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エノモト Research Memo(7):真似のできないものづくりを追求

2019/6/26 15:17 FISCO
*15:17JST エノモト Research Memo(7):真似のできないものづくりを追求 ■中期経営計画 1. 中期経営方針 エノモト<6928>は、2017年3月期から2021年3月期までの5年間の、事業運営の指針となる中期経営計画を策定している。中期経営方針として「新たな価値の創造~他社が真似のできないものづくりを追求する~」を掲げ、同社が培ってきた技術力を最大限に活用し、さらに上のステージへ踏み出していくための決意が込められている。そのため、年度ごとに経営重点テーマを設定しており、2017年3月期は旧来の方法にとらわれない「現状打破」、2018年3月期は従前の思考・体質から踏み出す「勇気」、2019年3月期は自信を持って自分の力を発揮する「底力」、そして2020年3月期は「“学ぶ”Acquire」——を掲げている。大きな中間目標でもあった東京証券取引所1部上場は達成し、それに伴う経営基盤の盤石化も進展してきたことから、そろそろ次の中期目標を策定するタイミングに入ったかもしれない。仮に策定されれば、基本的には経営基盤の盤石化は変わらず、その延長で強みを伸ばし弱みを補うということになりそうだ。また、1部上場企業として、将来を見越した人材育成・確保や他社連携、新規事業なども視野に入ってくる可能性があると思われる。 各製品群とも中期成長余地は広がる見通し 2. 中期成長イメージ 中期的には、産業機械やサーバー向けなどIoT需要の増加や、EV(Electric Vehicle)・自動運転技術などを視野に入れた自動車の電装化率の上昇などを背景に、IC・トランジスタ用リードフレームの市場は成長が見込まれる。特に車載用では、モーターやセンサー、軽量化など課題が非常に多く、同社の技術がそこかしこに利用・応用可能と考えられる。オプト用リードフレームの市場は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックへ向けてインフラなど大型設備投資の増加が予測されているが、設備投資関連ならばその後も続くと期待される。コネクタ用部品の市場は、スマートフォンの爆発的な伸びがなくなって徐々に買い替え需要へシフトしていくとの予測から、スマートフォン向け部品の需要変動がさらに大きくなる可能性があると考えられている。一方、5G関連の設備投資のタイミングも視野に入ってくる。スマートウォッチなどウェアラブル向けの需要も大きくなってきた。特にウェアラブル製品に利用される、実用としては最小クラス0.3mmという微細なコネクタを、継続的・安定的に数千万個~1億個のロットで生産できるのは、同社を含めて日系数社しかいないもようである。超精密化など機械・機器の技術的要求は今後強まるばかりなので、対応できなくなる企業がますます増え、同社の中期的な成長余地は大きく広がっていく。 燃料電池の基幹部品を研究開発 3. 「ガス拡散層一体型金属セパレータ」 どの会社もそうであるように、同社も新規事業のシーズをいくつか抱えているものと思われる。その中で、山梨県及び山梨大学との共同開発で2020年の実用化を目指している、PEFC(固体高分子形燃料電池)用の新型の「ガス拡散層一体型金属セパレータ」の開発がユニークだ。これまでの経緯は、2014年7月に「水素社会に向けた『やまなし燃料電池バレー』の創成」事業に参画、山梨県及び山梨大学との産・官・学共同事業をスタートさせた。2015年2月に新型セパレータの開発に成功。2017年7月には「地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」(文部科学省支援施策認定取得)の認定を受けた。 セパレータとは水素と酸素の化学反応を利用して発電する燃料電池スタックの基幹部品のことで、同社は、山梨大学の理論に基づいてセパレータの小型化・低価格化を推進している。現在、汎用ステンレス材にカーボンを主成分としたコーティングを施し、高耐食性を実現、さらにガス拡散性に優れたカーボンペーパーに代わってセパレータ自体に廉価なガス拡散層とガスケットの機能を併せ持たせることで、部品点数の削減や薄膜化を実現した。実用化に向けて現在、量産技術の確立や製造コストの削減、生産品質管理体制の構築を進めているところである。実用化すれば、燃料電池車や家庭用燃料電池など広範な社会生活に利用されることが見込まれ、「エネルギー革命」と言ってよいほどのインパクトを社会に与えることが予想される。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《ST》
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パワー半導体用リードフレームやLED用リードフレーム、コネクタ用部品の製造・販売等を手掛ける。山梨県上野原市に本社。一貫生産体制などが強み。マイクロコネクタ用部品等の生産技術力、生産能力の強化に注力。 記:2024/10/06