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テラスカイ Research Memo(8):中期経営計画を発表、24年2月期以降は利益ベースで高成長路線に転じる見通し

2022/6/21 15:18 FISCO
*15:18JST テラスカイ Research Memo(8):中期経営計画を発表、24年2月期以降は利益ベースで高成長路線に転じる見通し ■今後の見通し 1. 中期経営計画 テラスカイ<3915>は株式上場後、初めて3ヶ年の中期経営計画を発表した。将来にわたって顧客のIT課題を総合的に解決するクラウド・インテグレーターのリーディング企業として持続的な成長を実現していくため、今後の成長戦略及び業績目標を明らかにした。また、長期ビジョンである「Fly Ahead(一歩先行く確かな技術で、もっとも信頼されるパートナーに)」を実現することで、2030年には売上規模で700億円超の企業に成長することを目指している。 重点施策としては、現状の経営課題と認識している3点(採用力の強化と製品の認知度向上、コア周辺事業への進出、全体の売上に対する製品比率の向上)に取り組むことで、業績の飛躍的な成長と企業価値の向上を実現していく戦略だ。業績計画としては、2023年2月期に広告宣伝費の投下など先行投資を実施することで減益を見込むものの、その効果が顕在化する2024年2月期以降は利益ベースでも高成長路線に転換する計画となっている。2025年2月期の業績目標は売上高で28,483百万円、営業利益で2,413百万円、経常利益で2,426百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で1,434百万円を掲げており、3年間の年平均成長率は売上高で31.3%、営業利益で54.2%となる。 売上高を拡大していくために必要となる人員については積極的に増員し、2022年2月期末の777名から2025年2月期末は2,058名と2.6倍に拡大する。なかでもテラスカイ・テクノロジーズについては前期末の75名から600~700名と大幅増員する計画となっている。3ヶ年の増収寄与度で見ると同社、BeeXに次ぐ3番目の寄与度を見込んでおり、今回の中期経営計画における業績目標を達成するための鍵を握る子会社と位置付けている。 (1) 広告宣伝費の投下による認知向上 同社は企業ブランドや製品の認知度の低いことが、採用面や製品の拡販における課題の1つとして捉えており、2023年2月期はテレビCMやWebプロモーション等の広告宣伝を強化していくことで、こうした課題の解消に取り組んでいく。広告宣伝費は従来、年間1億円程度を投下してきたが、2023年2月期は数億円規模を計画しており、特に第3四半期以降に集中して実施していく予定となっている。 採用面では、テレビCM等の広告宣伝効果によって企業ブランド力の向上を図り、全国規模で優秀な人材の採用を進めていくほか、未経験者の採用についても徐々に拡大し、エンジニア不足の解消を図っていく。クラウドサービス業界における同社のブランド力は高いものの一般市場においての認知度はまだ低く、ブランド力を浸透させていくことで採用力の強化を図る。また、「mitoco」の拡販に向けたプロモーション戦略も積極的に行っていく。グループウェア製品の競合は多いため、製品の認知度を向上することが重要と考えている。なお、2023年2月期に追加で投下する数億円規模の広告宣伝費について、2024年2月期以降の業績計画には織り込んでいない。 (2) コア周辺事業への進出 同社グループでは、SalesforceやAWSの構築・導入支援といったクラウドサービスのなかでもコア部分の事業をベースに成長を続けてきたが、ここ数年はコア周辺ビジネスが立ち上がり、市場の裾野を広げてきている。同社はこうした周辺ビジネスの市場成長を子会社で取り込んでいくことによって、高成長を目指す戦略となっている。 例えば、技術人材派遣市場ではテラスカイ・テクノロジーズ、データ分析市場ではリベルスカイやQuemix、Marketing Automation市場ではDiceWorks、AI市場ではエノキ、EC構築支援市場ではCuon、MSP市場ではSky365がそれぞれ事業展開を進めていく。これらコア周辺ビジネスについては、コア事業で豊富な開発ノウハウを持つ同社が連携することで競争優位性を打ち出せるものと考えている。特に、ここ数年はマルチ・クラウドプラットフォームを利用する企業が増えるなか、同社グループではAWSやMicrosoft Azure、GCPなどいずれのプラットフォームでの対応も可能であり、開発プロジェクトを顧客ニーズに応じてグループ子会社に振り分けるケースも増えてきている。また、海外市場においてもタイに進出し、事業を拡大していく計画だ。 タイへの進出は、将来的なアジア展開の橋頭保として位置付けている。タイは日系企業の事業拠点数が多く、名目GDPもASEANで2番目に大きいことから、現地でのSalesforceの導入需要が見込まれている。また、LINEの普及率が高いため「OMLINE」の販売機会があることも進出の決め手となった。2019年にTerrasky(Thailand)を設立以降、コロナ禍で稼働が先送りされてきたが、ようやく環境も整ってきたようで国内で採用したタイ人を数名、現地に派遣して2022年6月から本格的に稼働を開始する予定となっている。現地での人材採用についても徐々に進めていくことにしている。 なお、子会社のうちテラスカイ・テクノロジーズ、Terrasky(Thailand)、Quemixの3社については2023年2月期も先行投資費用の増加により経常損失が拡大する見込みとなっている。黒字化の時期としては、テラスカイ・テクノロジーズが2024年2月期、Terrasky(Thailand)とQuemixは2025年2月期を予定している。テラスカイ・テクノロジーズについては、売上規模が大きくなれば1ケタ台後半の営業利益率が十分に見込めるものと弊社では見ている。派遣先は同社の顧客企業が中心となるため、営業費用はさほど掛からないと見られるためだ。Quemixについては2024年2月期もライセンスビジネスを構築していくための準備期間(論文作成、特許申請等)と位置付けているため経常損失が拡大する見込みだが、事業規模は小さいため連結業績へ与える影響も軽微と見られる。ライセンスビジネスが軌道に乗れば収益性の高い事業に育つ可能性がある。同社はこれまでもキットアライブやBeeX、Sky365などの子会社を設立し、黒字化してきた実績があることから、これら3社の収益化についても実現可能と弊社では見ている。 (3) 製品開発投資の継続 製品事業の拡大に向けて、今後も機能の拡充等を図るための開発投資を継続していく。特にグループウェア「mitoco」については導入社数を現在の数百社程度から10倍以上に拡大していくことを目標に掲げている。導入社数を拡大していくための戦略としては、プロモーション強化による認知度向上に加えて、機能拡充によって競合品に対して差別化を図ることを挙げている。具体的な取り組みとして、2021年11月に経費精算機能を追加したほか、2023年2月期中に勤怠管理機能を追加する予定となっている。また、子会社のエノキが開発するAIエンジン「ENOKI」を活用したパーソナルアシスタント機能についても、性能向上に取り組むことでさらなる利便性の向上につなげていく考えだ。 「mitoco」はSalesforceのクラウドプラットフォーム上で提供されており、高いセキュリティ基準をクリアしているほか、Salesforceの標準アプリケーションとの連携が可能なこと、カスタムアプリケーションの追加開発が可能なことなどが特徴となっている。Salesforce導入企業に対する拡販余地は依然大きいと考えており、競合品からのリプレースも含めてシェア拡大を目指す。なお、「mitoco」の開発費のピークは過ぎており今後は償却費も緩やかに減少していくことか見込まれている。2023年2月期は広告宣伝費を投下するため黒字化できるかどうか流動的だが、売上高が一段と拡大する2024年2月期には黒字化を達成できるものと予想される。「mitoco」の月額課金収入は、前年同期比30%以上のペースで伸びており、今後はプロモーションを強化することで成長を加速していく戦略となっている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《ST》
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セールスフォースやAWSなどのクラウドサービス導入支援等を手掛ける。Salesforceの導入支援では国内トップクラスの実績。Salesforce開発等は順調。NTTデータとの協業進化などを図る。 記:2024/10/21