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真の分散性を目指すレイヤー1チェーンOver Protocolの裏側と創設者のビジョン【フィスコ・マーケットレポーター】

2023/12/1 18:00 FISCO
*18:00JST 真の分散性を目指すレイヤー1チェーンOver Protocolの裏側と創設者のビジョン【フィスコ・マーケットレポーター】 以下は、フィスコ・マーケットレポーターのタマラ・ソイキナ(X@web3tama / 以下、タ)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。 主に英語で発信されるweb3分野の一次情報はまだ十分に日本語化されているとは言えません。 最近日本の仮想通貨(暗号資産)取引所で新たな海外の良質なブロックチェーンプロジェクトが上場される事例が増えてきました。このインタビューでは、日本ではあまり知られていなくても、世界的に大きなコミュニティを持ち、将来性のある野心的なプロジェクトを取り上げていきます。今回は個人PCでフルノード運用可能にすることで高い分散性を実現しようとするレイヤー1ブロックチェーン、Over Protocolの創設者であるベン・キム氏(X@overnance / 以下、ベ))にお話を伺いました。 ---- ※2023年12月1日に執筆 タ「まずはじめに、Over Protocolについて簡単に説明していただけますか?」 ベ「Over Protocolは、一般個人がエコシステムにシームレスに参加できるよう、分散化に重点を置いた新しいレイヤー1ブロックチェーンです。これは、有効なデータの範囲を狭め、フルノードのストレージ要件を大幅に削減する技術であるEthanosによって可能になっています。これにより、個人のデバイスでノードを実行することが可能になります。」 タ「ありがとうございます。Over Protocolを開発しようと思ったのは、どういうきっかけからですか?」 ベ「私が大学院生だった2017年、ブロックチェーンの研究を始め、イーサリアムのノードをダウンロードしました。しかし、400GB以上のSSD容量を必要とし、同期を完了するのに約1週間かかるという難題にぶつかりました。これは過剰な負担であり、ブロックチェーンの非中央集権性を損なう可能性があることに気づきました。主な問題はアカウントの保存に使われているデータ構造にあり、特にこれらのアカウントの95%以上が休眠状態であることがわかりました。これに対処するため、私はアクティブなアカウントのみを有効なものとして認識する新しいプロトコルを設計し、休眠アカウントや古いトランザクションを排除できるようにしました。さらに、必要に応じて休眠アカウントを復元する方法も開発しました。最終的には、軽量なノードをサポートするプロトコルを設計することに成功し、Over Protocolでの実用化を目指しています。」 タ「イーサリアムに触れた経験がきっかけだったのですね。さてOver Protocolの開発会社は2021年頃には設立されていますね。その後現在までの2年間で特筆すべきエピソードやご経験があれば教えてください。」 ベ「この2年間、多くのアクシデントがありましたね。しかし、最も注目すべきエピソードはOverWalletのローンチでした。その時、ネットには私たちの資金調達に関するいくつかのニュース記事しかありませんでしたが、全世界で68万人以上のユーザーが事前登録しました。ユーザーがどのようにして私たちのことを知り、登録したのか正確にはわかりませんが、普通の個人がバリデーターになれるという私たちのビジョンに共感してくれたのだと思います。OverWalletは現在、468万人以上の登録ユーザーを誇っています。」 タ「ダウンロードが約468万件とは極めて大きな数字ですよね。これはプロジェクトがコミュニティから非常に高い関心を集めている証拠だと思います。この結果の原動力は何だったと考えていますか?」 ベ「将来的なメインネットのローンチとエアドロップ、そしてユーザーフレンドリーなUX/UIを特徴とするOverWalletやOverNodeといった製品に対して、大きな期待が寄せられているのだと思います。またXやYouTube、Instagramなど様々なソーシャルメディア通じて、積極的に進捗状況を紹介しているのも一つの理由かもしれません。」 タ「たしかにOver WalletのUI/UXは素晴らしいと感じます。近々テストネットがローンチされる予定だと思いますが、現在のそうした高い注目度とユーザーエンゲージメントを維持するために、必要なことは何だと思いますか?また、そのための取り組みは計画されていますか?」 ベ「ブランディングに尽きると思います。私たちのノードを運営することが、先駆的で新しい時代を創造することを象徴するのであれば、このビジョンに共鳴する人たちがノードを運営することになるでしょう。ですから、私たちのメッセージングとブランディングの努力はすべて、私たちの使命を純粋に反映したこのイメージを具現化することに集中しています。」 タ「多くの個人がブロックチェーンノードを運用する未来を想像するとワクワクしますね!さてOver Protocolがフォーカスする『分散性』についてもう少し掘り下げてみたいと思います。その重要性は言うまでもないですが、実際にはプロダクトごとの分散性は様々で、多くのプロジェクトたちは主張しているほどそれを優先していない気がします。今後、分散性の重要性が高まるとすれば、それはなぜだと思いますか?」 ベ「ブロックチェーンのトリレンマでは、セキュリティを妥協することはできません。したがって、スケーラビリティと分散化はトレードオフの関係にあるわけです。多くのブロックチェーンはスケーラビリティを選択し、その過程で分散化を妥協している。スケーラビリティがユーザビリティに不可欠な機能であることは間違いないですが、中央集権化を招き、個人がブロックチェーンを利用する際、ある機関のみに依存せざるを得なくなる可能性があります。その結果、個人は自分のデータを独自に所有したり、検証したりすることができなくなり、検閲やその他の形の金銭的搾取を受けやすくなります。レイヤー2ソリューションはスケーラビリティの懸念に対処するため、レイヤー1は分散化を優先することが極めて重要になります。」 タ「最後の言葉はシンプルですが、とても印象的です。ではOver ProtocolはEthereumよりも分散化されているということでしょうか?」 ベ「はい、その通りです。イーサリアムでノードを運用するのは個人にとって難しいことですが、Over Protocolでは非常にシンプルになります。このノードの運用の容易さは、ネットワークの安定性とデータの可用性を向上させるだけでなく、検閲の防止やバリデーターの独占に関する問題の解決にも役立ちます。」 タ「前の回答でセキュリティの重要性について言及がありました。Over Protocolのセキュリティ対策について教えていただけますか?」 ベ「ブロックチェーンには本来セキュリティが備わっていますが、ユーザーレベルでのセキュリティの問題は、プロトコルだけでなく、製品レベルで対応するべきだと考えています。そのため、私たちの製品であるOverWalletとOverNodeでは、直感的なUX/UIを提供するアプローチを採用しています。このアプローチにより、秘密鍵の直接的な取り扱いを避け、セキュリティを担保しています。この哲学の有効性は、メインネットのローンチで明らかになるでしょう。ご期待ください!」 タ「Over Protocolのメインネットローンチ後にはRWAにフォーカスする構想があると聞きました。業界内では、RWAが次のブル市場を牽引すると言われることがあります。前回のブル相場の主役であったDeFiと比較して、RWAは市場にどのような影響を与えると考えていますか?また、その中でOver Protocolはどのようなポジションを目指しているのでしょうか?」 ベ「RWAとDeFiの大きな違いは、RWAは現実世界の実需を提供するということです。私たちは当初、ホテル、レストラン、エステ、その他の現実世界のサービスのバウチャーにフォーカスし、人々がブロックチェーン上で運営される流通市場の中でこれらのユーティリティを享受できるようにします。このような非効率的で、まだ未開拓の市場に対する金融を可能にすることで、人々に本物のユーティリティを提供し、投資と実用的な利用の両面からブロックチェーンに関わるよう惹きつけることができます。RWA市場は新たな資産を呼び込み、さらなる流動性を生み出し、次のブル市場に火をつける可能性を秘めています。」 タ「RWAにはマネーゲームにはない実需という確かな可能性があるのだと感じました。今回はベンさんの原体験と技術、哲学に裏付けられたOver Protocolのポテンシャルとそのビジョンについてとてもよく理解できました。貴重なお話ありがとうございました。」 《TY》