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日本化学工業 Research Memo(8):高付加価値製品の開発を推進
2020/1/31 15:08
FISCO
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*15:08JST 日本化学工業 Research Memo(8):高付加価値製品の開発を推進 ■日本化学工業<
4092
>の中長期成長戦略 5. 高付加価値製品の開発を推進 120年以上の歴史の中で培われた配合・合成ノウハウをベースとして、中期的に需要拡大が期待される高付加価値製品を中心に開発を推進している。 MLCC(積層セラミックコンデンサ)に使用するパルセラム(チタン酸バリウム=BaTiO3)は需要が急拡大している。BaTiO3は高い誘電率特性を持ち、コンデンサの材料として使用される。特にMLCCの誘電体層として電子回路の高性能化に貢献している。実用化されているBaTiO3の合成法には、汎用部品に適した固相法、小型部品に適した水熱合成法、高信頼性部品に適した蓚酸塩法があるが、同社は主に蓚酸塩法でBaTiO3を製造し、車載やIoTなどの高い信頼性が要求される高付加価値分野での事業展開を推進している。そして需要拡大に対応して生産能力を増強している。 ICカード・ICタグ向けの製品として、ICチップとアンテナを接続する異方導電接着剤SMERFは、独自の材料と技術を用いて開発した。キャッシュレス化や無人レジなどの流れを背景に需要拡大が期待されている。 量子ドット(QD=Quantum Dot)用原料の需要拡大も期待されている。量子ドットは直径2~10ナノメートルで独特な光学特性を持つ特殊半導体である。この量子ドットが均一に配列されることで、スーパーハイビジョンが目指す広色域の映像を実現する有力な材料となることが期待されている。そして量子ドット技術を活用した液晶ディスプレイやテレビ(QDTV)は既に実用化され、今後普及が加速すると期待されている。同社は量子ドット用原料として高純度のリン製品を供給している。 この他の主な研究開発として、化学品事業のシリカ製品では環境関連の材料、リン製品では高機能性を有する各種燐酸塩、電子工業向け高純度薬品、機能品事業では高性能誘電・非鉛圧電材料、導電性ペースト、熱電変換素子、負熱膨張剤、有機化学品関連のアルキルホスフィン誘導体、ホスホニウム塩系イオン液体、キラルホスフィンリガンド、高輝度LEC(電気化学発光セル)用電解質などの開発を推進している。 なお北海道大学伊藤研究室との共同研究で開発したキラル触媒は、60年間不可能だった触媒的不斉反応を初めて実現した。不斉水添反応に用いられるキラルホスフィンリガンドの効率的開発につながると期待されている。 空調関連事業では、半導体製造設備向けの高性能ケミカルフィルタ、医薬向けのアイソレーターなどのクリーン機器、集塵機や陽圧防虫システムなどの環境改善機器の開発を継続し、新たに脱臭分野や分煙分野への進出に向けた取り組みを開始している。また子会社化したロックゲートが取り扱う極低温冷却機器は、ビッグデータ解析や新薬開発で実用化が期待される量子コンピュータに使用されており、今後の展開が注目される。 レスポンシブル・ケアに対する取り組み 6. レスポンシブル・ケア 同社は企業理念の「人を大切に、技を大切に」に基づいて、1997年4月にレスポンシブル・ケア(RC)基本方針を策定している。RCは化学物質を製造または取り扱う業者が、化学物質の開発から製造・物流・使用・最終消費を経て廃棄に至るまでの全ライフサイクルにわたって、環境保全・保安防災・安全及び健康の確保を経営方針において公約し、社会との対話を通して信頼を深めていく自主管理活動である。1985年にカナダで誕生し、世界60ヶ国以上で展開されている。 具体的な基本方針として、環境保全・保安防災・労働安全衛生及び製品安全に関する国内外の法規制遵守、環境を配慮した安全操業、環境負荷の少ない安全な製品と情報の提供、環境保全に向けた資源・エネルギーの効率的使用及び廃棄物削減、環境保全や安全確保対策の実施状況に関する自主監査の実施を行い、全社員の責任の自覚と社会との信頼の向上に努めるとしている。 なお食添用リン酸について、ハラール認証(イスラム教が禁じているものを含まない食品等の規格を定め、原材料・製造工程・製品品質等を審査し、適合する製品にハラールマークを表示させる制度)を取得している。また2019年7月には経営トップによる安全衛生方針のポスターを東京労働局のホームページに掲載した。 中期的に収益拡大・高収益化を期待 7. 中期的に収益拡大・高収益化を期待 2020年春に発表が予想される次期・中期経営計画は、徳山工場の新生産棟建設(投資額約37億円、2021年春竣工予定)や東南アジアの生産拠点計画着手(2022年前半の稼働目標)などで、設備投資が高水準となって減価償却費が増加するため、新工場の円滑な立ち上げと生産性向上、新製品開発の加速など、次の成長ステージに向けた強固な事業基盤の構築時期という位置付けになりそうだ。 MLCC用パルセラム(チタン酸バリウム)など高付加価値製品の需要拡大も背景に、こうした強固な事業基盤の構築時期を経て、中期的に収益拡大、一段の高収益化が期待される。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) 《ST》
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4092 東証プライム
日本化学工業
2,363
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-51(%)
時価総額 21,085百万円
無機化学製品や電子セラミック材料、電池材料等を手掛ける化学メーカー。1893年創業。チタン酸バリウムの設備能力増強進める。アジア地域中心に販売体制の強化図る。中期経営計画では27.3期売上490億円目標。 記:2024/06/13
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