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北朝鮮ミサイル発射を中国はどう見ているのか?拉致問題を抱える日本はどうすべきなのか?(1)【中国問題グローバル研究所】

2022/6/7 16:23 FISCO
*16:23JST 北朝鮮ミサイル発射を中国はどう見ているのか?拉致問題を抱える日本はどうすべきなのか?(1)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)遠藤 誉所長の考察を2回に渡ってお届けする。 北朝鮮が連日ミサイルを発射し、それに対して米韓も報復発射をしている。北朝鮮と軍事同盟を持つ中国はどう反応しているか。中国の基本姿勢とともに拉致問題を抱える日本のあるべき姿を考察する。 ◆中国の反応 まず北朝鮮が6月5日にミサイル8発を日本海に向けて発射したことに関して、中国ではほとんど報道されず、ただ環球時報が中央テレビ局CCTVアプリ版の報道を転載して「韓国と日本が報道した」(※2)という発信を3行しただけである。 ところが6月6日に米韓が合同で同様に8発のミサイルを日本海に向けて発射すると、CCTVはかなり大きく扱った。米韓が8発のミサイルを報復発射したことに関して(※3)と、北朝鮮に抗議するために日米が合同軍事演習をしたことに関しての報道(※4)をご覧いただきたい。扱いが突然大きくなっている。 ただ、特徴的なのは、北朝鮮のミサイル発射などの軍事行動に関して、中国は決して中国の情報として報道することはなく、たとえば今回も韓国の聯合ニュース報道の二次情報として報道している。米韓合同のミサイル発射も韓国の聯合ニュースを引用しているし、日米の合同軍事演習はロイター電として報道しているのである。 ◆なぜ中国は北朝鮮の軍事行動に関して他国報道の二次情報しか伝えないのか? 中国が基本的に他国報道の二次情報しか使わないのは、中国と北朝鮮の間に軍事同盟(中朝友好協力相互援助条約)があるからだ。これは1961年5月16日に韓国の朴正熙(パク・チョンヒ)が軍事クーデターを起こして軍事政権を樹立したため、北朝鮮は急遽、ソ連と中国に軍事同盟締結を求めたことに起因する。韓国とアメリカの間には米韓相互防衛条約という軍事同盟があるので、北朝鮮を軍事攻撃することを危惧したためだ。 ソ連は1991年12月に崩壊したので、自然消滅したが、中国との間の軍事同盟は今も存在している。 これがなかなかの曲者で、中国としては何度、この軍事条約を破棄しようとしたかしれないが、結局米中対立が激しくなってからは、日米韓から中国を守るための緩衝地帯として残すことにした。 しかし、北朝鮮が危ない行動ばかりをするので、いつ、米韓と軍事衝突をするようなことがあるか分かったものではない。中国としては、一党支配体制の維持を最優先事項にしているので、その「巻き添え」になりたくないという気持ちから、北朝鮮にも「抑制」を求めているのだが、これがなかなか言う通りには動かない。 金正恩政権が誕生してしばらくの間は、「北のミサイルの矛先は北京を向いている」とさえ言われた時期があったほどだ。 しかし、トランプ政権が誕生し、「トランプ・金正恩」会談という、奇跡的なことが起き始めてからは、金正恩も習近平に低姿勢になり、トランプ大統領に会う前に「北京詣で」をするという、前代未聞の情況がしばらくあったわけだ。 いずれの場合でも、中朝は複雑に絡みながらも、「軍事に関する機密は守る」という大原則があるため、北が起こした軍事行動に関して、中国は他国が報じてからでないと報道しないという「基本」を守っている。 「北朝鮮ミサイル発射を中国はどう見ているのか?拉致問題を抱える日本はどうすべきなのか?(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。 写真: KRT/ロイター/アフロ (※1)https://grici.or.jp/ (※2)https://world.huanqiu.com/article/48IMUaTDRBs (※3)https://tv.cctv.com/2022/06/06/VIDEEG0jq4MGFEDHKXbCzzhv220606.shtml (※4)https://tv.cctv.com/2022/06/06/VIDEXm2mgBBnAgwYwj0cC0eF220606.shtml 《FA》