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シンバイオ製薬 Research Memo(6):2021年12月期は新規パイプライン導入で成長ポテンシャル高まる

2019/11/27 15:06 FISCO
*15:06JST シンバイオ製薬 Research Memo(6):2021年12月期は新規パイプライン導入で成長ポテンシャル高まる ■中期経営計画 1. 中期経営計画 シンバイオ製薬<4582>は2019年2月に2022年12月期を最終年度とする4ヶ年の中期経営計画を発表した。同計画によると2021年12月期に黒字化を達成し、2022年12月期はさらに2倍の利益成長を目標としている。前述したように、2019年12月期の業績を下方修正したため、現在、中期経営計画についても見直し中ではあるが、2021年12月期の黒字化に関しては蓋然性が高まったと弊社では見ている。 2021年12月期の売上高が9,132百万円と急拡大する計画となっているが、これは「トレアキシン(R)」が自社販売に切り替わる影響が大きい。薬価ベースの売上高で見れば2018年12月期の85億円から、2021年12月期は120億円前後に拡大していると見られる。従来の販売基準(エーザイへの販売)で試算すれば、54億円前後の売上規模となる。RTD製剤の発売時期が2021年12月期第1四半期からとなり、凍結乾燥注射剤からの年平均浸透率は60%を想定している。また、再発・難治性のDLBCLについては発売時期が2021年12月期第3四半期以降となるため、売上計画にはほとんど入れておらず、既存適応領域におけるシェア拡大が売上拡大要因となる。利益面では、販管費が増加するものの増収効果に加えて、自社販売への移行やRTD製剤への切り替えによる売上総利益率の改善効果が大きく寄与し、営業利益で上場来初めての黒字化を達成できる見通しだ。なお、新規パイプラインのBCVについての研究開発費用については、数億円程度にとどまるものと予想される。 2022年12月期の売上高は11,282~11,809百万円とレンジ予想となっている。増収要因の大半は再発・難治性のDLBCLの寄与によるもので、市場浸透率で幅を持たせている。営業利益率は液剤タイプのRTD/RI製剤への切り替えが進むことにより、売上総利益率の改善傾向が続くと見られ、2割前後の水準まで上昇する見込みとなっている。 なお、同社は2015年にザ・メディシンズ・カンパニー(米)から自己疼痛管理用医薬品(SyB P-1501)の導入ライセンス契約を締結したが、2017年10月にライセンス契約の不履行に起因して生じた損害の賠償として82百万米ドル(約90億円)の支払いを求める仲裁を申し立て、同年11月にライセンス契約を解除している。現在も仲裁の手続きは継続しているが、今回の中期経営計画には保守的な収益を反映する観点から、その影響を織り込んでいない。現在の状況としては既に両社からのヒアリングは終わっており、3人の仲裁人の最終判断を待つだけとなっている。早ければ2019年末、遅くとも2020年の早い段階で結果が判明するものと弊社では見ている。 2. 計画達成に向けたキーファクター 中期経営計画に向けて同社では以下の5つのKSF(重要成功要因)を挙げており、これらを達成することにより2021年12月期の黒字化とその後の持続的成長が可能になると見ている。 (1) 自社販売体制構築 自社販売体制では、2019年に中核となるトレアキシンマネージャーをあと10名追加して30名体制とし、全国の400の重点医療施設を現地密着型でカバーしていく方針となっている。現在、「トレアキシン(R)」の販売先は約900施設あるが、重点施設(400施設)をカバーすれば、売上高の約9割を確保できることになる。通常、大手製薬企業ではMRを300~400名体制でカバーしているが、同社は少数精鋭による効率的な営業で売上を拡大し、足りないところはがん専門契約MR(CSO)などの外部リソースで賄っていく方針としている。 (2) 「トレアキシン(R)」年間売上高100億円(薬価ベース)の達成 「トレアキシン(R)」の年間売上高100億円の達成を目指していく。2019年12月期は一時的要因で販売が落ち込むものの、前述したように悪性リンパ腫の標準療法として日本血液学会の診療ガイドラインに収載された効果は大きく、未治療領域でのBR療法の市場浸透率を現状の55%程度から70%近くまで引き上げていくことで、2020年12月期には達成可能と弊社では見ている。 (3) 「トレアキシン(R)」液剤(RTD/RI製剤)の承認と早期切り替え 「トレアキシン(R)」液剤(RTD/RI製剤)の承認と切り替えについては、RTD製剤の承認申請及びRI製剤の臨床試験が予定通り進んでいることや、米国で既に100%近い比率で液剤タイプに切り替わっていること、医療現場での要望が強いことなどから、2021年のRTD製剤の販売開始以降は早期に切り替えが進むものと弊社では予想している。 (4) 「トレアキシン(R)」の再発・難治性DLBCL適応症の承認と浸透 再発・難治性のDLBCL適応症の承認についても、主要評価項目である奏効率で良好な結果が得られたことが判明したことから、2020年第2四半期中の承認申請、2021年後半の承認取得の可能性が高まったと見られ、2022年以降、売上拡大に本格貢献するものと予想される。 (5) 優秀な人材確保 自社販売体制に移行することで、営業スタッフにおいて高い専門性と豊富な経験、高い生産性を兼ね備えた優秀な人材を確保することは重要なポイントとなる。当面は20名のトレアキシンマネージャーで条件に適う人材を確保できつつあるようで、今後の営業活動の成果が期待される。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《ST》
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がん、血液、ウイルス感染症分野がターゲットのバイオベンチャー。抗悪性腫瘍剤「トレアキシン」が主力。トレアキシンの処方患者数は3.7万人超。アデノウイルス感染症など抗ウイルス薬BCVのグローバル開発推進。 記:2024/08/19