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日銀ネタで乱高下の円【フィスコ・コラム】
2023/2/18 9:00
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*09:00JST 日銀ネタで乱高下の円【フィスコ・コラム】 日銀の次期総裁人事や新体制の政策運営をめぐり、円の乱高下が目立ちます。大規模な金融緩和の政策修正が既定路線のように報じられてきましたが、当面は緩和継続の可能性も浮上。円の激しい値動きは「市場の歪み」だけではない、特殊な要因がありそうです。 1週間前の2月10日の取引で、ドル・円は約2円下げた後、1円半程度戻して引けました。政府が日銀総裁後任に植田和男元日銀審議委員を起用するとの報道を受け、いったん円買いに振れました。その理由は、黒田東彦総裁の緩和路線を継承するとみられていた有力候補であった雨宮正佳副総裁の可能性が消滅したからです。ただ、植田氏も当面は緩和政策の継続が必要と述べると、円は再び下落基調に戻っています。 日銀総裁人事は国会の同意案件のため、通常は政治ネタとして扱われます。大手マスコミは政治部が中心になって自民党の国会対策委員会の幹部などから得たと推測されます。このうちある経済紙は岸田政権から裏付けを取り、「雨宮氏に打診」と他社に先駆けて記事にしました。政府の方針を最も早く中枢から掴んだ点で価値はありますが、雨宮氏の辞退により結果的に誤報と言われても仕方ありません。 金融政策に関しても、昨年終盤から不正確な報道が相次ぎました。昨年12月の決定会合前には政府・日銀の政策協定が見直される、今年1月になると日銀が2023年度以降のインフレ見通しを上方修正するなど、黒田日銀が新体制への橋渡しのため「出口」を模索し、次第に緩和政策を修正していく方針と一般紙が伝えていました。しかし、1月の金融政策決定会合は事前の観測とは大きく異なる内容でした。 欧米の主要中銀の利上げにより日本の長期金利にも上昇圧力が高まっていますが、日本国債の利回りは10年物の方が7年物や9年物よりも低く推移する「市場の歪み」が指摘されています。先月の債券市場では日銀の緩和修正を見込んだ売りが加速し、10年物利回りの許容変動幅の上限である0.5%を一時突破。円の値動きも急激です。間違った情報がそうした「歪み」を増幅させている可能性もありそうです。 アメリカでは連邦準備制度理事会(FRB)の政策運営に関する有力経済紙の報道はおおむね正確ですが、日銀に関する日本の大手マスコミの報道には勇み足が多い印象だと、ある短期筋は大きく振れる円相場にあきれ顔です。もっとも、植田和氏は総裁就任後、当面は緩和政策維持でも年後半から徐々に修正に動くと現時点ではみられています。だとすれば、大手マスコミの報道は半年ほど先行していた、と言えるのかもしれません。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《YN》
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