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伊藤忠エネクス Research Memo(5):各事業のシナジーは体質強化が前提

2015/7/9 16:05 FISCO
*16:05JST 伊藤忠エネクス Research Memo(5):各事業のシナジーは体質強化が前提 ■中期経営計画と成長シナリオ (4)各事業部門の取り組み 電力事業を中核に、伊藤忠エネクス<8133>の全体収益を底上げしていくには、4つの事業部門の連携も重要だが、その前に、各事業部門の体質強化も不可欠だ。各事業部門は必要な時に最大のシナジーを創出できるよう、今中期経営計画の2年間での具体的な体質強化策を掲げている。 a)ホームライフ事業 ホームライフ(HL)事業では今中期経営計画において、まず、LP直販の強化を打ち出している。これは、LP直販の顧客を電力全面自由化の際の最重要潜在顧客と位置付けているためだ。同社は2015年3月末時点で326,000軒だったものを、電力全面自由化直前の2016年3月末で360,000軒体制に拡大することを計画している。顧客ベースの数的拡大と同時並行で、「電力ビジネスの基盤整備」することを掲げている。PU事業本部と連携して電力販売体制を構築するということだ。具体的な施策や目標は今後詰めていくと思われるが、販売のための仕組みづくりやITシステムの構築、人材教育などやるべきことは多い。 電力関連以外では、足元を固めるという意味で、燃料転換の推進・空調暖房機器の拡販による需要開拓促進が打ち出されている。また、中長期的視点としてアジア地域における海外事業展開強化が掲げられている。国内で培ったLPガス、工業ガスのノウハウを伊藤忠商事との連携で、まずアジア地域で展開しようというものだ。 業績面では2016年3月期は売上高108,600百万円、営業利益5,200百万円を、2017年3月期は売上高119,400百万円、営業利益5,700百万円を、それぞれ計画している。前期比2,300百万円の大幅増であるが、これは驚くには当たらない。これは2015年3月期にあった在庫影響による損失2,300百万円がなくなることだけを織り込んだ形となっている。HL事業の主要商材は構造的な需要減少局面にあるため楽観はできないが、現在の業績計画は決して無理をした数字ではないというのが弊社の見解だ。 b)カーライフ事業 カーライフ(CL)事業では、マーケティング戦略としてCRM(顧客情報管理)の強化が打ち出されている。言い方を変えれば顧客をいかにして囲い込むか、ということであり、POSシステムによる顧客データベースの整備と、ポイントカード導入、さらには商品サービスブランドの新規立ち上げが計画されている。また、付加価値向上の取り組みとして、約2,000のCS(カーライフステーション)に対するコンサルティング強化や油外収益向上策などが掲げられている。 業績計画としては、2016年3月期は売上高649,000百万円、営業利益4,900百万円が、2017年3月期は売上高594,100百万円、営業利益6,000百万円が、それぞれ計画されている。2016年3月期の増益は不採算店舗削減による利益の自律回復を中心に織り込んでいる。それに対して2017年3月期は、CSの収益力向上策の効果に加えて、日産自動車のモデルチェンジサイクルにより大阪カーライフグループの収益拡大も反映させたものと推測される。 c)電力・ユーティリティ事業 電力・ユーティリティ(PU)事業では、電力全面自由化対応が中核だ。具体的な重点ポイントとしては、電力需給の面でバランシンググループ(BG)の形成と需給ビジネスのビジネスモデルの確立が、販売の面で需要家PPSの強化・育成が挙げられている。BGについては前述したとおりだ。需要家PPSというのは、携帯電話事業における携帯ショップのような存在であり、自前の電源を持たず最終需要家に対して電力の販売と料金徴収を行う存在だ。グループ内外の企業を含めてここをどのように組織できるかが同社の販売力を決定付けることになるため、BGと並んで今中期経営計画における最重要課題であると弊社では考えている。 業績面では、2016年3月期は売上高56,000百万円、営業利益3,200百万円を、2017年3月期については売上高63,400百万円、営業利益4,300百万円を、それぞれ計画している。2017年3月期の増益額が大きくなるのは王子・伊藤忠エネクス電力販売(株)を含む2016年3月期に積み上げる大口向け電力小売りの恩恵を見込んだものと思われる。 d)エネルギートレード事業 エネルギートレード(ET)事業は本来が産業向けであるため、電力全面自由化の向く先が家庭を中心とした小口需要家である今回は、PUとのコラボという要素はない。今中期経営計画では「機能を活かした既存事業拡大と新規事業取組強化」が打ち出されている。主な施策としては、リスクマネジメント体制強化、流通機能強化と資産の最適化、新規事業取組みとしてスロップ・再生油事業、フライアッシュ(石炭灰)事業の始動、海外事業(パラオ、米国)の推進、LNG事業の推進、などが挙げられている。 業績面では2016年3月期は売上高537,700百万円、営業利益3,600百万円が、2017年3月期は売上高590,000百万円、営業利益39百万円が、それぞれ計画されている。2016年月期の増益額が大きく見えるが、これは2015年3月期にあったアスファルト事業の在庫影響による損失の反動で戻ることを反映したに過ぎず、むしろ保守的という印象だ。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之) 《RT》
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伊藤忠傘下のエネルギー商社。自動車販売のカーライフ事業、船舶燃料販売等の産業ビジネス事業、電力小売事業等も。配当性向40%以上目処。LPガスの直売顧客軒数は57万件超。31.3期純利益200億円以上目標。 記:2024/06/04