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【マザーズ市場の投資戦略2023~新興市場の回顧と今後見通し~vol.3】マザーズ先物活用法と東証グロース市場の注目企業
2023/2/16 18:19
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*18:19JST 【マザーズ市場の投資戦略2023~新興市場の回顧と今後見通し~vol.3】マザーズ先物活用法と東証グロース市場の注目企業 2023年2月15日にYouTubeチャンネル「FISCO TV」で配信された「マザーズ市場の投資戦略2023~新興市場の回顧と今後見通し~」です。マザーズ先物の活用メリットを、新興市場の昨年の振り返りと今後の見通しを、フィスコマーケットレポーター高井ひろえが紹介、3回に分けて配信します。 さて、ここからはマザーズ先物の活用メリットについてお話していきたいと思います。これまで話してきたように、今年は相対的に新興株の優位性が発揮される年だと思いますので、マザーズ先物を活用できる場面も多いと考えられます。マザーズ先物を活用するメリットは、このように主に6つの点が挙げられます。 まず、一つ目の「小額から取引可能」から見ていきましょう。マザーズ銘柄には有望なものが多いですが、東証グロース市場指数の時価総額上位250銘柄から構成されるだけに、最低投資金額がそれなりに嵩むものも多くあります。しかし、マザーズ先物であれば少額から取引が可能で、手軽に新興株、グロース株への投資ができます。具体的に説明していきましょう。今年1月23日時点のマザーズ先物の終値は768ptでした。マザーズ先物の最低単位は1枚から、先物価格の1,000倍単位からの売買となりますので、例に挙げたように76万8,000円からの取引ということになります。ただ、実際に取引する際はこの金額の全てを用意する必要はなく、証拠金という小額の金額を用意すれば始めることができます。1月23日時点のマザーズ先物取引の証拠金は54,000円です。時価総額上位のマザーズ銘柄を現物株で取引しようとすると、おおむね数十万円の資金が必要となるのに対し、マザーズ先物であれば10万円未満という少ない金額から取引可能で、この点は大きなメリットでしょう。 そして、これが2点目のメリット「投資効率の高さ」につながってきます。マザーズ先物は54,000円という証拠金を用意するだけで76万8,000円の取引ができるわけですから、計算すると、およそ14倍のレバレッジがかけられることになります。現物株の信用取引でもレバレッジをかけた取引は可能ですが、こちらの場合は預けた担保評価額の最大3.3倍程度までに限定されますので、マザーズ先物取引の方が投資効率は非常に高いと言えます。 次に、「現物株の取引ができない時間帯でも対応可能」という点についてご説明いたします。先物は現物株の取引を行うことができない夕方4時半(16:30)から翌日の早朝6時までの間も取引を行うことが可能です。これにより、現物株の取引終了後に多くある決算などの会社側からのリリースや、夜間の海外市場発のニュースに対応した取引も行うことが可能です。個別企業に関する材料でも、時価総額上位のような指数への影響が大きい銘柄であれば、マザーズ先物の代替性は高く、積極的に活用することができるでしょう。決算発表シーズンでも主要企業の業績動向をいち早く確認し、マザーズ先物取引で対応することなどが選択肢として考えられます。 また、昨年からは、FRBの金融政策を占う経済指標の結果や、FRB高官らの発言によってアメリカの金利やハイテク株が大きく動き、それが翌日の東京市場の新興株にも波及することが多くなっています。このため、海外市場の動向によっては、夜間取引の間にマザーズ先物を買い建て、もしくは売り建てておくことで、早めに対応することも有効でしょう。 4つ目に「売りからも入れる、柔軟な戦略立案」があります。ほかに売りから入れる方法として、代表的なものに信用取引を活用した空売りがあります。ただ、新興市場の銘柄の場合、流動性などの観点から空売りを行うことは意外と難しいです。日本取引所グループが空売りできる条件を満たした銘柄として「貸借銘柄」と呼ばれる銘柄群を定めていますが、今年の1月10日時点で東証グロース市場の全上場銘柄514銘柄のうち貸借銘柄はわずか118銘柄しかありません。そのため、貸借銘柄でない時価総額上位銘柄を保有している場合、代わりにマザーズ先物を短期的な株価下落に備えたヘッジ手段として活用することができます。 例えば長期的には有望な銘柄なのでまだ持っていたいけれど、成長のための先行投資などで目先の決算が心配、そのほか、短期的な株式市場の急変が心配、などといったケースでの活用が挙げられます。 また、マザーズ先物は個別銘柄に組み合わせなくても、単独でも便利な投資ツールだと思っています。これが5つ目のメリットである「グロース株全体へのエクスポージャーを効率よく取得可能」に該当します。先ほどお話したように、今年はアメリカでインフレピークアウトとFRBの年前半における利上げ停止が想定され、新興株、グロース株を巡る投資環境は昨年と比べて大きく改善してくると考えられます。こうした中、個別銘柄の分析に時間をかけている余裕がなく、どの企業に投資したらよいかは分からないけども、とりあえず新興株・グロース株全体の上昇相場には乗っておきたいといった考えを持つ人は多いと思います。 こうした時には、マザーズ先物を買い建てれば、どの企業に投資するべきかを考えずとも、グロース株へのエクスポージャーを効率よく取ることができます。こちらは、東証グロース市場指数の時価総額上位銘柄で、マザーズ銘柄でもある3つの銘柄、マクビープラネットとフリー、弁護士ドットコムの2022年1月からの株価推移を表したチャートです。一目瞭然のように、同じ新興株といっても株価パフォーマンスの差は歴然としています。各国中央銀行による大規模緩和政策が終わったことで、新興株が何でも上がるような恵まれた時代は終わりました。今後は新興株の中でも本当に株価上昇が見込める銘柄を選別する目利き力が大切になってきます。そうした際に、個別企業の分析に時間が取れない、または自信がないといった人でも、マザーズ先物を活用することで効率よく新興株への投資と同じ効果を得ることができます。 また、個別企業の場合には固有のリスクが付きまといます。例えば、期待したような相場が到来して、グロース株が軒並み上昇しているような場面でも、たまたま自分が投資していた企業が株価にネガティブなリリースを発表してしまえば、多くのグロース株が上昇しているなか、自分だけは利益を取れないといったこともあり得ます。マザーズ先物の買い建てであれば、こうした銘柄固有のリスクを排除することができるでしょう。 最後に6つ目のメリットとして、「祝日取引の開始」が挙げられます。昨年の9月23日、秋分の日から、株価指数先物など一部のデリバティブ取引で祝日取引が始まりました。基本的に1日程度の祝日であれば大きな問題はありませんが、ゴールデンウイーク(GW)のような国内の大型連休の最中に海外で重要イベントが開催されることもあります。そうした際に、連休明けまで待つことなく、祝日の間でもイベントに対応した取引が可能になることで、空白リスクを解消することができます。これは大きな新しいメリットになりますので、ぜひ皆さんにも覚えていただきたいと思います。 それでは、最後に東証グロース市場の新興株の中で、今後注目できそうな銘柄について、2つご紹介したいと思います。マザーズ先物単独でも投資に活用できるポイントは多くありますが、個別株と組み合わせることで多様な戦略を組み立てることができます。また、何より、個別株投資ならではの魅力もありますので、最後に、個別株についても少しお話ししたいと思います。 まず、一つ目はM&A総合研究所です。テクノロジーを駆使したM&A仲介事業を展開しています。経営者の高齢化による事業承継ニーズが高まる一方、日本ではM&A仲介会社が少ないこともあり、市場の需給逼迫が続くなか、M&A市場は拡大が継続しています。関連企業の業績も大半が好調です。こうした中、最高経営責任者、CEOがエンジニア出身である同社は、DXやAIといったIT技術を活用したM&A仲介を行っており、同業他社にはない特徴を持っています。着手金や中間報酬を排除した完全な成功報酬型体系である点も強みとしており、短期間で急成長を遂げてきています。そのほか、徹底的なデータドリブンな経営に基づく生産性向上が企業文化として根付いている点なども評価できます。 業界の中でも高さを誇る報酬体系やデータに基づく営業活動の可視化を背景に優秀な人材を惹きつけ、業績に直結するコンサルタントの数は順調に拡大しています。一人当たり契約件数や契約単価などの各種重要指標も順調に改善が進んでおり、成長期待は高いです。2023年9月期は前期比71%増収・50%営業増益と高成長を見込んでいますが、営業利益率などは保守的に設定していて、上振れ期待は高いです。実際、第1四半期の営業利益は前年同期比で97%の増加となり、通期計画に対する進捗率44%と好発進となりました。今後も引き続き注目できると考えています。 2二つ目はサンクゼールです。ワイン、ジャム、パスタソース、ドレッシングなどを展開する「サンクゼール」ブランドと、だし、ご飯のお供、和調味料、酒類(さけるい)などを展開する「久世福商店(くぜふくしょうてん)」のブランドを主力に、日本及び米国で事業を展開しています。企画から製造、販売までを垂直統合させることでサプライチェーンにおける無駄を省き、消費者ニーズに迅速に対応可能なSPA、製造小売業モデルを採用している点に強みを持っています。商業施設などの店舗からネット通販(EC)、スーパーマーケットなどのホールセール、そして米国主体のグローバルまで多様な販売網を持っている点も強みです。 日本は人口減少社会ですが、共働きによる時短ニーズや婚姻数の減少に伴う孤食傾向を背景に、加工食品市場は成長が続いています。また、海外での日本食人気の高まりを背景に米国事業も成長中です。不採算店舗の撤退によって出店成功パターンが確立してきており、収益性も改善傾向にあります。同業他社と比べて高い利益率がフランチャイズチェーン(FC)の継続的な出店意欲を高めており、今後の出店余地も多分に残されている中、成長ポテンシャルは高いといえるでしょう。 3つ目はサンウェルズです。パーキンソン病の人を対象とした専門施設「PDハウス」の運営を主軸にしています。パーキンソン病は国の指定難病で症状が多岐にわたり、根本的に治療する方法がまだ確立されていません。こうした中、患者の間では「入院以外で毎日のリハビリを受けられる場所がない」といったニーズがあり、サンウェルズはパーキンソン病に特化したPDハウスを運営することでこうしたニーズに応えています。具体的には、PDハウスでは、神経内科専門医師による訪問診療や24時間体制での看護・服薬管理が可能となっており、課題解決に大きく貢献しています。 厚生労働省によると、2020年度末時点でパーキンソン患者の数は約14万2000人おり、うち施設入居している人は約4万人いるとされています。2023年3月期末時点において、サンウェルズのPDハウスの定員数は1047人となる見込みのため、市場の開拓余地はまだまだ多く残されているといえます。サンウェルズは今後、毎期10店近いペースで新規開設していく方針を掲げており、順調な出店と迅速な稼働率向上を強みに今後も高い成長が続くと予想されます。 さて、いかがでしたでしょうか。今回は、新興株を巡る投資環境やマザーズ先物の活用メリット、そして注目できそうな新興株まで幅広くご紹介してきました。皆さまの投資に少しでも役立つヒントがあれば幸いです。最後までご視聴いただきありがとうございました。 ※原稿作成:フィスコアナリスト仲村幸浩 《NH》
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