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総合防衛・Security展示会が日本で初開催、元統合幕僚長の岩崎氏「防衛装備技術移転、軍民両用利用にかなりの効果」

2019/12/12 15:25 FISCO
*15:25JST 総合防衛・Security展示会が日本で初開催、元統合幕僚長の岩崎氏「防衛装備技術移転、軍民両用利用にかなりの効果」 DSEIはDefense Security Exhibition Internationalの略であり、英国London市郊外で30年以上開催されている総合防衛・Security展示会である。今回はこの企画を初めてロンドン以外の地で行うこととなり、日本の幕張地区において11/18-20の3日間で開催された。 今回は世界の防衛・Security産業が日本の防衛コミュニティーと出合い最新の製品、システムの調達を支援し、国際関係を発展促進させ、日本と世界との間の新たなビジネスチャンスとパートナーシップ生み出そうと企画されたものである。 今回の成果は、英国でのDSEI主催者のclarion社の評価を待たないといけないものの、私は今回の幕張での開催の実行委員の一人として私なりに現段階で感じていることを以下に述べる。 概していえば、日本では今回初めての開催であったが、結果的には国内外から150社以上の企業が参加し、また期待していた入場者数を遥かに上回る数の方々に見て頂いたことからすれば、大成功と言える。 但し、事前の広報や周知徹底がやや遅れたため、我が国経済に影響を及ぼす政治家の方々の来場は期待したより少なかった。これは当展示会の開催期間が国会開催期間と重なり、かつ開催地の幕張が都心から結構な距離にある事から政務多忙のため参加でき難い状況であったのではと考えている。極めて残念であった。 今回の展示会に合わせてシンポジウムも行われた。 開幕とともに基調講演、それに伴うパネル討論が行われ、初日の午後から2日目、3日目と全部で9個のパネル討論会があった。各パネルの題目は以下のとおりである。(1)インド太平洋海域における航行の自由、(2)2020東京オリンピックに向けたSecurity・危機管理、(3)経空脅威への対応、(4)装備の移転、(5)技術の移転、(6)新時代の新たな脅威への対応(サイバー)、(7)新時代の新たな脅威への対応(宇宙)、(8)知的財産・輸出管理、(9)将来の大規模災害に対する備え−などとなる。 それぞれで活発な意見交換、質問に対する回答等が行われ日本側にとっても、国外の企業や参加者にとって有益だったとの評価と聞いている。 我が国は2014年4月に「防衛装備技術移転」に係る国家安全保障会議決定及び閣議決定を行った。これまでのところ、この枠組みを活用した装備技術移転は行われていない。これにはいろいろな原因があると考えられる。我が国があまり積極的な宣伝をして来なかったことや、国外で日本の持つ防衛分野での技術力や装備品が知られていないこと等があげられる。防衛分野での技術とは、必ずしも防衛装備品に使われるだけではない。その技術の多くは汎用性のある、いわゆる軍民両用利用(Dual Use)が可能な技術である。そのような観点からすれば今回のDSEIはかなりの効果があったものと考えられる。現時点で次回以降は決定されてはいないが、2年毎に行いたいとの意向をお持ちの方々が多いようだ。次回に期待が膨らむ。(2019.11.28) 岩崎茂(いわさき・しげる) 1953年、岩手県生まれ。防衛大学校卒業後、航空自衛隊に入隊。2010年に第31代航空幕僚長就任。2012年に第4代統合幕僚長に就任。2014年に退官後、ANAホールディングスの顧問(現職)に。 《SI》