当な対策を講じることになったため、東京都と築地市場協会が豊洲移転の時期を2018年10月中旬で合意したという報道があった(2017年11月2日付日本経済新聞)。早期解決が望まれる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《MH》
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1935年創業の水産物卸売会社。生鮮・冷凍魚介類、水産加工品の販売を行う。生鮮・冷凍マグロ等が主要取扱品。冷蔵倉庫及びその関連事業、不動産賃貸事業も展開。高付加価値商品の深耕、海外事業の拡大等に注力。 記:2024/10/08