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BS11 Research Memo(7):新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ基本戦略にも影響

2020/6/9 15:17 FISCO
*15:17JST BS11 Research Memo(7):新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ基本戦略にも影響 ■中長期成長に向けた取り組み 1. 中期成長戦略の概要 日本BS放送<9414>は中期経営計画を策定し、それをメルクマール(指標、道標)に、中長期にわたる持続的成長を実現するべく取り組んでいる。直近では2022年8月期を最終年度とする中期経営計画を策定しており、売上高150億円を達成することを目指している。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大に伴う各種イベント中止等の影響もあり、同社の2020年8月期第2四半期は放送事業から成る個別業績が前期比減収となり売上高は5,690百万円(期初計画は6,200百万円)にとどまった。この結果を受けて、「現行中期経営計画最終年度である2022年8月期に放送事業で150億円の売上高」という従来からの目標は、今後見直しを行う可能性は考慮しておく必要がある。また、その実現に向けた基本戦略「4つの“力”」と重点施策「Value7」についても影響を受けるだろう。 基本戦略の「4つの“力”」については、「マーケティング力」「企画力」「戦略構築力」「実行力」がその内容となっており、いずれも番組作り及びその販売という一連の流れに沿って互いに連関したものとなっている。この4つの要素を個々の番組ごとに検証して次の番組作りに生かす、いわゆる「PDCAサイクル(Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善))」を回すことにより、良質な番組作りへの実効性も高まると期待される。 2. 重点施策「Value 7」 重点施策「Value 7」は数字の変化が示すように「独立TV局の強みを最大限に活用」「自社制作番組の充実」「情報番組の選択と拡大」「アニメ関連事業の強化と発展」「他企業・ローカル局コラボの促進」「スポーツコンテンツの充実」「放送周辺事業の新規開発と増強」からなる業績拡大に向けた7つの重点施策である。 BS放送事業者としての同社にとって、その根幹を成すのは番組であり、基本戦略「4つの“力”」や重点施策「Value 7」は“良質な番組を作り、それを業績の成長につなげる”という目標の実現のための方法論だ。より根本的な番組作りの理念の部分については、“ターゲットの明確化”と“オリジナリティ(独創性)”の2つを最重点テーマに掲げている。 “独立TV局の強みを最大限に活用”の具体的な例としては、同社が知名度・認知度向上のために行う広告出稿が挙げられる。系列に影響されることなく、最も有効性の高いメディア(地方紙等)に、最適なタイミングで出稿し、広告効果の最大化を追求することができる。また、独立TV局である利点を生かしメディア各社を中心とした他企業とのコラボレーションの推進を進める。 “自社制作番組の充実”についてはこれまでも、番組関連費用(番組購入費及び番組制作費)を、戦略的意図を持って拡大させ、良質な番組作りの強化に取り組んできた。良い作品を効率よく制作し、確実に利益を上げるため、クオリティコントロールに加えコストコントロールに注力している。 “情報番組の選択と拡大”としては、テレビショッピングへの戦略となる。同社にとって重要な経営資源である一方で、広告媒体多様化による業界環境変化の影響から厳しい状況でもある。特に重点的なクライアントとの健全性な関係から放送枠の安定的な需要を取りつつ、新規クライアントの拡大を目指す。 “アニメ関連事業の強化と発展”では同社の強みであるアニメにおいて毎週約40タイトルのアニメ関連番組を放送。そのほか、アニメ声優、アニメソング歌手が出演するアニメ関連番組を強化。「声優がドラマに出たらこうなりました。~聖地創生プロジェクト~」を2020年1月より放送、「アニゲー☆イレブン!」は4月より新MCに声優・和氣あず未(わきあずみ)を迎え、「癒し」を番組テーマにリニューアル。さらに、アニソン番組「Anison Days」ライブイベント等やアニソンライブイベント「Anison Days Festival」の開催を背景にアニメ関連事業を発展させる。同社はアニメ業界との強いパイプを持ち、製作委員会やクライアントとの強いアライアンスを組む。コンテンツ販売では中国が柱になるだろうが、世界各国で日本のアニメは評価を受けていることもあり、同分野の取り組みは引き続き注目されるだろう。 “他企業・ローカル局コラボの促進”においては、大手の制作会社との協力関係をさらに強める。世界220以上の国・地域で配信されている世界最大級のネットワークを駆使し、上質な体験を提供する「ディスカバリーチャンネル」とは、相互協力することでアライアンスを増やすことが可能である。また、独立TV局の強みによって全国各地のテレビ局、及び制作会社との共同制作番組の提供が可能であり、自社制作番組と外部リソースの最適なミックスによる視聴世帯数のさらなる増加に取り組む。 “スポーツコンテンツの充実”としては、同社はBS11CUP全日本eスポーツ学生選手権大会を開催するなど、eスポーツを先行している。また、プロバスケットボールのBリーグのほか、全日本学生柔道体重別選手権大会、BS11ソフトボール中継 日本女子ソフトボールリーグの開催といった取り組みのほか、スポーツドキュメンタリー番組「キラボシ!」等、スポーツに関するコンテンツを幅広く展開させる。 “放送周辺事業の新規開発と増強”が意図するのは、キー局が進める他事業への展開ではなく、優良コンテンツを中心とした事業拡大であり、コンテンツ(自社制作番組)の二次利用(外部への販売)の推進、アニメ派生イベントの強化、ネット配信事業の推進・強化などである。番組の質的向上の進展と二次利用の推進は既に形作りを始めているため、今後、この動きがどのようなスピード感で拡大していくのか大いに注目される分野である。 同社は良質な番組作りに一貫して注力しており、その成果は目に見える形で表れてきている。しかし、そうした良質な番組を収益化する点においては、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言、それに伴う各種イベントの中止の影響が響く。東京オリンピックの開催延期もそうだが、様々なイベントが中止もしくは延期に追い込まれている。アニメ関連事業の取り組みにおいては、アニメイベントの開催ができないほか、自宅待機に伴う制作サイドの遅れによる放映時期の後ずれに伴う影響もある。スポーツコンテンツにおいても中止が相次いでいるため、計画の見直しが迫られるだろう。 ただし、前述のとおり同社は独立TV局の強みにより、60分間の編成にとらわれず、韓国ドラマのノーカット版放送を始めとしてオリジナルを尊重した自由な番組編成が可能。また、幅広い制作会社を選択して番組を制作することができるため、同社の制作したい番組について最も魅力的な映像を制作できる会社と協力して制作し、視聴者に届けることができる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬智一) 《EY》
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ビックカメラ傘下の無料BS放送局。子会社で児童書の出版も。タイム収入は通販枠の強化・拡充により堅調。スポット広告収入が足踏み。アニメ強化に向けた費用増は重し。配当性向4割目安。コンテンツ価値の最大化を図る。 記:2024/07/31