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DXの「新本命」が東証一部へ「エル・ティー・エス」樺島 弘明社長インタビュー(前半)

2020/8/3 8:31 FISCO
*08:31JST DXの「新本命」が東証一部へ「エル・ティー・エス」樺島 弘明社長インタビュー(前半) 企業のデジタルシフトと働き方改革を促進支援する会社、エル・ティー・エス<6560>。取引先は伊藤忠商事、セブンイレブンジャパン、オリックスグループ、キリングループなど名だたる大企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)をサポートしています。7月8日には、マザーズから東証一部に市場変更し、ますます企業の成長力が加速しており、まさに「DXの新本命」企業です。今回は樺島弘明社長にフィスコの馬渕磨理子がお話を伺いました。 ◆樺島社長から見る日本企業のIT活用の課題感 創業当時、課題感としてあったのは、日本企業はITの“道具”を使いこなすことが苦手な企業が非常に多いと感じていました。複雑化した時代で成長性を高めるためには、ITシステムを適材適所に配置・導入しなければ未来はないと考えています。DXは日本経済の「生命線」。当社は、デジタルシフトを考える企業側と同じ目線に立ち、テクノロジーや外部の知恵、リソース活用を使いこなすための支援をするポジションを取っています。7月に東証一部への市場変更したことで、信用力の高まりとともに、より多くの企業様の支援を深いところまでさせていただきます。 ◆エル・ティー・エスの事業について「ビジネスプロセスを再デザイン」 当社の売上の約96%を占める「プロフェッショナルサービス事業」では、コンサルティングとDXを支援するデジタルサポートをしています。お客様の企業が今どんな状況なのかを把握し、企業の成長・変革の支援をします。 具体例は、メガバンクがDXに取り組んだものの上手くいかず、当社のサポートによって、トータルでコストが劇的に削減した事例があります。この時、我々は「ビジネスプロセスを再デザイン」しました。当時、メガバンクはRPAを使って2ケタ億のコスト削減を目指しましたが上手くいかなかった。これは、人が行った作業を全てRPAというツールに置きかえようとしたので、うまくいかなかったのです。当社は、ビジネスプロセス全体を見て、人に頼るべき作業、ITに振り分ける作業、アウトソーシング先の再選定、非効率な作業の削減など全てを俯瞰して、ビジネスプロセスのデザインを再構築しました、その後、ビジネスプロセスがうまく回るためのご支援を継続して行っています。 「プロフェッショナルサービス事業」のセグメント別売上高の今期予想は前年度比30.9%増の48億円(前年36億円)、営業利益は12.2%増の3億5000万円(同 3億1000万円)と増収増益の見通しです。 ◆企業のどこかで“常に”変化が起きている 10年に一度大きな変革をして会社を成長させていくといった、時代はもう終わりました。変革のスピード感は「早く」そして「常態化」しています。大中小、色んな変革に常に取り組むというのが、今の企業の状況で、企業のどこかでは常に変革が起きているのが今の時代です。 1つのプロジェクトを取り上げて、それを成功させるだけでは、企業の変革には足りません。我々は、プロジェクトの一気通貫、つまり、プロジェクトの企画・管理をし、プロジェクト後の定常業務に落とし込んだ後も成果をだしていくフェーズでも支援しています。多くのテック系の会社は、1つのプロジェクトを取り上げて、それだけを支援・成長させる場合が多いですが、当社は全体をみてサポート、プロジェクト後も業務支援することが大きな違いです。 ◆デザインを間違っているとDXは迷走する 日本では、企業のIT化により業務の効率化、省力化が謳われていますが、2017~2018年は思いのほか迷走したのが事実です。ビジネスプロセスのデザインが間違っていると、全く効果の出ないものになってしまい、いわゆる、形だけのDXになってしまいます。 「サッカーが上手なひとに野球を無理やりやらせてもダメ」「そもそもサッカーの大会がないのに準備させてもだめ」です。しかし、ついつい企業は時代の流れや要請でなんとなくDXを進めてしまいがちです。企業ごとに抱えている課題も状況も全て異なりますので、当社ではその企業ごとに最適なプロセスをデザインします。 ◆もう一つの軸「プラットフォーム事業」 プラットフォーム事業は「アサインナビ」「コンサルタントジョブ」「CS Clip」の3つがあり、それぞれ分かりやすくお話します。 [アサインナビ] エンジニア・IT企業とIT案件のマッチングサイト「アサインナビ」は、日本最大級のITビジネスマッチングサービスです。エンジニア・コンサルタントを必要とする企業と、エンジニア・コンサルタントを抱える企業およびフリーエンジニア・フリーコンサルタントが直接商談する機会を提供します。 「ITビジネスにおける価値ある出会いをたくさん創出すること」を目的に、すべてのIT企業、フリーのコンサルタントやエンジニア個人、その力を必要とするクライアント企業が無理なく参加し、安心して利用できるプラットフォームとして「アサインナビ」を創りました。どういう市況であっても一つでも多くの価値ある出会いを創るべく、最大限サポートしていきます。日本のIT業界は2万社あり、そのうちHP などが整っており、新卒・中途採用を行っている企業は約5000~6000社であり、「アサインナビ」の登録IT企業数は3728社(20年3月末時点)と日本のIT企業のほとんどアサインナビの会員様であり、ITエンジニア・コンサルタントなどの個人会員は5043名(同3月末時点)となっています。同サービスは、新型コロナの影響もあり、3月以降利活用が急増しており、この先は収益が一段と伸びる予定です。 [コンサルタントジョブ] 「アサインナビ」の約5000名の個人会員のうち、コンサルタント企業出身者は約4割占めており、その4割の方々含め、フリーコンサルタントの方が登録しているプラットフォームが「コンサルタントジョブ」です。大手コンサルティングファームや大手SI企業との長年に渡り培ってきた独自ネットワークを活かし、専任の営業担当が企業とフリーコンサルタントの方々のマッチングをサポートしております。 [CS Clip] 事業会社とDXに特徴のあるIT企業とのマッチングする新サービス「CS Clip」を新しく立ち上げました。いわゆる、口コミレビューサイトです。口コミできる人にポイントがあり、そのIT企業の過去・現在のお客様または、一緒に仕事のしたことのある同業者がそのIT企業のオススメ情報をコメントします。例えば、この企業は「こんな状況・役割・課題の時に役に立つ」「5000万円プロジェクトが向いている」といったコメントです。データサイエンティストでも、得意分野や得意フェーズが異なります。そういったことはHPを見ても分からない。その様な生の声をオープンにすることでミスマッチを防ぎ、また、中堅中小のIT企業への受注増加を見込んでいます。情報とCS評価・口コミをオープンにすることで、企業規模に問わず「良い仕事をしたIT企業に良い仕事がくる」世界を実現させたいと考えています。 「プラットフォーム事業」のセグメント別売上高の今期予想は前年度比73.4%増の2億8000円(前年1億6000万円)、営業利益は5000万円(同 400万円の赤字)と増収増益の見通しです。 —————— <取材を終えて・馬渕> 日本経済が今後成長するカギはDXです。コロナ以前より、日本の課題として大きく横たわっている問題です。ただ、日本ではDXの目的を生産性の向上に置いていますが、米国の優良企業は顧客の体験の向上に目的を置いています。日本も一歩先の「顧客」に視点を置いたDXを進めるべきです。 複雑に絡まり合い、ブラックボックスのような領域もある会社の整理をし、適材適所にITシステムや人員の配置を行う『俯瞰力』のあるエル・ティー・エスには底知れぬ力を感じました。一部業務の改善、場当たり的なIT導入ではなく、根本原因が解決、真の改善を目指す樺島社長は次に何を見据え、どういった成長ストーリーを描いているのでしょうか。インタビュー後半ではその点を伺います。 >>>続きは後半へ (フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議 研究員 馬渕 磨理子) 《ST》