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韓国の輸出管理を分析する vol.1 日本の対韓輸出規制は安保上の懸念から【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】
2019/12/18 16:06
FISCO
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*16:06JST 韓国の輸出管理を分析する vol.1 日本の対韓輸出規制は安保上の懸念から【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】 ◆フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議の主要構成メンバー シークエッジ グループ代表 白井一成 アイスタディ代表取締役 中川博貴 フィスコ取締役 中村孝也 【フィスコ世界経済・金融シナリオ会議】は、フィスコ・エコノミスト、ストラテジスト、アナリストおよびグループ経営者が、世界各国の経済状況や金融マーケットに関するディスカッションを毎週定例で行っているカンファレンス。主要株主であるシークエッジグループ代表の白井氏も含め、外部から多くの専門家も招聘している。それを元にフィスコの取締役でありアナリストの中村孝也、アイスタディの代表取締役である中川博貴が内容を取りまとめている。2016年6月より開催しており、これまでにも今後の中国経済、朝鮮半島危機、第四次産業革命後の日本経済の分析、仮想通貨と日本経済のゆくえ、デジタル資本主義、米中冷戦などの分析・考察を行ってきている。 ◇以下は、フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議で議論したことをFISCO監修の投資情報誌『FISCO 株・企業報 Vol.8−「反日」が激化する 韓国の「いま」と「今後」 4つのシナリオ』(9月26日発売)の特集『韓国の「輸出管理」を分析する』でまとめたものの一部である。全2回に分けて配信する。 ■日本の対韓輸出規制は安保上の懸念から 日本政府は2019年7月1日、韓国に対する半導体材料の輸出管理を厳しくすると発表した。具体的には「フッ化ポリイミド」「レジスト」「フッ化水素」について、輸出ごとに許可・審査を受けるよう経済産業省が同月4日から改めるというものだ。 従来は、いわゆる「ホワイト国(「グループA」が正式名称)」と呼ばれる特別な待遇で韓国を優遇していたため、包括的に許可を得て、まとめて輸出できるという簡便さがあった。しかし、2015年から2019年3月にかけて、韓国で軍事転用可能な戦略物資の不正輸出摘発が計156件もあったことなどを理由に日本政府は韓国を「グループA」の適用から除外したのである。 これにより、日本から半導体生産に不可欠な「フッ化ポリイミド」「レジスト」「フッ化水素」を輸出する際に、煩雑な手続きを行わなければならなくなった。 有機ELディスプレイの材料に使用される「フッ化ポリイミド」、半導体の露光工程で使用される感光材である「レジスト」、半導体製造におけるエッチングガスとして使用される「フッ化水素」などはいずれも高付加価値品であり、日本企業で90%程度のシェアを占めている品目もある。つまり、韓国の主力輸出品である半導体業界は、日本が支えている状況になっているということだ。 日本政府が強硬策をとる背景のひとつには、韓国向け輸出で不適切な事案があったためとされている。軍事転用が可能な輸出品目が、適切でない国、もしくは企業に韓国から流れているという判断なのだろう。安保上の友好国であるホワイト国には共通の価値観を持つと信頼して、貿易面なども含めた優遇措置をとることが多い。中国、北朝鮮に寄る韓国に対して、日本政府は安保上の観点から対応したものともいえる。 フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素は戦闘機、レーダー、化学兵器などに使用され、軍事的にも重要な材料だ。日本政府は、韓国が軍事転用もできる技術をしっかり管理していない(中国、北朝鮮など敵対国と共有する)とみているのかもしれない。アメリカとも事前に協議済みということであれば、日本政府の韓国外しは脅しでなくなる。 韓国政府は日本の半導体材料の輸出管理に対して、世界貿易機関(WTO)違反で提訴する動きを見せている。しかし、日本政府は友好国としての優遇措置を取り消すだけで、元徴用工問題への対抗措置でないというスタンスだ。友好国としての優遇措置を取り消すと、輸出するごとに許可・審査を受けることになるが、韓国企業への影響は、その運用次第ということになるだろう。 韓国企業の在庫は1~3カ月ともいわれている。輸出審査が3カ月内に行われることが多い現状を踏まえると、審査期間が最大化されれば、韓国企業の在庫が厳しい状況を迎えることが想定される。既述のとおり、韓国の輸出に占める半導体の割合は非常に高い。ここがつまずくとなると、経済に及ぼす甚大な悪影響は、日本の自動車どころの比でないことは間違いない。 なお、半導体は中韓が高いシェアを持っている。西側の韓国でなく、中国寄りの韓国ということになれば、アメリカが危機感を持つことも容易に想定し得る。アメリカ、台湾で西側の半導体製造体制を整える方針をアメリカが考えているとすれば、日本の強硬な措置も頷ける。 (つづく~「韓国の輸出管理を分析する vol.2 韓国の不買運動など実体経済の影響も【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】」~) ◆執筆者 シークエッジ グループ代表 白井一成 アイスタディ代表取締役 中川博貴 フィスコ取締役 中村孝也
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