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オプティム Research Memo(6):建設分野でコマツ等と取り組む「LANDLOG」が進展

2019/6/25 15:36 FISCO
*15:36JST オプティム Research Memo(6):建設分野でコマツ等と取り組む「LANDLOG」が進展 ■成長戦略・トピックス 1. 建設×IT:「LANDLOG」の進捗が顕著 建設×ITは最も進捗が著しい。2017年10月に設立された(株)ランドログが順調にパートナー及び顧客を増やしている。この新会社は、コマツ、NTTドコモ<9437>、SAPジャパン(株)及びオプティム<3694>が、建設・土木におけるオープンプラットフォーム「LANDLOG」の開発・事業化を目的とした組織である。建設業界では、建設生産プロセスに複数の工事事業者が携わるため、各種データは事業者毎に管理されている。新プラットフォーム「LANDLOG」では、建設生産プロセス全体のあらゆる「モノ」のデータを集め、そのデータを適切な権限管理のもとに多くのプロバイダーがアプリを提供し、多くの建設現場ユーザーが利用することで、安全で生産性の高い未来の現場の実現を目指す。現在58社(情報通信、機械、卸売、保険、建設など)がパートナーとして参画し、様々なアプリケーション・サービスが各社によって開発されつつある。2019年4月に発表されたコマツの中期経営計画において「LANDLOG」が成長戦略の柱として位置付けられた。「LANDLOG」はOPTiM Cloud IoT OSをベースに開発されたプラットフォームであり、「LANDLOG」の売上増とともに同社のライセンス料も伸びるビジネスモデルである。 2. シスメックスと先端医療分野におけるAI・IoTを活用した医療ITソリューションの開発等で業務提携 2019年2月、同社とシスメックスは、先端医療分野におけるAI・IoTを活用した医療ITソリューションの開発と、グローバルなサービス展開に向けた包括的な業務提携に合意した。シスメックスは検体検査機器・試薬の世界的大手企業。両社は、医療機関の様々な医療機器をネットワークに接続し、それらの医療機器から得られる情報をAIが解析するプラットフォームを構築することで、次世代の医療や診断を支えるソリューションの早期開発・実用化に共同で取り組む。同社が持つAI・IoTプラットフォーム「OPTiM Cloud IoT OS」などのAI・IoTサービスや技術、実用化ノウハウと、シスメックスが持つ医療分野における豊富な知見やグローバルな販売・サービスネットワークを融合し、次世代プラットフォーム構築及びソリューション開発、グローバル展開を行う。本業務提携のもとで行われる取り組み例としては、1)ゲノム情報とAI解析を組み合わせた疾病予測や検査画像情報とAI解析を組み合わせた新たな診断法の開発、2)遠隔診療や予防医療を支援するネットワークサービスの開発、3)医療機器の遠隔モニタリングや、問い合わせ対応へのAI活用など医療機関の効率化・品質向上を支援するサービスの開発、などである。 第1弾となるのは、シスメックスと川崎重工業の合弁会社であるメディカロイドが開発を進める「手術支援ロボット」のネットワーク化、及び手術室全体の最適化を支援するサービスの共同開発、有用性の検証である。先端医療分野での有力企業との提携により、OPTiM Cloud IoT OSをベースとした「医療×IT」がより大きな流れになることが期待できる。 3. 戦略商品「OPTiM AI Camera」が11業種向けにサービス開始 AI・IoTを使って「やりたいこと・できること」には業種・業態にかかわらずに共通性があることがわかってきている。具体的には、セキュリティ管理、顧客の数や属性の把握(マーケティング)などはどの業界でも求められている。同社は、2019年3月期内に様々な業種の共通ニーズにリーズナブルに応える戦略商品「OPTiM AI Camera」および「OPTiM AI Prediction」の提供を開始した。「OPTiM AI Camera」が現在対象とするのは11業種。小売、鉄道・交通機関、医療機関、飲食、空港、工場、オフィスビル、公共施設、銀行、学校、集合住宅・マンションと多様だ。「OPTiM AI Camera」は300種類を超える学習済モデル適用メニューを備えており、セキュリティ、マーケティング、業務効率などを効率的に行うことができるパッケージサービス。従来の類似サービスでは解析にあたって学習期間が必要となり、顧客にとって時間とコストがかかる点が課題だった。また、「AI使い放題パック」で1カメラ当たり月額15,000円とリーズナブルな価格も特長である。「ネットを空気に変える」、「世界一、AIを実用化させる企業になる」というビジョンを持つ同社だが、まさにAI・IoTの裾野を広げるサービスとして注目したい。 既に活用事例も多数出始めている。一例として、ネット時代の次世代型ショールームである「蔦屋家電+」では「OPTiM AI Camera for Retail CE」を活用し、店内カメラ映像やタブレットを操作した消費者の行動を、個人を特定しないデータに変換して収集し、DB分析・可視化してマーケティングに役立てている。 なお、「OPTiM AI Prediction」は、FinTech、価格変動予測、市場動向予測、セキュリティモニタリングなどの様々な場面で収集されたデータを解析し、将来の動向の予測モデルを提供する定量データ解析サービスである。 4. 「経営諮問委員会」を新たに設置し、各業界の第一人者を委員(エグゼクテイブアドバイザー)として招聘 同社は2019年5月、「経営諮問委員会」を新たに設置することを発表した。取り組みを進めている各業界での「○○×IT」戦略を加速する目的である。同委員会では、同社が特に力を入れて取り組んでいる農業・建設・医療の各分野における第一人者を委員(エグゼクテイブアドバイザー)として招聘し、経験に裏打ちされた知見を基にした経営へのアドバイスが行われる。農業分野では、前農林水産事務次官の奥原正明(おくはらまさあき)氏、建設分野ではコマツ取締役の野路國夫(のじくにお)氏 、医療分野では、シスメックス特別顧問の林正好(はやしまさよし)氏が就任する。業界の重鎮の知見と人脈は、同社が第4次産業革命において中心的な役割を果たす企業となる上で大きな推進力になるだろう。設置期間は2019年5月1日~2021年3月31日(第一期)。招集は同社代表取締役が行い、3ヶ月に1回程度開催するほか、必要に応じて開催する。 ■株主還元策 将来への投資を優先、配当予想なし 同社は成長のための投資を優先する方針であり、現在配当の予定はない。日本では稀有な技術力・構想力を持つベンチャー企業だけに、投資には中長期の視点が必要だろう。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫) 《YM》
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