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サンワテクノス Research Memo(7):脱炭素社会の実現、サプライチェーンリスク高まりを商機に成長目指す(2)

2021/12/13 16:07 FISCO
*16:07JST サンワテクノス Research Memo(7):脱炭素社会の実現、サプライチェーンリスク高まりを商機に成長目指す(2) ■サンワテクノス<8137>の中期経営計画の進捗状況 (2) 「グローバル事業を拡大し市場の需要をサポートする」の進捗状況 このテーマでは、2019年8月にベトナム・ホーチミン市に事業拠点を開設し、同国内で2拠点体制として販売体制の強化を図ったが、2020年以降はコロナ禍の影響もあってリモートでの営業活動を強いられたため、新規顧客の開拓が難しい状況にあり、既存顧客に対する営業活動を中心に進めてきた。今後、コロナ禍が収束すれば新規顧客の開拓にも注力していく予定となっている。 一方国内では、新たな取り組みとして2019年から地方都市にスマート営業所の開設を進めている。従来は「リモート支援型営業所」と呼んでいたが、今回から「スマート営業所」を正式名称とした。スマート営業所とは、営業スタッフ(2名程度)だけで構成する小規模な営業所のことを指し、地方の中小都市に点在している優良顧客との関係をより強固なものとし取引深耕を図るほか、新規顧客の開拓にもつなげていくことを目的とした拠点となっている。事務スタッフなどは置かず内勤業務については遠隔地にある支店でサポートするため、営業所に係る経費や内勤スタッフの人件費を抑えることが可能となる。コロナ禍において、Web商談を行うケースが増えているが、FA・産業機器などBtoB市場では顧客の要望も多種多様であり、直接面談して話を聞くことで信頼関係を構築し、新たな商談につなげていく場合が多い。実際、2019年にスマート営業所として初めて開設した四国営業所(愛媛県新居浜市)や、2021年3月期に新設した長岡営業所(新潟県)、甲府営業所(山梨県)では顧客との商談件数が増加しており、今後の取引拡大につながるものと期待されている。 同社ではスマート営業所を開設する条件として、住宅兼用ではなくオフィス専用の事務所を設置すること、営業スタッフが2名以上であること、営業所開設に際して企画書を開設希望者本人で作成することの3つを挙げており、この3つの条件が揃った段階でスマート営業所を開設することにしている。2021年10月には金沢営業所(石川県)を開設したほか、同年12月に北九州営業所(福岡県)、2022年前半に盛岡営業所(岩手県)を開設する予定となっている。また、海外でも2021年1月にマレーシアのペナン、同年5月に中国の厦門にそれぞれ現地スタッフによるスマート営業所を開設し、現地の日系顧客企業との取引深耕を図っており、今後もインドや中国の武漢、青島に営業所を開設することを検討している。 (3) 「新事業領域へ挑戦し持続的成長を加速する」の進捗状況 このテーマに関してはマネジメント人材の育成を重要課題と認識しており、その取り組みを推進している。なかでも、経営人材の育成を重要課題として捉えており、人材育成システムとして、「グローバルネクストリーダー研修」「100年を描く未来討論会」「ビジョン・中期経営計画策定委員会」などをオンラインも活用しながら開催している。またグローバル事業を拡大していくに当たって、海外拠点において現地スタッフのマネジメント人材を育成・登用し、組織力を強化していく取り組みも進めている。 現在13ヶ国28拠点に展開している海外現地法人では日系企業が顧客の大半を占めていることから、日本人がマネジメントに携わってきたが、さらなる成長に向けて現地スタッフのマネジメント登用による組織力の一段の強化が重要と考えている。連結従業員数約1千名のうち外国籍は400名規模(うち、約半分は中国)となっている。マネジメントスキルを持つ人材を外部招聘するのはコストが高くなるためグループ内で育成していく方針で、幹部候補生について日本での研修を進めている。マネジメント人材のグローバル化が進めば、現在売上構成比で10%程度(中国市場では約35%)にとどまっている外資系企業の顧客開拓も進み、海外売上高も一段と拡大していくものと弊社では予想している。なかでも中国市場については、今後半導体や電気自動車などの産業育成を政府方針として掲げていることから、中長期的に設備投資の拡大が予想され、これら業界で現地優良顧客を多く取り込むことができればさらなる売上成長につながるものと考えられる。 (4) 「持続可能な社会の実現への取り組み」の進捗状況 SDGsの観点での取り組みとしては、ICTの活用による働き方改革を推進しており、在宅勤務などニューノーマルな働き方にも柔軟に対応している。またSDGsに関する社内での取り組みとしてSDGsアンバサダーを設置し、SDGsの啓蒙活動に取り組んでいるほか、個々の社員に対してもSDGsに関する目標も持たせて意識付けを行うようにしている。事業面においては、脱炭素社会の実現に向けた取り組みとして太陽光パネル等の再生可能エネルギーや電気自動車関連など、クリーンエネルギーをテーマとしたビジネスやCO2排出量削減に貢献する省エネルギー関連ビジネスをテーマに掲げて、営業活動を強化している。 (5) 次期中期経営計画について 同社は長期ビジョンとして「サンワビジョン2025」を策定し、2026年3月期に売上高2,500億円を目標として掲げている。2023年3月期からスタートする次期中期経営計画では足元の市場動向も踏まえながら長期ビジョンの達成に向けた戦略を立案していくことになるが、売上目標としては会計基準が変更になったこともあり見直す可能性がある。しかしながら、中長期的に見れば、同社がターゲットとする業界の設備投資は好不況のサイクルを描きながら経済成長に伴って拡大していることから、同社の業績トレンドもその流れに沿って成長していくことが予想される。特に、脱炭素社会の実現に向けた世界的なムーブメントにより、省エネルギー関連機器や省力化につながる高効率モーター、制御機器、インバータ等の需要拡大が今後より一層期待されるなかで、これら商材を取り扱う同社にとっては事業拡大の追い風となるだろう。また、グローバルSCMソリューション事業やエンジニアリング事業についても今後の成長が期待できる状況となっている。 2000年3月期を起点として2021年3月期までの21年間の年平均成長率を計算すると、売上高は4.7%、営業利益は4.0%となる(直近の業績ピークであった2018年3月期までの18年間では、売上高で6.0%、営業利益で8.6%成長)。今後については、『NEXT 1800』で取り組んでいる重点施策によって既存ビジネスの深耕や新規ビジネスの開拓、海外も含めた新規顧客の開拓を進め、市場環境の追い風を捉えていくことができれば、成長スピードを加速していくことも十分可能であると弊社では見ている。 なお、同社では今まで中期経営計画の内容については、社員教育も兼ねて有志の中堅社員でその都度プロジェクトチームよりアイデアを出して策定してきたが、次回からは経営戦略室で計画を策定し、その後も永続的に関与するよう体制を改めている。これにより中期計画に対する実績の評価や分析を行い今後の改善策に生かすことが可能になると見られ、経営力の向上につながるものと期待される。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《EY》
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電機・電子・機械を手掛ける独立系技術商社。双方向取引に特徴。電子部門の売上高比率が高い。機械部門は売上好調。自動車関連業界向け設備機器などの販売が増加。特別利益を計上。24.3期3Q累計は最終増益。 記:2024/02/11