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日中の宇宙開発技術の動向【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】
2021/1/7 9:30
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*09:30JST 日中の宇宙開発技術の動向【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】 2020年12月3日午前3時前(日本時間)、日本の小惑星探査機「はやぶさ2」から分離されたカプセルが豪州南部のウーメラ砂漠に着地した。「はやぶさ2」は、2014年12月3日に打ち上げられ、約3年半かけて地球から約3億キロメートル離れた小惑星「リュウグウ」に到着した。2019年の2月と7月の2回の着陸で、砂や地中の物質を採取し、そのサンプルを地球に届けた。6年間の探査ミッションにおいて大きなトラブルもなく、日本の宇宙探査の技術力の高さを世界に知らしめた。特に超低燃費のイオンエンジンはキセノンガスを燃料とし、イオン化して電気的に噴射して推進力を得るものだ。一般的なロケットエンジンと比べ10倍も燃費が優れる。イオンエンジンは「初代はやぶさ」で使用されたが、「はやぶさ2」では耐久性などの性能をさらに向上させていた。 今回の「はやぶさ2」によるカプセル帰還は、多くの成果と今後の明るい展望に繋がる結果となった。地球以外の遠方天体からのサンプルリターンを米国、中国及び欧州も取り組んでいるが、日本は「初代はやぶさ」と「はやぶさ2」の2回連続での成功という快挙により、科学探査トップの地位を確立するともに、宇宙開発ブランドのイメージ向上に繋げることができた。また、2024年に任務を終了する国際宇宙ステーション(ISS)の後継機開発において、従来の宇宙ステーション補給機「こうのとり」で培った宇宙への物資輸送技術、ドッキング技術に加え、今回の「はやぶさ2」で示した遠距離制御技術が評価され、日本が主要開発メンバーに選出されることが期待される。 さらに、今回のサンプルは全国の大学・研究所で分析されるが、太陽系の歴史や有機物の解明により生命の起源を探ることができる可能性がある。サンプル分析の結果、レアメタルなどが発見された場合には、今後の宇宙資源開発の端緒となり、小惑星開発、資源の運搬や宇宙での活用法などについての研究資料を得たことになる。 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2021年に小型月探査機で月からのサンプルリターンを計画している。さらに、JAXAは2024年に火星の衛星「フォボス」への探査機を打ち上げ、2025年に「フォボス」への着陸とサンプルリターンを目指している。国内のこれらの計画に加え、米国の「アルテミス計画」(2024年に有人月面着陸、2028年までに月面基地建設を開始し、将来は月面基地から他の惑星探査に出発するという米航空宇宙局(NASA)のプロジェクト)への参画も決定しており、今後ますます日本の宇宙開発技術の動向に目が離せない状況だ。 一方、中国も宇宙開発で米国を猛追している。人民日報によると、中国は2018~19年に世界最多のロケット打ち上げを行い、2020年の発射回数は前年を上回る40回超であったと報じた。また、2020年12月17日、中国政府は、「無人探査機『嫦娥5号』が月面の岩石や土壌を採取し、サンプルを持ち帰り内モンゴル自治区に着陸した」と発表した。中国で宇宙開発を管轄する国家宇宙局の幹部は、「火星でのサンプル採取および木星や小惑星の探査を計画している」と述べている。2020年7月には火星探査機「天問1号」を打ち上げており、2021年5月中旬に火星に軟着陸し、サンプルを採取すると明らかにしている。 さらに、東方新報によると、中国は2022年ごろに中国の有人宇宙ステーションを建設し、運用を開始する見込みだ。中国はすでに2011年に「天宮1号」、2016年に「天宮2号」という実験モジュールを打ち上げており、2016年10月に有人船神舟11号で飛行士を実験モジュールに送り込み33日間の宇宙滞在及び船外活動を行っている。中国の宇宙ステーションは重量約100トン、定員は3名を計画している。 中国は、宇宙利用を軍事力発揮に不可欠な領域だと捉え、早期警戒、通信、偵察機能に加え、各種キラー衛星、衛星攻撃ミサイル、レーザー兵器など他国の衛星を無力化する攻撃兵器の開発にも力を入れているようだ。人民日報は、「宇宙強国」を掲げる習政権が「今後、宇宙の領域での先端技術により世界の主導権を握ることを視野に入れている」と報じている。 サンタフェ総研上席研究員 將司 覚 防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。P-3C操縦士、飛行隊長、航空隊司令歴任、国連PKO訓練参加、カンボジアPKO参加、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動教訓収集参加。米国海軍勲功章受賞。2011年退官後、大手自動車メーカー海外危機管理支援業務従事。2020年から現職。 《RS》
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