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くすぶるユーロ・ドルの等価【フィスコ・コラム】
2022/6/5 9:00
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*09:00JST くすぶるユーロ・ドルの等価【フィスコ・コラム】 ウクライナ戦争を背景としたユーロ売りは一服したものの、1ユーロ=1ドルのパリティ(等価)への思惑が続いています。域内のスタグフレーション懸念が強まるなか、欧州中央銀行(ECB)は来週の理事会でタカ派姿勢を示し、ユーロを押し上げられるでしょうか。 ヨーロッパの大手資産運用会社アムンディがユーロ相場について、時期は不明ながらドルと等価になるとの見方を改めて示しました。テクニカルとファンダメンタルズの両面でユーロの価値が低下するとの見解です。実際、ユーロ・ドルは5月13日の取引で、1.0349ドルまで値を切り下げ、2017年1月に付けた1.0340ドルに迫る場面もありました。その水準を下抜ければ、20年ぶりの安値圏です。 ユーロにとって、2002年は初めて紙幣と硬貨が導入された節目の年でした。1991年1月の誕生後、ユーロはデジタル通貨として取り扱われ、導入した11カ国はユーロに対し固定相場を設定していました。2000年1月に1.04ドル台まで上昇後、同年10月には0.80ドル台まで下落。統合による混乱は徐々に収束し、2002年7月に1.00ドルを回復します。その年以降、パリティ割れは1度もありません。 ユーロ・ドル相場はその後、2008年7月に1.60ドルの過去最高値を付け、当時はドルに代わる基軸通貨の候補などともてはやされていました。しかし、それからすぐ後に発生した金融危機リーマンショックが、ヨーロッパの通貨による覇権構想を打ち砕きました。さらにギリシャショック、チャイナショック、そしてウクライナ戦争に見舞われ、相場は持ち直すことなく下降をたどっています。 今年5月に2017年の安値を下抜けていたら、恐らく1.03ドル、1.02ドルと次々に節目の水準を割り込んでいったかもしれません。そのユーロ安に歯止めをかけたのは、ECB当局者の金融引き締めに前向きな発言です。4月の理事会議事要旨で明らかになったように、ECBは来月にも利上げに踏み切る公算が高いです。危機を乗り切るため2016年にスタートしたマイナス金利を今年9月には終了させる方針です。 ECBは昨年12月から金融正常化に乗り出し、間もなく通常の資産買入れも終える予定です。その後は利上げを続ける構えですが、年末時点では中立的な水準に到達しないとみられ、利上げ幅拡大の可能性もあります。ただ、追加のロシア制裁でエネルギー価格は一段高。リセッションにつながりかねず、当局者内には慎重論も出ています。次回の理事会で7月利上げに向けコンセンサスを形成できるか注目されます。 とはいえ、人が変わったようにタカ派に転じたラガルド総裁が煮え切らない態度なら、持ち直しかけたユーロは再びパリティに突き進むかもしれません。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《YN》
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