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ダイナムジャパンHD Research Memo(7):2024年3月期下期は増益率がさらに拡大する見通し

2024/1/12 12:47 FISCO
*12:47JST ダイナムジャパンHD Research Memo(7):2024年3月期下期は増益率がさらに拡大する見通し ■2024年3月期の事業方針 1. パチンコ事業 (1) 営業方針 ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>は2024年3月期の営業方針として、集客力の高いスマート遊技機を積極導入すると同時に、既存店舗のリニューアル実施により新規ユーザーを獲得(幅広い年代層の開拓)することで既存店舗の収益力を向上しながら、M&Aによる店舗数の拡大に取り組んでいる。2024年3月期中間期まではこうした取り組みの成果が出ており、順調に回復傾向を辿っていると評価される。下期の店舗投資や遊技機の購入額については同中間期よりも規模をやや縮小する計画となっているが、M&Aによる店舗取得については引き続き前向きに進めていく。2023年12月には(株)ハワイが三重県で経営する2店舗の営業権を取得した。 新規ユーザーの獲得に向けては、初心者でも気軽に遊技をはじめられるようにパチンコ、スロットの遊び方や楽しさを伝える情報提供を強化するほか、スマート遊技機の優先確保と顧客ニーズに即した商品構成の提供を継続していく。また、将来的にはスマート遊技機の特性を生かした新たな遊技環境の提案や大規模リニューアル等を実施していくことも視野に入れている。 これらの取り組みによって、2024年3月期下期も営業収入の回復基調が続く見通しだが、増収率については前年11月から導入が開始されたスマスロの効果が薄まるため、中間期の12.8%増からはやや鈍化するものと予想される。 (2) スマート遊技機の特徴と導入メリットについて 2022年11月から導入が開始されたスマート遊技機の特徴やメリットをまとめると以下のとおりとなる。スマート遊技機の特徴は、メダルや玉に直接触れることなく遊ぶことができる点が挙げられる。パチンコは玉が遊技機内で循環し、スロットはメダルを使用せず出玉情報はいずれも電子情報として保存される仕組みとなっている。また、遊技機設置情報や出玉情報については遊技機メーカー組合が設置する「遊技機情報センター」へ送信され一元管理されることで業界の健全化を推進する。 スマート遊技機のメリットは、ユーザーのメリットとして、規制緩和により遊技機の開発の自由度が増しスペックの大幅な向上によって出玉・メダルの獲得期待やゲーム性が高まること、玉・メダルレスになることで利便性と感染症対策への安心感が向上する点などが挙げられる。現時点でスマスロは規制緩和によって人気機種が登場し、客数回復のけん引役となったが、スマパチについては大幅にスペックが向上するような規制緩和が実施されておらず、結果として導入が遅れ気味となっている。スマパチで導入を促進する規制緩和が実施されない理由として、現状のパチンコホール業界の経営環境が影響していると弊社では見ている。2023年はスマスロの導入で投資余力のあるホールは客足が回復し収益も上向いたが、投資余力のない中小ホールは倒産が相次ぐなど二極化が進む格好となった。こうした状況でスマパチでも規制緩和を導入すると、この流れがさらに加速しかねず、しばらくは状況を見ながら規制緩和を行うタイミングを見計らっていると推察される。実際、2024年3月から大当たり確率が200分の1以上のライトミドル機、甘デジ機を対象に「ラッキートリガー※」と呼ばれる機能の実装が可能となったが、対象はスマパチだけでなく従来機も含まれることになった。スマパチを導入するためには専用ユニットなど周辺設備の投資も必要になるため、投資余力のないホールには厳しい。このため、従来機も対象に含めたものと考えられる。ライトミドル機や甘デジ機の設置比率は業界全体で3割程度と言われており主流ではないものの、魅力的な機種が開発されれば伸び悩んでいた客足の回復にもつながるだけに、その動向が注目される。 ※獲得出玉の期待値がミドル機並みにアップする機能 ホール側のメリットとしては、玉・メダルの持ち運び・洗浄が不要となり、店舗スタッフの業務負荷軽減につながること、また島設備(補給機装置等)が不要となるため、新規店舗の場合は初期投資負担の軽減、既存店舗の場合はランニングコストの削減につながる点が挙げられる。さらには、店舗レイアウトの自由度が増すことで既成概念に囚われない斬新な店舗づくりが可能となり、新たな顧客層の開拓余地も生まれる。 遊技業界全体としては、出玉情報等を外部の第三者機関で一元管理することによって、セキュリティ強化や不正遊技の撲滅、のめり込み防止対策ともなり、業界の健全化が一層進むことで遊技者人口の増加につながる取り組みとして期待されている。 2023年9月時点でスマート遊技機の設置率は、業界全体でスマスロが20%台、スマパチが3%弱と見られており、当初の想定よりも普及スピードはやや遅れ気味となっているが、将来的にはスマート遊技機にすべて置き換わる方向性であることに変わりない。このため、同社では今後も積極的にスマート遊技機への投資を進める方針だ。 (3) 費用の見通しについて パチンコ事業費用については、引き続きコストコントロールを進める方針としている。遊技機の購入台数については、上期に店舗でのスロットの設置台数増台を実施した反動や、グループで保有する中古機の有効活用を図ることなどにより、下期は上期より絞り込む計画となっている。このため遊技機の減価償却費については上期をピークに下期は減少に転じ、通期では前期並みの360億円程度の水準が見込まれる。 パチンコ事業費用の3割強を占める店舗人件費については、業務効率化の取り組みがほぼ一巡したと見られ、今後は営業収入の回復とともにやや増加するものと予想される。修繕費は上期にスロットの増台による改装費用が増加した反動で下期はやや減少する見込みとなっている。その他経費については引き続き抑制方針となっている。 以上から、下期も営業収入が順調に伸びれば、営業利益は減価償却費や修繕費の減少によって中間期に対して2倍程度の水準まで拡大するものと弊社では見ている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《SI》