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米朝首脳会談の行方に警戒【フィスコ・コラム】

2018/4/8 7:30 FISCO
*07:30JST 米朝首脳会談の行方に警戒【フィスコ・コラム】 今年2月に韓国で開催された平昌五輪をきっかけに、米朝首脳会談が来月にも実現する見通しです。東アジアの安定化は円売り要因とみられますが、アメリカ側で対外強硬派が政権入りしたことなども、事態の打開には懐疑的な見方を生んでいます。 昨年の北朝鮮の核ミサイル発射などによる警戒がウソだったかのように、現在の朝鮮半島では奇妙な静けさが広がっています。毎年定例の米韓合同軍事演習は、平昌オリンピック・パラリンピックを受け今月に延期して行われています。訓練の期間を半分程度に短縮したほか、アメリカの空母派遣を見送るなど、軍事的な挑発は避けているもようです。それには対話姿勢に転じた北朝鮮側への配慮が見て取れます。 しかし、米朝間の歴史を振り返ると、両国関係が良好だった時期はほとんど見当たりません。アメリカは1860年代、李氏朝鮮時代に通商交渉を求め、その際に武装商船ジェネラル・シャーマン号の船員が入国をめぐり殺人事件に発展しました。その後の「辛未洋擾」(しんみようじょう)を経て両国は通商関係を結んだものの、朝鮮半島の分断に続く朝鮮戦争で、米朝の対立は決定的となりました。 21世紀に入っても両国の国交は閉ざされた状態が続きます。1990年代にクリントン政権下で北朝鮮の核開発への疑念から両国の緊張が高まりますが、北朝鮮を訪問したカーター元大統領を仲介役にして米朝は非核化交渉に向けて動き出したかにみえました。しかし、その後発足したブッシュ政権が北朝鮮をイランやイラクと並べ「悪の枢軸」としたことで、両国関係は再び、そして決定的に悪化しました。 「アメリカの狂った老いぼれ」(金氏)、「チビのロケットマン」(トランプ氏)と、いい年をした大人とは思えない両国「首脳」の罵り合いを想起すると、ブッシュ以来の共和党政権となったトランプ氏の下で、米朝の歩み寄りが実現するとは信じがたい気もします。しかも、ブッシュ政権時代に国連大使を務めたタカ派のジョン・ボルトン氏を、トランプ氏はこの3月下旬に国家安全保障問題担当の大統領補佐官に起用したばかりです。 ところで、トランプ大統領は先月、ペンシルバニア州の補欠選挙を意識してか、鉄鋼・アルミ製品の輸入制限を声高に主張し、実行に踏み切りました。しかし、同補選では共和党候補が敗れ、通商政策で標的とした中国からは報復措置がとられる始末です。中国の習近平国家主席と北朝鮮の金正恩労働党委員長による北京での会談は大々的に報じられ、米中貿易摩擦は北朝鮮問題を絡めると、中国側を優位に立たせた印象があります。 米中の経済問題における政治的駆け引きは、もちろん米朝首脳会談とも無関係ではありえません。共和党政権は、どちらかといえばタカ派寄りのスタンスをとりがちで、今年11月の中間選挙をにらむと、なおさら他国に譲歩はできないはずです。自国の利益最優先のトランプ大統領にとってアジアの安定化が関心ごととは思えません。米朝首脳会談が実現しても緊張緩和が実現するとは限らず、必ずしも円安要因とはならないでしょう。 《SK》