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三栄コーポ Research Memo(1):2020年3月期第2四半期は利益V字回復

2019/12/18 15:01 FISCO
*15:01JST 三栄コーポ Research Memo(1):2020年3月期第2四半期は利益V字回復 ■要約 三栄コーポレーション<8119>は、70年以上の歴史を持ち高付加価値品を主に取り扱う多機能な商社である。生活関連用品全般を扱い、製造・輸出入・卸・小売りまでのサプライチェーンを幅広く手掛け、海外には18ヶ所の拠点、国内直営小売店83店舗を持つ。欧州の差別化されたブランドの日本導入や、良品計画<7453>に代表されるこだわりある商品のOEM調達など、付加価値の高い商品を取り扱う点で個性が明確である。ビジネスモデル面ではOEMが売上高の約7割を占める。事業セグメント別では家具家庭用品事業(売上高の44.4%)、服飾雑貨事業(売上高の36.1%)、家電事業(売上高の14.3%)の3事業が柱である。 1. 事業内容 同社最大の事業セグメントが、家具家庭用品事業である。この事業は、OEMの比率が高く(売上高の約93%)、良品計画に代表される大手顧客の事業の伸びとともに成長してきた。直近は欧州顧客の大口のスポット受注のはく落や米国量販店向けの縮小などが影響して調整局面を迎えたが、2020年3月期第2四半期は大幅に利益を回復している。今後も大黒柱であることは間違いない。成長著しいブランドとして、自社のeコマースブランド「MINT」がある。自社の販売サイト、楽天やYahoo!で1,000を超えるアイテムを販売しており、リーズナブルな価格の良質な家具、インテリア等が消費者のニーズに合致し、成長している。2019年3月には、マレーシアで家具・インテリアの自社工場が本格稼働を開始した。自社ブランド商品の製造はもちろん、ODM提案が図れる開発拠点としても活用していく方針である。 服飾雑貨事業ではブランド事業の存在感が高く(売上高の約49%)、本来は収益性の高いセグメントである。同社が取り扱う最大のブランドが「ビルケンシュトック」である。ドイツで240年以上の伝統がある機能美に優れたコンフォートサンダル・シューズブランドであり、1万円前後の価格帯にもかかわらず根強いファン層に支持されている。直営の61店舗とeコマースで販売され、長く使う顧客が多い商品だけに自社運営のアフターサービスも充実している。一時期のブームが落ち着いたことなどの影響で直近は減収減益傾向であり、復活に向けて取り組みを強化している。具体的には、不採算店の閉鎖やスタッフ・販売員の販売力強化、処遇改善を推進。店舗の賃貸借契約期間内での撤退は違約金が発生する等の理由からスクラップ&ビルドには時間がかかり、効果発現には2〜3年程度かかると想定される。 家電事業ではOEM事業の比率が約62%、ブランド事業の比率が約38%である。OEM事業では、中国の子会社で調理家電、理美容家電を製造、販売する。ブランド事業では、調理家電「Vitantonio®(ビタントニオ)」、理美容家電「mod’s hair(モッズ・ヘア)」、業務用ブレンダー「MULTI CHEF(マルチシェフ)」を展開。全体として売上高・営業利益ともに堅調である。直近、ヒット商品に、理美容家電ブランド「mod’s hair」のモバイルヘアアイロンがある。 2. 業績動向 2020年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が20,941百万円(前年同期比0.5%増)、営業利益が627百万円(前年同期は29百万円)、経常利益が656百万円(前年同期は107百万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益が205百万円(前年同期は12百万円の損失)となり、増収とともに各利益はV字回復した。増収をけん引したのはトラベル商材が好調の服飾雑貨-OEM事業。地域別では北米向けが減少したものの、日本向けと中国向けが伸長した。ブランド事業では、理美容家電が好調の家電事業は増収となったが、家具家庭用品事業及び服飾雑貨事業の売上が減少し、ブランド事業全体では減収となった。利益面においてV字回復となった主な要因は、1)日本向け及び中国向けのOEM事業の増収効果、2)北米地域における顧客見直し効果、3)家電ブランド事業の増収効果の3点である。 2020年3月期通期の連結業績は、売上高が前期比1.1%増の43,000百万円、営業利益が同46.2%増の1,100百万円、経常利益が同33.0%増の1,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同155.4%増の500百万円と増収増益を予想する。売上高予想に関しては、期初の予想を据え置いた。通期予想に対する第2四半期進捗率は、48.7%(前期は49.0%)と前期並みである。家具家庭用品-OEM事業の欧米市場における減収のマイナスを、服飾雑貨-OEM事業と家電事業の増収で埋めるという流れは上期同様である。営業利益と経常利益は期初の予想にそれぞれ100百万円を上乗せし、上方修正した。通期予想に対する第2四半期進捗率は、営業利益で57.1%(前期は3.9%)、経常利益で59.7%(前期は13.0%)と順調である。特に大幅な増益が見込まれるのが家具家庭用品事業。北米向けビジネスの見直しによる収益改善と家具インテリアのネット販売が下期も堅調で利益貢献することに加えて、海外拠点での販管費の見直し効果も寄与する見込みである。欧米市場の減少を国内・アジア市場の増加でカバーする、ブランドライセンス事業の停滞をOEM事業やオリジナルブランド事業でカバーするなど、多様な事業・地域に展開する同社ならではのポートフォリオマネジメントが有効に機能している。フィスコでは、グローバルな事業環境は変化が激しいものの、今期は余裕を持って利益目標を達成すると見込んでいる。 3. 成長戦略・トピック 同社の経営ビジョンには、「健康と環境」を掲げ事業に取り組んでいる。2019年6月には、日本環境設計(株) (本社:東京都千代田区)とパートナーシップ契約を締結し、循環型社会を目指す新たな取り組みを開始した。日本環境設計は、「あらゆるものを循環させる」というビジョンを掲げ、消費者から衣類やプラスチック製品を回収するインフラを持ち、さらに回収したものを、再び樹脂などに変換する独自の技術を持つ。この技術で再生された樹脂を新たに商品に使用することは、循環型社会の仕組み作りにもつながるため、環境省や大手小売店 (良品計画、イオン<8267>グループ、セブン&アイ・ホールディングス<3382>グループなど)も賛同しそのネットワークは確実に広がっている。具体的には、日本環境設計から提供されるリサイクル樹脂をバッグやポーチ などに製品化させ、卸売り販路を中心に営業活動を行う。また、同社のペットショップ(ぺピカ)店頭でペット用品の回収を年内にもスタートさせ、再製品化を行う予定だ。ペットショップでの回収プロジェクトは日本初である。 4. 株主還元策 同社では、安定的かつ継続的な配当実施と企業体質強化のための内部留保を踏まえつつ、配当性向30%程度を目途に配当する方針である。特に同社の安定性は際立っており、過去22年間連続して、増配または配当維持をしている。直近4年間(2016年3月期〜2019年3月期)は配当金年160円を継続する。商社という業種の特性上、業績の変動は大きいが、業績が悪い時でも安定した株主還元を行う企業姿勢は高く評価できる。2020年3月期は、配当金年160円(上期60円を実施済、下期100円予想)、配当性向は75.5%を予想する。 ■Key Points ・ 主力の家具家庭用品事業では国内外大手顧客向けOEMが柱。主力ブランド「ビルケンシュトック」はじっくり再生中。理美容家電「モッズヘア」でヒット商品 ・2020年3月期第2四半期は利益V字回復。トラベル商材(OEM)や理美容家電(ブランド)が好調。北米顧客見直しも増益に貢献 ・2020年3月期業績予想は経常利益11億円(上方修正)。第2四半期進捗率は約60%まで達しており順調。特に家具家庭用品事業が増益に貢献する見込み ・循環型社会を目指し、日本環境設計とのパートナーシップ契約を締結。販路開拓を目的にベトナムに新会社設立 (執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫) 《MH》
関連銘柄 4件
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時価総額 6,709,336百万円
国内流通グループ最大手。セブン-イレブン・ジャパンやイトーヨーカ堂、セブン銀行等を傘下に収める持株会社。海外コンビニ事業の売上構成比率が高い。海外コンビニ事業は店舗網の拡大、オリジナル商品の強化等に注力。 記:2024/10/24
7453 東証プライム
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時価総額 853,010百万円
生活雑貨や衣服、食品等の販売を行う「無印良品」を国内展開。西友のプライベートブランドとして1980年に誕生。海外では「MUJI」を展開。店舗数は国内外で1300店舗超。国内では日用品好調。生産管理を効率化。 記:2024/10/20
8119 東証スタンダード
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時価総額 8,772百万円
家具や家庭用品、服飾雑貨、家電を扱う生活用品の専門商社。1946年創業。ビルケンシュトック等のブランド事業や良品計画への商品提供を展開。服飾雑貨事業は売上順調。海外取引の拡大、EC事業の強化等に注力。 記:2024/06/04
8267 東証プライム
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流通大手。総合スーパーを軸に、食品スーパーやドラッグストア、金融、不動産などを手掛ける。アセアンなどアジアでも事業展開。GMS事業では食品PB中心に低価格戦略実施。SM事業では地域オリジナル商品を拡充。 記:2024/10/24