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ベルシス24 Research Memo(4):2021年2月期第2四半期は、大型スポット業務により増収増益決算(1)

2020/11/24 15:04 FISCO
*15:04JST ベルシス24 Research Memo(4):2021年2月期第2四半期は、大型スポット業務により増収増益決算(1) ■業績動向 1. 2021年2月期第2四半期連結決算 ベルシステム24ホールディングス<6183>の2021年2月期第2四半期累計期間における日本経済は、一部で持ち直しの動きが見られるものの、コロナ禍の影響により依然として厳しい状況が続いている。特に、観光業、飲食業への影響は甚大なものとなった。一方で、在宅勤務や巣ごもり需要により、今までとは異なる生活形態から新たな需要が出てきている。また、雇用・所得環境においては、事業環境の厳しさから完全失業率はわずかに上昇しており、上昇を続けてきた賃金水準も横ばい圏内での推移となっている。 同社グループが属する情報サービス業界は、アウトソーシング需要の高まりを受け、市場規模は堅調に推移している。また、コミュニケーション手段の急速な技術革新に伴い、消費者との対話においてもAI(人工知能)等の導入による自動化が始まる等、カスタマーサービス分野において、なお一層のサービスの高度化が求められている。一方で、同社グループの主力事業であるCRM事業においては、同一労働同一賃金への対応により賃金の上昇が続いている。 このような経営環境下、同社グループでは2021年2月期からスタートした中期経営計画に基づき、「社員3万人の戦力最大化」、「音声データ活用によるDX推進」、「信頼と共創のパートナー成長」の実現に取り組んでいる。 2021年2月期第2四半期累計期間においては、長年蓄積したコンタクトセンター現場での運用ノウハウと、AI・自然言語処理・アナリティクス・ビッグデータなど、新たな技術領域を組み合わせた「機械知能(Machine Intelligence)」の独自開発による、「ヒト」と「新技術」を融合させた「次世代コンタクトセンター」の創出を目的に、「イノベーション&コミュニケーションサイエンス研究所」を同社内に設立した。それに伴い、コンタクトセンター業務での利用に特化した高精度なAI検索エンジン「Mopas(モーパス)」と、AIナレッジメンテナンス機能「Knowledge Creator(ナレッジクリエーター:特許出願中)」で構成され、顧客からのメールでの問い合わせ対応業務の効率化につなげる、独自開発のAI技術サービスの提供を開始している。また、従来はコミュニケーターによる電話対応が必要であったコンタクトセンターの1次受付や、資料請求・予約受付など定型的な受付業務を、人の手を介さず自動音声で応答できるボイスボットプロダクトのエントリーモデル「ekubot」の提供を開始している。 こうした取り組みの結果、同社の2021年2月期第2四半期累計の連結業績は、売上収益66,871百万円(前年同期比6.1%増)、営業利益6,623百万円(同12.6%増)、税引前利益6,416百万円(同14.3%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益4,250百万円(同14.7%増)の増収増益決算となった。2021年2月期通期予想に対しても、売上収益は50.7%、営業利益は57.6%、親会社の所有者に帰属する四半期利益は59.0%に達するなど、順調な決算であった。新型コロナ対策としての政府による家賃給付や10万円給付関連の書類への問い合わせ対応業務などに伴うスポット業務の受注による売上収益増と、自宅待機した社員にも十分な給与を保証したことで退職率の低下等に伴うコスト抑制が増益をもたらした。こうした好決算は、コロナ禍という非常事態にあっても、同社が社会インフラとしての役割を十分に果たした証左と評価できるだろう。 以上から、同社の売上高営業利益率は9.9%で、前年同期比0.6pt上昇しており2020年3月期の東証1部上場会社サービス業平均の4.5%を大きく上回る。また、同社の2020年2月期のROEも14.8%で、東証1部上場社サービス業平均の5.6%を大きく上回っている。同社が属するサービス業には様々なビジネスモデルの会社を含むため、同社と業界平均の単純比較は難しい面があるが、同社の収益性は極めて高いと言えるだろう。 (1) セグメント別の状況 セグメント別では、主力のCRM事業の売上収益が66,269百万円(前年同期比6.6%増)で、売上収益全体の99.1%を占めた。一方、その他事業は602百万円(同31.3%減)で、売上収益全体の0.9%にとどまった。 CRM事業売上収益内訳では、コロナ禍の影響で営業活動に制約あり、新規業務が遅れたことで、継続業務が59,010百万円(前年同期比3.4%増)にとどまった。ただ、スポット業務では、政府の新型コロナ対策の一環としての家賃給付や10万円給付の提出書類に関する問い合わせ対応業務が急増した結果、売上収益は7,259百万円(同42.2%増)となり、CRM事業の増収に大きく貢献した。一方、その他事業は、医療関連事業の再編に伴い、医薬・ヘルスケア分野のコンタクトセンター事業等をCRM事業に含めて開示することに変更したこともあり、前年同期比では減収となった。 営業利益段階では、CRM事業が6,493百万円(前年同期比11.4%増)で、営業収益全体の98.0%を占めた。一方、その他事業は130百万円(同165.3%増)で、営業収益全体に占める比率は2.0%に上昇した。従来、その他事業に含まれていた、医薬・ヘルスケア関連の不採算事業を前期に売却した効果が現れたと言えるだろう。以上の結果、コア事業であるCRM事業の営業利益率は9.8%(前期比0.4pt上昇)、その他事業は21.6%(同16.0pt上昇)となり、全体の営業利益率改善につながった。 伊藤忠シナジー拡大については、同社の筆頭株主である伊藤忠商事のネットワークを活用し伊藤忠グループ関連の案件をはじめとする新規案件の獲得を継続・拡大を図った。同社が定義する伊藤忠シナジーとは、伊藤忠商事の子会社や関連会社だけでなく、その取引先も含むため、同社が対象とする開拓先は広大である。これらの伊藤忠グループ案件による売上収益は、2017年2月期の72.5億円から、2020年2月期は131.7億円へと、年々順調に増加している。2021年2月期第2四半期累計でも、72.8億円(前年同期比16.5%増)であった。足元ではコロナ禍の影響を受けて伸びが一時的に鈍化しているものの、今後も新技術活用における連携(出資、提携など)、海外事業展開における連携などによって、伊藤忠シナジーはさらに増加し続ける見通しだ。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) 《NB》
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時価総額 92,413百万円
国内コンタクトセンター大手。カスタマーサポートやセールスサポート、BPO等のCRM事業が主力。伊藤忠商事が筆頭株主。通信系企業との取引比率が高い。配当性向50%目標。基礎業務のクライアント数は順調に拡大。 記:2024/07/02