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アンジェス Research Memo(3):新型コロナウイルス感染症の予防ワクチンは2020年夏に臨床試験を開始

2020/6/10 15:13 FISCO
*15:13JST アンジェス Research Memo(3):新型コロナウイルス感染症の予防ワクチンは2020年夏に臨床試験を開始 ■新型コロナウイルス感染症ワクチンの共同開発について 2020年に入って、新型コロナウイルスの感染拡大が世界に広がり(5月初旬で感染者数370万人超、死者数10万人超)、今なお猛威を振るっている。日本でも感染者数1.5万人、死者数500人と欧米と比較すると少ないものの、それでも4月には政府による緊急事態宣言が発令され、飲食店や娯楽施設などでの営業自粛、学校の休校など、経済面や日常生活において多大な影響は及ぼしている。 こうしたなか、アンジェス<4563>は2020年3月に大阪大学と共同でプラスミドDNA※1製法を用いた予防用ワクチンの共同開発を行うことを発表した。プラスミドDNA製法を用いたHGF遺伝子治療用製品を世界で初めて上市した実績、並びに過去にインフルエンザワクチンやエボラ出血熱ワクチンなどの研究開発を提携先企業と共同で進め、蓄積してきたノウハウを活用する。ワクチンは、新型コロナウイルスの遺伝子をプラスミドに挿入し、このプラスミドを大腸菌で大量培養した後にDNAを抽出して製剤化する。無害化されたDNAワクチンを投与することで、新型コロナウイルスに対する免疫(抗体※2)を作り、感染症の発症や重症化を防ぐことが可能になる。新型コロナウイルスはS型とL型の2種類あり、このうち患者数が多く重症化しやすいL型を対象に開発し、ワクチン製造はタカラバイオが担当する。 ※1 プラスミド(plasmid)とは、大腸菌などの細菌や酵母の核外に存在し、細胞分裂によって娘細胞へ引き継がれるDNA分子の総称。一般的に環状の2本鎖構造を取り、染色体のDNAからは独立して複製を行う。その独立した遺伝子複製機構から、遺伝子組み換え操作のベクターとして創薬などで利用されている。このプラスミドを大腸菌に導入し、大腸菌の大量培養により目的のDNAを増幅する。 ※2 ウイルスや細菌などの抗原が体内に入り込んだとき、そのたんぱく質に反応し、体から追い出すためにできる対抗物質。 今後の開発スケジュールについては、PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)との協議も進めながら、可能な限り迅速に進めていく方針となっている。3月下旬より開始した動物を用いた非臨床試験については6月末までに完了する予定で、抗体産生力などを確認した上で、早ければ7月にも医療従事者を対象に20~30人規模での臨床試験の開始を目指す。大阪市立大学医学部附属病院と予防ワクチン開発に関する連携協定を締結しており、同病院で実施していくものと見られる。医療従事者を対象としているのは、感染拡大による医療崩壊を防ぐことが重要と考えているためだ。同臨床試験で効果が確認されれば秋頃にも数百人規模を対象の臨床試験を開始し、結果が良好であれば販売承認申請を行う流れとなる。通常、申請から承認が下りるまでの審査期間は1年強かかるが、緊急性を要する場合は特例で早期承認される可能性があり、同社では2021年春頃の実用化を目指している。なお、今回の開発プロジェクトについては、日本医療研究開発機構(AMED)が公募した、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」に採択されており、研究開発費20億円(直接経費、研究開発期間:2020年5月-2021年3月)の支援を受け進めていくことになる。 今回の予防ワクチンの開発については、タカラバイオをはじめ、EPSホールディングス、新日本科学<2395>など複数の企業が共同開発に相次いで参画することを発表しており、また並行する格好で、より効果の高い次世代ワクチンの共同開発も開始している。 それぞれ技術に一長一短はあるが、プラスミドDNAを用いたワクチンは、ウイルスの遺伝情報が判れば短期間で開発することが可能なほか、ワクチンの製造期間も6~8週間と短く大量生産が可能なこと、病原体を使用しないワクチンであり安全性が高いことなどが長所として挙げられる。一方で、遺伝子発現効率が低いことが短所ではあるが、これは前述したダイセルの新規デバイス技術やファンペップのペプチド技術などを用いることで、解消できるものと見られる。 新型コロナウイルスについては抗体の持続力などを含めて未解明な部分も多く、また、S型やL型だけでなく新たな型が出現する可能性もあるだけに、短期間で開発可能なプラスミドDNA製法を用いた予防ワクチンを開発する意義は大きいと言える。製造を担当するタカラバイオでは、2020年末までに20万人規模の供給体制を構築したことを明らかにしており、今後の動向が注目される。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《YM》
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