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Jトラスト Research Memo(3):2021年12月期第1四半期の営業利益は前年同期比大幅増益(1)

2021/6/9 15:13 FISCO
*15:13JST Jトラスト Research Memo(3):2021年12月期第1四半期の営業利益は前年同期比大幅増益(1) ■Jトラスト<8508>の業績動向 1. 2021年12月期第1四半期の業績概要 2021年12月期第1四半期における世界経済は、長期化する米中の対立問題や世界的な景気減速懸念等に加えて、世界的なコロナ禍に伴う経済活動の停滞の影響により、極めて厳しい状況にあった。しかしながら、感染拡大防止に向けて各国で様々な対策が講じられ、新型コロナウイルス感染症予防に有望なワクチンが一部の国で実用化されたことにより収束に向けて前進しつつある。また、一部の国では依然として感染拡大に歯止めがかからないことから、経済回復への道のりは先行き不透明な状況にあるものの、米国や英国のような先進諸国をはじめとしてワクチン接種の進展から、経済の回復が楽観視されるに至っている国や地域もある。こうしたなかにあって、わが国経済においては、2020年の緊急事態宣言解除後は、段階的な経済活動の再開により一時回復傾向が見られたが、2021年1月には主要都府県に再び緊急事態宣言が発出されるなど、未だ収束時期の目途はたっていない。また、変異ウイルスの影響やワクチン普及の遅れ等も懸念され、依然として先行き不透明な状況で推移している。 このような中で、同社グループは、事業の収益性についての今後の見通しについて抜本的な見直しが必要と考えた。また、株式市場においては、企業に対する評価が会計上の資産等に基づくものではなく、将来の成長機会の先取りを重視するものとなっていることを受け止め、既存の事業ポートフォリオの価値や将来性を徹底的に見直した。具体的には、2020年12月期にキーノート(現 グローベルス)、Jトラストカード(現 Nexus Card)、JT親愛貯蓄銀行、KeyHolder <4712>及びKeyHolderの子会社並びに関連会社を売却したことで非継続事業に分類した。このため当該事業の営業収益、営業利益、税引前利益については除外して表示しており、2020年12月期第1四半期の関連する数値についても組替えて表示している。また、売却予定であることから、2020年12月期に非継続事業に分類していたJT貯蓄銀行(株)については、韓国金融委員会の承認取得に時間を要しているため、2021年12月期第1四半期には継続事業に戻しており、売却が確定した段階で改めて非継続事業に分類する予定だ。一方、第2四半期にも売却予定であるJTキャピタルも、第1四半期は継続事業として取り扱っている。 2021年12月期第1四半期の営業収益は10,867百万円(前年同期比1.3%減)、営業利益は4,400百万円(前年同期は320百万円の利益)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は2,829百万円(同83.6%増)となった。営業収益は前年同期比横ばいにとどまったものの、訴訟回収金の計上もあり利益は大幅増益を記録した。 2. セグメント別業績 同社グループは、日本で構築したビジネスモデルを海外展開することで、アジアの総合ファイナンシャルグループへと成長を遂げてきた。現在、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業、投資事業の4事業セグメントを展開するが、メインとなる金融3事業が営業収益全体の97.8%を占める。2021年12月期第1四半期は日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、投資事業で利益を確保したものの、東南アジア金融事業では損失を計上した。なお、事業ポートフォリオ再編に伴い、2020年12月期より報告セグメントに総合エンターテインメント事業と不動産事業は含まれていない。 (1) 日本金融事業 日本金融事業には、信用保証業務を中心に事業展開する(株)日本保証、サービサー業務(債権回収事業)のパルティール債権回収(株)などがある。国内の消費者金融市場が縮小するなか、2015年9月には実質的に無担保ローン事業から撤退し、不動産関連の保証業務及び債権回収業務に注力する体制を整備した。日本金融事業は、同社グループの強みが生かせる分野を中心に緩やかに成長し安定的な利益を確保することで、同社グループ全体の利益を下支えする役割を担ってきた。なお、2020年12月期には事業ポートフォリオ見直しの一環としてJトラストカードを売却したため、2019年12月期以降はJトラストカードの実績を除外している。 2021年12月期第1四半期は、主力の保証業務及び債権回収業務ともに引き続き順調に推移したことにより、営業収益は2,195百万円(前年同期比2.8%減)、営業利益は1,182百万円(同0.9%増)となった。営業収益、営業利益ともに安定推移し、営業利益率も高水準で安定している。また、通期計画に対する進捗率は、営業収益が26%、営業利益は32%に達し、計画を上回って推移している。 日本金融事業では、アパートローン保証を安定的な利益基盤とする一方で、中古アパートローン保証、海外不動産担保ローン保証、クラウドファンディング保証など、新たな保証商品への多角化を図っている。2021年3月末の債務保証残高合計は2,081億円と、コロナ禍の影響を受けたもののおおむね横ばいで推移した。 不動産関連保証業務における同社グループの強みは、市場ニーズに合わせたオーダーメイド型商品の開発力と、独自の不動産ローン審査力である。同社グループが不動産の評価、審査と信用保証を担い、銀行が融資を行っているが、地域金融機関と提携することで賃貸住宅ローン(アパートローン)保証業務を中心に保証残高は右肩上がりで増加を続けてきた。しかし、大手銀行の不正融資問題をきっかけに、アパートローン保証は以前のような勢いはない状況だ。ただ、ローンの期間は20年~30年超と長期のため、その間は保証料収入が安定的に入ってくる。 また、同社が保証する物件は、東名阪福の各地域の都市部、徒歩10分程度の駅近物件に集中しており、債務保証を行っている賃貸住宅の入居率は95%以上を維持している。保証料が高いその他の保証(個人事業主への融資保証等)は、近年、競争が激化していることから取扱いを抑え、保証料が低いものの貸倒リスクが小さいアパートローンへの有担保保証を増やし、ボリュームでカバーすることで利益を確保してきた。 現在は金融機関の審査基準が厳格化していることなどから、当面はアパートローンの保証残高は増加を期待しにくい環境にあるものの、貸倒はほとんど発生してないようだ。一方、最近の動きとしては、新たな保証商品としてクラウドファンディング保証を開始した。業務提携先が日本保証の保証付きクラウドファンディング商品をリリースしたところ好評で、その多くが1時間以内に目標額達成となった。2021年1月~3月の実行額は4億円超となり、3月末の保証残高は12億円強に達している。なお、海外不動産担保ローンも徐々に保証提携先銀行が増え、保証残高は増加傾向にあったが、2021年3月末は83億円にとどまり、コロナ禍で会社側の想定を下回ったようだ。また、2020年11月から開始した中古アパートローンの保証残高は10億円を突破している。同社では、提携先の拡大や商品の多様化により、長期的に保証残高を積み上げる計画だ。 また、サービサー(債権回収)事業では、債権買取が順調であり、パルティール債権回収が取り扱う請求債権残高は2021年3月末には8,227億円に増加している。大手カード会社からの四半期ごとの定期購入に加えて、クレジット会社からのスポット購入もあり、サービサー事業では好調な債権回収にもかかわらず、請求債権残高は2021年3月末には約9,500億円に増加している。 債権回収業務における同社グループの強みは、多様な債権回収事業会社出身者のノウハウを結集した国内トップクラスの回収力にある。回収力の強さは、金融機関やカード会社などから債権を買い取る際の入札競争においても優位となり、その結果、事業拡大という好循環につながる。今後もこの強みを生かした事業拡大を進めていく方針だ。また、こうした国内事業での債権回収力の強さは、海外事業でも生かされていると言える。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) 《YM》
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