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窪田製薬HD Research Memo(3):資金負担が少なく事業効率の高いトランスレーショナル研究領域にフォーカス

2020/9/17 15:43 FISCO
*15:43JST 窪田製薬HD Research Memo(3):資金負担が少なく事業効率の高いトランスレーショナル研究領域にフォーカス ■会社概要 2. 同社の特徴と強み 窪田製薬ホールディングス<4596>の特徴は、最先端のサイエンスをもとに眼科領域に特化した治療薬やデバイス、ソリューションの開発を進めていることが挙げられる。また、以下の4点が同社の特徴であり、強みとなる。 (1) 人材 同社の強みの1つとして、眼科領域で長く活躍してきた経験豊富な経営陣によって事業が進められていることが挙げられる。同社グループとして国内本社と研究開発拠点となる米クボタビジョン・インク(2020年4月にアキュセラ・インクから改称)の連携体制は、眼科医であり研究者として視覚サイクルモジュレーション技術を発明した会長、社長兼最高経営責任者の窪田良氏を筆頭に構築されている。 2018年6月には、執行役最高財務責任者として前川裕貴(まえかわひろき)氏が就任、同氏はバイオテック及び製薬企業で最高財務責任者として手腕を発揮してきた人物で、人事や経営管理、事業開発などの分野でも豊富な知識と経験を有しており、同社グループの経営管理強化で手腕を発揮している。さらに、2020年より研究開発担当上級副社長として、渡邊雅一(わたなべまさかず)氏が就任、同氏は眼科領域のグローバル大手であるアルコン<ALC>のアジア地域における研究開発部門のヘッドを務めた人物で、同社の研究開発をけん引していくことになる。そのほかにも眼科領域において著名な大学教授や医師など豊富な知見を持つアドバイザーとの広範なネットワークを構築している。2020年8月現在、従業員数は12名で、開発プロジェクトについては外部機関を活用しながら進めている。 (2) 技術開発力と知財戦略 自社開発品だけでなく、将来有望と判断した治療薬候補品や新技術を導入し、自社で開発プロジェクトを進めていくだけの技術開発力を有している点が強みとなる。また、医薬品から医療デバイス、ソリューションに至るまで眼科領域に特化して幅広い分野で研究開発を行っており、知財戦略も推進している。医薬品開発分野では成立特許で29件、申請中で19件となっており、医療機器では成立特許で6件、申請中で17件、申請予定で2件となっている(2020年2月時点)。 (3) 開発戦略 医薬品の開発戦略においては、非臨床試験から臨床試験へと研究開発を進め、ヒトでのPOC※を取得するまでの「トランスレーショナル研究」にフォーカスしていることが特徴となっている。この「トランスレーショナル研究」の領域は、前段階の「探索研究」、後段階の「大規模臨床試験」と比較して、研究開発にかかる投資金額を抑えやすく、同社のように世界的な研究ネットワークを有し、目利きができる専門性を備えたバイオベンチャーがフォーカスしていく領域として理にかなっている戦略と言える。特に、眼科領域に特化したベンチャーはほかの領域と比較して少ないため、開発に成功すれば注目度も一気に高まることが予想される。同社は、ヒトでのPOCを取得した段階で、製薬企業と共同開発・販売ライセンス契約を締結し、その後のマイルストーン収益や上市後の販売ロイヤリティーを獲得することで収益成長を目指していく戦略となっている。 ※ POC(Proof of Concept):基礎的な研究で想定した薬の効果が、実際にヒトへの投与試験で証明されること。 (4) パートナーシップ 同社は欧米を中心に、最先端技術を有する大学や研究機関と幅広いネットワークを構築しており、その中から有望と思われる技術を導入したり、治療薬候補の共同研究開発等を行っている。2019年3月には、宇宙飛行士が携行可能な超小型眼科診断装置の開発をNASAと共同で進めていくことを発表するなど、同社の技術開発力については高く評価されている。今後も国内外の大手製薬企業や医療機器メーカーとのパートナーシップ構築に向けて、技術基盤を強化していく方針となっている。 3. 眼疾患領域の市場動向 医薬品全体の市場規模は2017年から2022年にかけて年率3%の成長が見込まれているのに対して、眼科領域は年率4.4%成長、なかでも同社がメインターゲットとして開発を進めている網膜疾患領域の治療薬に関しては年率5.9%成長と最も高い伸びが予測されている。世界人口が増加していることに加えて、高齢化の進展に伴い加齢黄斑変性や白内障、そのほか網膜疾患の患者数が増加の一途をたどっていることが背景にある。 現在、同社が主要パイプラインとして治療薬の開発に取り組んでいるスターガルト病や網膜色素変性、糖尿病網膜症などの網膜疾患は失明の主要原因とされている。これら眼疾患に関してはいまだ革新的な治療法が確立されていない、あるいは患者への身体的負担を軽減しながら、より効果の高い治療法が求められているのが現状であり、開発に成功すれば同社は大きく飛躍する可能性がある。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《EY》
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時価総額 3,499百万円
眼科領域特化のバイオベンチャー。ウェアラブル近視デバイス、遠隔眼科医療モニタリングデバイス等を手掛ける。医療機器分野に経営リソースを重点的に投下。双日九州との業務提携で中国市場における販売拡大目指す。 記:2024/10/11