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ダイキアクシス Research Memo(4):インド・デリーに自社工場を建設し大躍進を図る(1)

2022/11/2 15:24 FISCO
*15:24JST ダイキアクシス Research Memo(4):インド・デリーに自社工場を建設し大躍進を図る(1) ■ダイキアクシス<4245>の事業概要 (1) 海外事業 2022年12月期第2四半期の海外事業の売上高は前年同期比129.9%増の1,292百万円、海外売上高比率が前年同期の2.9%から6.4%へ上昇した。イラクやインドネシアでの大型案件の完成と、スリランカの販売が増加した。 水インフラビジネスは、主要3業務で構成される。部材・部品・機器製造と、装置設計・組立・施工・運転、事業運営・保守・管理(水売り)である。海外の水メジャーはすべての領域を網羅する。一方、日系企業は水処理機器、エンジニアリング、オーガナイザーなど各分野に特化している。同社は、中小規模の排水処理をターゲットとすることから、水メジャーと棲み分けることに加え、主要3業務を一貫して提供する機能を持つことが日系企業に対する差別化となり、生活排水処理・事業場排水処理、公共水域浄化のいずれにも対応できる。この中小規模の排水処理で、ASEANやインド、アフリカでの市場拡大に際して、先行者利得を得る可能性が大きい。 a) インドにおける動向 現中期経営計画で、インドに集中投資をして大躍進を図る。インド政府は2014年10月に「クリーン・インディア」プロジェクトをスタートさせ、家庭、小中学校、公園などにトイレを整備する目標を掲げた。2017年4月には、インド全土において18,000m2超の産業施設及び延床面積が2,000m2以上の居住施設に対して、水質の汚濁状況を表すBOD(生物化学的酸素要求量)が従来のBOD30からBOD10へ強化された。既設のセプティックタンク(腐敗槽)では、強化された規制をクリアできない。インドは下水道普及率が2017時点で18.1%であり、中央排水処理設備が十分でない。そこで生活排水処理のキャパシティ不足が都市化のスピードを妨げないための手段として、インド政府は浄化槽の導入がコスト・スピード面で最適であると評価した。 同社は、段階を追って堅実に事業を拡大してきた。まず2016年7月に、インド政府に浄化槽を寄贈した。浄化槽(処理能力10m3/日)の設置場所は、公園内のトイレ、村の公衆トイレ、プラスチック工場の排水処理用の3ヶ所であった。2018年7月に、100%出資のDAIKI AXIS INDIA Pvt. Ltd.(以下、DA-India)を設立し、インドネシアにある自社工場から輸入していた浄化槽を、現地生産に切り替えた。人員面と時間短縮を考慮して、同社の代理店でもあるローカルのプラスチック製品製造会社へ生産委託した。生産品目は、20~50世帯に対応するカプセル型浄化槽である。生産能力は当初年間100台であったが、2021年9月に年360台へ拡大した。それでも需要に供給が追いつかず、インドネシアから一部輸入して補っている。 2022年11月に、北部にある首都デリー近郊に建設中の自社新工場が操業する予定だ。当初は年産350台の能力でスタートするが、最終的には年600台を計画している。生産品目は、カプセル型浄化槽だけでなく中型の円筒型浄化槽も予定している。さらに、2025年にも第2の自社工場の稼働を計画している。 DA-Indiaは、2020年10月にインド製浄化槽のエコ認証「Green Product Certification(グリーンプロダクト認証)」を取得し、汚水処理部門におけるエコ認証第1号となった。また同年11月に、インドの水環境省よりインド製浄化槽に対する推奨認可を得て、インド中央政府による分散型汚水処理に関する推奨認可第1号となった。これにより、地域ごとに浄化槽の評価を取るなどといった長期間に及ぶ手続きを省くことができるようになった。 さらにインド工科大学からオファーを受け、実証試験及び共同研究の契約を締結した。インドでは分散型汚水処理方法が確立されていないことから、インド工場製品に窒素処理を付加したものと、日本でも使用されている高度処理の2モデルを対象に実証試験を行い、インドの使用環境により適した改良を共同研究する。インド工科大学は国家的な重要性を有した研究機関と位置付けられており、研究水準の高さは国際的にも認められている。実証実験及び共同研究は、インド国内はもとより、中東、アジア諸国、欧米等における同社グループの今後の事業展開に大きなアドバンテージになると考えられる。 2021年2月には、インド商工会議所連合会から第8回Water AwardのInnovation in Water Technology部門でFirst Prize(金賞)を受賞した。同賞は、インド全土の連合会の評議員及び会員から推薦された数百社の中から、インド水環境への貢献度や技術的完成度の高さなどを基に、各部門1社のみが選ばれる賞である。日本企業による金賞受賞は、これが初となった。 インドにおける事業体制が整うにつれ、同社は販売網を急ピッチで増強した。代理店数は、2018年12月期末時点で5社であったが、2019年12月期末に11社、2020年12月期末に16社、2021年12月期末に23社、2022年12月期第2四半期末では25社へと増加した。 b) その他の国の主な動向 スリランカ政府は、2022年5月に債務不履行(デフォルト)に陥った。アジアでは、1999年のパキスタン以来のことである。スリランカの対外債務は、2021年末時点で500億ドルを超えていた。政権が交代し、国際通貨基金(IMF)は緊縮財政、大規模な税制改革の実施など大胆な改革を前提に約29億ドルの資金援助で暫定合意した。 スリランカの下水道普及率は2.4%(2019年時点)と低く、下水道の整備はコロンボ市周辺に限定される。利用されている浄化槽の96%は機能不全のセプティックタンク(腐敗槽)であり、国土の多くの地域で環境基準を大きく超える水質の悪化が起きている。同社は2017年よりスリランカ現地代理店を通して浄化槽の販売活動を続けてきて、2021年5月にDAIKI AXIS ENVIRONMENT (PVT) LTDを設立した。デフォルト後も国内の経済活動は継続されており、同社子会社の受注活動に滞りはない。当初は製品がインド市場向けより小型になるため、日本から完成品を輸入していたが、2022年10月に新工場が完成し、浄化槽の組み立て製造を開始した。そこで部材の輸入に切り替え、現地で組み立てる方式に切り替えた。これにより輸送効率が高まりコストが低減する。 2019年10月には、ケニアの首都ナイロビに排水処理事業を手掛ける合弁会社DAIKI-USAFI LIMITEDを設立した。同社グループの持分は51%、ケニアの水事業会社が49%を出資した。ケニア国内において、排水処理事業を展開する。 中国では、現地企業との合弁会社が小型浄化槽「XE型」の生産をしている。しかし、中国規制厳格化により浄化槽普及が足踏み状態となっている。さらに最近は、ローカル企業の類似品による価格攻勢を受けているが、同社は着実な事業展開を心掛ける意向だ。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) 《NS》
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4245 東証スタンダード
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時価総額 9,830百万円
浄化槽・排水処理システムや地下水飲料化等を手掛ける環境機器関連事業が主力。愛媛県松山市に本社。住宅機器関連事業、再生可能エネルギー関連事業も。環境機器関連事業はメンテナンス事業、上水エスコ事業の拡大図る。 記:2024/07/08