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メキシコペソは7年ぶり高値圏【フィスコ・コラム】
2023/6/18 9:00
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*09:00JST メキシコペソは7年ぶり高値圏【フィスコ・コラム】 好調なメキシコ経済を背景に、ペソは対ドルで7年ぶりの高値圏に浮上しています。米金融引き締めによるドル買いに押される場面もありましたが、底堅さを維持。ただ、高支持率のロペスオブラドール大統領の任期を控え、政治の不安定化への警戒も広がりつつあります。 メキシコの5月消費者物価指数(CPI)は前年比+5.84%と、昨年9月に付けた前年比+8.70%のピークから低下し、インフレ沈静化に向かっています。政策金利は2021年5月の4.00%から11.25%まで引き上げられましたが、メキシコ中銀は先月、16会合ぶりに利上げを休止。コロナ後のインフレ不況を乗り切ったもようです。アメリカよりも引き締めを先行させ、かつての通貨危機の教訓を生かしました。 米連邦準備制度理事会(FRB)は6月13-14日の連邦公開市場委員会(FOMC)でインフレ抑止に前向きな姿勢を改めて示し、ややドル買いに振れました。ただ、1ドル=17ペソ台とペソ相場は対ドルで底堅く、2016年4月以来7年超ぶりの高値圏で推移。コロナ最盛期の2020年4月には新興国経済の先行きが危ぶまれ、一時24ペソ台まで売り込まれましたが、それ以降はおおむね上昇トレンドが続いています。 メキシコの1-3月期国内総生産(GDP)は前年比+3.7%と、2022年10-12月期の伸びを小幅に上回りました。コロナ禍からの回復過程で8四半期連続のプラスを維持し、3-4%の成長は新興国のなかでは安定的と言えるでしょう。消費地に生産拠点を近づける「ニアショアリング」を追い風にベトナム経済は拡大し、2023年も加速する見通し。特に、アメリカの関税を回避したい中国メーカーの進出が活況を支えているようです。 メキシコが成長を維持できるかどうかは、政治情勢次第でしょう。犯罪や腐敗などが深刻化するなか、2018年の大統領選・議会選の勝利を受けロペスオブラドール政権が発足し今も6割超の高い支持を得ています。公正な社会の実現を目指しそれらに合わせた政策を推進している点が評価されているようです。ただ、社会不安は解消されておらず、来年の大統領選・議会選に向け野党は巻き返しを狙っています。 ロペスオブラドール氏は比例代表の廃止や選挙を管理する国家選挙庁の再編を柱とする選挙制度の改革案を提示。それにより選管当局のメンバー選出に民意が反映されるほか、歳出削減が可能と主張しています。対する野党は民主主義の後退と反発。メキシコは大統領の再選が禁止され、同氏が率いる左派「国家再生運動(MORENA)」が議席を守れるかが焦点です。ペソの大きな変動要因としても注目されそうです。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《YN》
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