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J−オイルミルズ---事業構成比の変化に注目、新事業の「がん診断薬」は事業化フェーズ

2015/8/13 15:07 FISCO
*15:08JST J−オイルミルズ---事業構成比の変化に注目、新事業の「がん診断薬」は事業化フェーズ ラジオNIKKEI マーケットプレスの『フィスコ presents 注目企業分析』8月6日放送において、J−オイルミルズ<2613>を取り上げている。主な内容は以下の通り。 ■会社概要 J−オイルミルズ<2613>は、味の素製油とホーネンコーポレーション、吉原製油が2003年に統合して誕生した。国内食用油脂大手2強の一角である。製油事業がメイン(売上高の96%)であり、その他事業(売上高の4%)は、飼料・スターチ・健康食品・化成品で構成される。外部環境(大豆・菜種相場、為替など)の影響を受けやすい食用油脂業界ではあるが、業界再編による価格形成力を背景に、安定した業績を達成してきた。 国内食用油脂業界2位(シェア29%) であり、トップの日清オイリオグループ<2602>(シェア30%)に肉薄(にくはく)している。特に業務用のシェアは高く、4割を超える。高付加価値製品で市場をけん引するポジションにあり、味の素<2802>ブランドを活用できる強みもある。 ■事業環境とビジネスモデル まず同社の原料調達の特徴として、大豆は米国、ブラジルなどから、菜種はカナダ、豪州などからほぼ100%輸入される。仕入れ価格は、大豆はシカゴ市場、菜種はウィニペグ市場(カナダ)の相場に連動する。相場価格は、新興国の旺盛な食糧需要を背景に上昇傾向にはあるが、天候による作柄や作付面積、投機資金などにも影響され変動する。さらに仕入れコストに影響するのが外国為替レートである。2015年3月期では円安が1円進むと利益が約4億円減少すると試算されている。 同社のビジネスモデル上、油脂と同様に重要性が高いのがミール(油糧:ゆりょう)事業。搾油(さくゆ)により油脂とミール(油糧) に分離され、ミール(油糧) は飼料・肥料・醸造メーカーに販売される。国内のミール価格は、国際価格や輸入ミール価格、外国為替レートに影響される。 原料調達コストが上がった場合でも、ミール(油糧) を高値で販売できればマイナス面をカバーでき、いわば緩衝材の役割を果たす。また、業界再編により大手2 社体制が確立し、食用油脂メーカーサイドの価格統制力は強まった。環境が変わった時に、時間差なく機動的に価格対応ができるようになってきている。外部環境の変動リスクからは逃れられない業界だが、その中で安定した収益を確保し続ける“変化対応力” が同社の強みと言える。 ■注目ポイント(第4期中期経営計画) 2015年3月期を初年度に、2021年3月期を最終年度とする第4期中期経営計画(7年間)がスタートした。マイルストーンである3年後の2017年3月期で、売上高2200億円、営業利益100億円を計画する。最終年度である2021年3月期には、売上高2500億円、営業利益120億円を目標とする。 中期的に予測される外部環境の変化としては、新興国の需要増加に伴う原料需給のひっ迫やTPPの発動による畜肉輸入増加・飼料需要減少、安い輸入食用油の増加などが挙げられる。本中計は、このような環境下で売上高を年平均2.9%成長させつつ、売上高営業利益率を4.8%(2021年3 月期)に上昇させるという攻めのプラン。 特筆すべきは、事業構成比の変化である。その他事業(非製油、食品・ファインケミカル)の利益構成比を8.5%(2014年3月期) から30%(2021年3月期) に、海外事業の利益構成比を0.5%から25%(2021年3 月期) に飛躍させる計画である。実現のためには、抜本的な構造変革の断行が求められる。 新事業の中でも特に注目されるのは、レクチンを活用したすい臓がん・肝臓がんの早期診断を可能にする「がん診断薬」だ。レクチンとは特殊なたんぱく質であり、がんに特有な糖鎖と結合する新規レクチンを同社が発見した。レクチン研究のトップ企業として、1980年代より基礎・応用研究を積み重ねてきた成果が事業化フェーズを迎える。 国内ですい臓がんと診断される年間の患者数(罹患患者数)は年間32,330人、肝臓がんは年間47,271人であり、今後も増加傾向にある。どちらのがんも「5年生存率」が低いがんとして知られ、早期の診断が求められている。診断薬は健常者も対象であり、海外も含めた潜在市場は大きい。 ■16年3月期業績 2016年3月期第1四半期(15年4-6月)決算は、売上高が前年同期比4.3%減の468.25億円、営業利益が同66.8%減の7.74億円、経常利益が同61.5%減の9.58億円、四半期純利益が同71.0%減の4.61億円だった。セグメント別では、製油事業の売上高が前年同期比5.1%減の426.40億円、セグメント利益が同57.5%減の13.36億円。主原料相場の乱高下と不規則な変化及び円安が搾油採算に大きく影響した。その他の売上高は同5.2%増の41.84億円、セグメント利益が同641.9%増の2.20億円だった。飼料部門やスターチ部門が前年同期を上回ったほか、健康食品部門も好調だった。 16年3月期通期については、売上高が前期比2.0%増の1978.00億円、営業利益が同66.9%増の70.00億円、経常利益が同56.4%増の75.00億円、純利益が同44.9%増の45.00億円とする期初計画を据え置いている。中期経営計画に沿った生産の効率化等による一層のコスト削減、油脂・ミールをはじめとする製品の付加価値化を推進し、構造変革を進める。また、製品価値に見合った販売価格の実現に向けた、値上げ交渉等を進める。 ■株価動向 昨年5月以降は上昇する26週線を支持線とした上昇基調が続いており、株価は270円辺りから、今年6月には450円を超える局面をみせた。足元では13週、26週線辺りに上値を抑えられる半面、400円処が支持線として意識されている。年初からは400-450円処でのボックスレンジ内で推移しており、ボトム圏での押し目拾いが有効のようである。 ラジオNIKKEI マーケットプレス 『フィスコ presents 注目企業分析』毎週月・木曜14:30~14:45放送 《TM》
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