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エーバランス Research Memo(10):2024年6月期業績目標を再上方修正、さらなる上振れも

2023/3/27 15:10 FISCO
*15:10JST エーバランス Research Memo(10):2024年6月期業績目標を再上方修正、さらなる上振れも ■今後の見通し 2. 中期経営計画の再上方修正と重点施策 (1) 中期経営計画の再上方修正 Abalance<3856>は、3ヶ年の中期経営計画(2022年6月期~2024年6月期)を2021年10月に発表し、推進している。同期間を2030年グループビジョン「再生可能エネルギーの中核的グローバル企業」を目指すための助走期間と位置付け、太陽光パネル製造事業、グリーンエネルギー事業を成長エンジンとして、グループの持続的成長並びに企業価値の最大化を目指す方針を打ち出した。 中長期目標として2030年度までに国内外の保有発電容量1GW、2030年度の太陽光パネルの年間製造目標8GW(現在5.0GW)を目指すとしていたが、中期経営計画の目標値を前倒しで達成したことから、同社は事業目標についても見直す構えだ。 中期経営計画の業績目標については、計画発表後にVSUNの業績が想定を大きく上回るペースで拡大したことを受け、2022年9月時点で上方修正したが、その後も太陽光パネルの旺盛な需要が続いており利益率も改善が進んだことから、現在の収益状況を踏まえて2023年2月に再上方修正を発表した。具体的には、売上高で前回比1,018億円増の2,518億円、営業利益で同113億円増の158億円、経常利益で同120億円増の158億円、親会社株主に帰属する当期純利益で同62億円増の80億円とした。事業別売上高ではVSUNの太陽光パネル製造事業が同1,010億円増の2,390億円と修正要因の大半を占めるが、国内事業に関してもフロー売上で同2億円増の78億円、ストック売上で同6億円増の50億円に上方修正しており、国内事業についても着実に成長する見通しとなっている。なお、今回の再修正計画ではセルの量産化による利益率の改善効果を織り込んでいない。セル工場稼働後の状況から利益率の改善など合理的な将来見通しが可能となった時点で、改めて目標値の見直しを行うことにしており、2024年6月期の業績がさらに上振れることを確認した場合には速やかに開示する方針としている。 (2) さらなる企業価値向上に向けた重点施策 VSUNは、2023年2月に太陽光パネルの主要部品となる太陽電池セル(N型TOPCon)を現状の外部調達から自社生産体制に移行するため、セル工場をベトナム(フートー省)に建設することを発表した。第1フェーズとして年間生産能力3GW(投資額:約1.8億米ドル(236.7億円※))の工場を建設し、2023年10月の完成を目指す。設備投資資金は自己資金、残りを現地金融機関からの借入金で賄う予定だ。第2フェーズでは新たに3GWの能力増強を図り、合計で6GW(総投資額;約3億米ドル(394.5億円※))の生産体制を構築するプロジェクトとなる。 ※1米ドル=131.5円で換算 今回、太陽電池セルを内製化する目的は大きく3つとなる。1つ目は、主要部材であるセルを内製化することでコスト削減を図ることで利益率の向上が見込まれること、2つ目は主要部材を内製化することで部品調達の安定化とサプライチェーンの強化を図ること、3つ目は米国等で中国製部材を使った太陽光パネルに対する輸入規制が強まることを想定し、こうしたリスクに対処する生産体制を構築することにある。利益率については現状6%前後の水準だが、セル工程からモジュール工程まで一貫生産することで、減価償却費の増加を考慮しても10%超の利益率が期待できると同社では見ているようだ。量産化するN型TOPConタイプのセルは変換効率が高く性能劣化も少ないことが長所となっており、現在量産しているのは中国の大手パネルメーカーなど数社に限られる。VSUNでは既にコアとなる技術者を確保済みで、2023年秋の工場完成後に垂直立ち上げを図るべく人材の採用とトレーニングも進めている。セル工場からモジュール工場までは車で約1時間強と至近距離であり、リードタイムの短縮といった効果も期待できる。順調にプロジェクトが進めば、2024年6月期の利益面で大きく貢献することが予想される。現状、太陽光パネルの販売先は欧米向けが中心だが、中期的には南米やアフリカ、東南アジアなど新興国地域での販売も注力する方針だ。 また、VSUNのIPOについては、ベトナム市場は成長資金を取りに行くには市場が小さいため、ほかの海外市場も含めて検討する方針である。そのほかの重点施策は、太陽光パネル製造事業及びグリーンエネルギー事業の主力事業の推進のほか、経営・財務、IR広報の経営管理に及ぶ。詳細は以下のとおり。 <主力事業の推進> a) 太陽光パネル製造事業 ・第4工場の本格稼働(年間生産能力2.6GW→5GW) ・セル工場の竣工(第1フェーズ)→さらに、第2フェーズへ ・利益率のさらなる改善・向上 ・ベトナム市場のほか、ほかの海外市場を含めたIPO推進 b) グリーンエネルギー事業 ・自家消費案件(ノンフィット、ノンファーム)、ソーラーシェアリング推進 ・再生エネルギー関連企業に対するM&Aの実行(事業拡大の加速) ・水素商品の開発、事業の推進 ・大手企業・総合商社等との業務提携、戦略的パートナーシップ <経営管理> a) 経営・財務 ・CGコードに則った、ガバナンスのさらなる強化 ・自己資本比率の向上(10%以上)、多様な資金調達手段の確保 ・プライム市場への指定替え b) IR広報 ・IR専門家の執行役員を新たに起用 ・ディスクロージャー充実・強化(TCFD、英文開示等) ・知名度向上を目的としたPR戦略 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《SI》
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太陽光パネル製造事業が主力。太陽光発電所の自社保有等を行うグリーンエネルギー事業、IT事業、光触媒事業も手掛ける。太陽光セル等の内製化図る。太陽光パネル製造事業ではグローバルサプライチェーンを強化。 記:2024/07/08