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サン電子 Research Memo(2):注力する情報通信関連事業の売上高構成比率が初めて50%を超える

2015/7/2 16:48 FISCO
*16:49JST サン電子 Research Memo(2):注力する情報通信関連事業の売上高構成比率が初めて50%を超える ■事業概要 サン電子<6736>は、情報通信関連事業とエンターテインメント関連事業を2本柱とするIT機器メーカーである。 情報通信関連事業では、海外子会社(セレブライト社)が展開する携帯電話向けのモバイルデータトランスファー機器を中心として、M2Mデジタル通信機器やゲームコンテンツ配信も手掛ける。また、エンターテインメント関連事業では、遊技機メーカー向けの遊技台部品(制御基板、液晶基板等)やパチンコホール向けのホールシステムの製造、販売を手掛ける。 従来、パチンコ業界向けのエンターテインメント関連事業を軸としてきた同社だが、2007年に買収したセレブライト社が展開するモバイルデータソリューション事業が急成長している。今後、需要拡大の見込めるM2M市場のほか、AR市場、クラウドビジネス市場など、情報通信分野における新たな成長市場への参入により、成長を加速する方針である。 事業セグメントは、情報通信関連事業として「モバイルデータシリューション事業」と「その他事業(M2M、ゲームコンテンツ等)」、エンターテインメント関連事業として「遊技台部品事業」と「ホールシステム事業」の4つに分類される。そのうち、モバイルデータソリューション事業と遊技台部品事業の業績貢献度が高い。また、情報通信関連事業とエンターテインメント関連事業の売上構成比率は概ね55:45(2015年3月期実績)となっており、注力する情報通信関連事業の比率が初めて50%を超えた。 連結子会社は9社(国内1社、海外8社)、持分法適用会社は1社。国内の連結子会社は、主に遊技台部品事業の製造を担うイードリーム(株)である。また、海外の連結子会社は8社あり、2007年に買収したセレブライト社(イスラエル)とその販売拠点として、米国、ドイツ、ブラジル、シンガポール、英国に現地法人が置かれているほか、新規事業やM2Mの米国展開に向けて設立したSUNCORP USAがある。なお、非連結子会社として中国に1社ある。 (1)モバイルデータソリューション事業 2007年に買収したセレブライト社が主体となって展開している事業であり、携帯機器販売店向け(モバイルライフサイクル)及び犯罪捜査機関向け(フォレンジック)にモバイルデータトランスファー機器の販売及びサービスを行っている。セレブライト社は、1999年に設立されたベンチャー企業で、2000年から米国でモバイルデータトランスファー機器の供給から開始した。携帯電話やスマートフォンなどの利用者が新機種に買い替える際、データの移し替えを円滑に行うものであり、携帯端末の普及に伴って需要が拡大し、現在では米国の携帯機器販売店でシェア90%を握る。特にスマートフォンの普及が、データの保存量や複雑性を高めたことから、データ転送速度など機能面で優れている同社製品の需要が一気に拡大した。 また、2009年頃からは携帯端末のデータ解析などにも利用できることから、フォレンジック向けにも有用性が認められ、米国や日本などで普及が進んだ。特に最近では、サイバー犯罪の増加を含め、携帯端末からの手がかりや証拠入手の重要性が世界中で注目される中で、フォレンジック向けが好調に推移している。 グローバル展開にも積極的であり、2008年にドイツに進出したほか、2013年4月にシンガポール、同年7月にブラジルの拠点が営業を開始。最近では2014年2月に英国、2015年1月にフランス、同年3月にカナダと相次いで拠点を設立している(中国にも設立準備中)。国内でも、2013年9月から大手キャリア向けに供給を開始し、全国約2,500店舗で導入された。 新機種へのリプレースを含めた機器販売に加えて、導入後のサポート手数料が積み上がるフローとストックを組み合わせた収益モデルである。 (2)その他事業(M2M、ゲームコンテンツ等) その他事業にはM2Mデジタル通信機器を中心としたM2M事業のほか、ゲームソフトの開発やコンテンツ配信サービス事業が含まれる。売上構成比(2015年3月期)は、M2M事業が約65%、ゲームコンテンツ事業が約35%となっている模様であるが、今後は、軌道に乗り始めたM2M事業が大きく伸びる見通しである。 M2M事業では、インフラ施設の稼働状況などをモバイル回線で送受信する通信機器「Rooster」の開発、販売を行う。同社製品の特長は、通信モジュールとパソコンの機能を一体化したことで汎用性を高めているところにある。現在の用途としては、気象観測システムや太陽光発電、セキュリティ関連などに採用されており、NTTドコモ<9437>の回線で利用されている汎用機器でのシェアはトップの実績を誇る。従来は、通信モジュールの売り切り型であったが、ソリューション提供型のストックビジネス(従量課金方式の収益モデル)への転換を図っている。2015年1月からは、2014年8月に資本提携したBacsoft社(イスラエル)との連携によるM2Mプラットフォームのサービスを開始した。 ゲームコンテンツ事業では、定番パズルゲームの「上海パズル」のほか、最近ではスマートフォン向けアドベンチャーゲームが固定ファンを中心に実績を伸ばしている。 (3)遊技台部品事業 デジタル技術やグラフィック表現力を駆使し、パチンコ・スロットの演出などを行う制御基板や液晶基板の開発、製造、販売を主力とする。基板製造は協力会社に委託し、最終組立、検査を子会社のイードリーム(株)で行う。パチンコ機がヒットするかどうかは、制御基板による音や描写、映像などの演出にかかっており、創造性豊かな企画力や開発力によるところが大きい。同社はゲーム開発で培ったノウハウをパチンコ開発でも生かしており、顧客から一定の評価を得ている。2013年3月に藤商事<6257>との資本業務提携に至ったのも、同社に対する高い評価の表れと考えられる。 なお、藤商事への売上依存度は大きく、例年、遊技台部品事業の約70~80%を占めている。従って、藤商事のパチンコ機の販売動向が同事業に与える影響は大きい。 (4)ホールシステム事業 パチンコホールの経営に必要な遊技台の出玉情報や売上、景品、顧客などの情報をリアルタイムで収集、分析するトータルホールシステムの企画、開発、販売を行う。また、来店客が遊技台を選ぶために必要となる情報を提供する台上演出パネル「PREVO」を販売するなど、パチンコホールの経営を支援する新しい商品の企画、開発、販売も手掛ける。 顧客からの様々な要望に柔軟に対応してきた開発力が強みとなっている。業界シェアでは、ダイコク電機<6430>が約40%のシェアを握る最大手で、同社は12~13%の2番手グループに位置する。低貸営業による収入の伸び悩みやプレイヤーの減少などに加えて、消費税引上げの影響が重なり、パチンコホールの収益環境は一段と厳しいものになっており、同社業績も下降線をたどっている。2015年3月期は取引先の業績不振により多額の貸倒引当金繰入額を計上するに至った。同社は、業界環境の悪化に伴うリスクを最小限に抑えながら、縮小均衡を目指す方針としている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫) 《RT》
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