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コラム【新潮流2.0】:なつぞら(マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆)

2019/7/31 9:05 FISCO
*09:05JST コラム【新潮流2.0】:なつぞら(マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆) ◆台風6号から変わった熱帯低気圧が抜けた日曜日の東京はむっとする暑さに包まれた。さすがに梅雨明けではないかと思うのだが、いまのところ関東地方に梅雨明け宣言は出ていない。平年に比べれば1週間程度遅いだけだが、昨年に比べると1カ月も遅い。それは昨年の梅雨明けが6月末と早かったせいだが、1年違いで1カ月も夏の長さが違うのは、やはり異常気象と言わざるを得ない。 ◆異常気象と言えば、新海誠監督の新作アニメ「天気の子」のモチーフだ。異常気象から数カ月も晴れの日がなく雨が降り続く2021年の東京が舞台である。「天気の子」の公開3日間の興行収入は約16億4000万円だった。2016年に大ヒットした前作「君の名は。」の公開後3日間の興行収入を3割弱上回ったものの、想定の範囲と受け止められ東宝の株価は利益確定売りに押された。 ◆いま、「アニメ」がすごく注目されている。「京アニ」の悲惨な事件が世間の耳目を集めたこともあるが、新海監督の新作の封切りや、海外作品では「Toy Story4」の公開、東京国立近代美術館では没後1年になる高畑勲の回顧展が開かれている。NHKの朝ドラの主人公もアニメーターだ。 ◆先週の朝ドラは、いよいよ主人公がテレビ漫画に取り組むことに。時は1963年、「鉄腕アトム」が大ヒットした年である。翌1964年には東京オリンピックが開かれ、まさに日本の高度成長期のど真ん中であった。 日本のアニメの黎明期は高度成長期に重なる。高度成長期に起業しグローバル企業に成長したのはホンダやソニーだが、日本のアニメもグローバルに多くのファンを獲得している。だが、いかんせんビジネスとしての規模や企業価値が小さく投資の目線に乗ってこない。将来、日本のアニメをコアとしたビジネスで米国のディズニーに並ぶような企業が現れないものか。遅い梅雨明けに「なつぞら」を望みながら、そんなことを考えた。 マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆 (出所:7/29配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋) 《HH》