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ラガルドECBでユーロは底打ち?【フィスコ・コラム】
2019/10/6 9:00
FISCO
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*09:00JST ラガルドECBでユーロは底打ち?【フィスコ・コラム】 ユーロの下落トレンドに歯止めがかかりません。域内経済の減速が顕著になり、欧州中央銀行(ECB)による一段の金融緩和への思惑が背景にあるためです。11月に就任するラガルド新総裁は早くもハト派姿勢を鮮明にしていますが、ユーロ売りはなお続くでしょうか。 ユーロ・ドルは今年6月下旬に1.14ドル台に浮上した後、ほぼ一貫して値を下げています。9月に入ると心理的節目の1.10ドル付近でもみ合った後、同水準を明確に割り込み、2年ぶりの安値圏に弱含んでいます。ユーロ圏経済の低調な製造業やインフレの関連指標を手がかりとした売りは、なお続きそうです。このままユーロ安が進めば、十数年来の安値である2017年1月の1.0340ドルが視野に入ってきます。 9月12日に開かれたECB理事会では、政策金利の引き下げと資産買い入れ再開、フォワードガイダンス変更など、一段の金融緩和に踏み切りました。量的緩和の反対意見が目立ったため、想定よりもタカ派寄りとの見方からユーロは買われる場面もありました。しかし、緩和に反対したラウテンシュレーガー専務理事は2週間後、抗議の辞任。そのことも足元のユーロ売りに拍車をかけたようです。 今月末で8年の任期を終えるドラギ総裁は、24日が最後の理事会となります。2011年11月の就任当初からリーマン・ショックやギリシャ・ショックの後の立て直しに従事し、任期中は大胆な緩和政策を進めてきました。足元の消費者物価指数(CPI)は前年比+0.9%と、目標である2%の半分にも満たない状況が続いているため、残された政策手段を盛り込んだ緩和パッケージで締めくくるようです。 9月の欧州議会に出席したラガルド次期総裁は、潜在的な副作用に注視する必要があるとしながらもドラギ路線を受け継ぐと述べており、ユーロの当面の下落基調に変わりはなさそうです。今月開催される閣僚レベルの米中通商協議の行方にもよりますが、ラガルド氏は景気の底入れが見えないなかでタカ派のメンバーと対峙しなければなりません。目先は追加緩和の資産買い入れルールの変更などが焦点となるでしょう。 ECBはドイツ連邦銀行(ブンデス・バンク)の伝統に沿って制度設計されました。つまり、戦後のヨーロッパで国内的には物価安定、対外的には通貨価値の安定に成功したモデルとされています。初代のドイセンベルク、2代目のトリシェ、そして3代目のドラギと、歴代総裁は中銀マンが続きました。が、より複雑化したヨーロッパの金融政策を切り盛りするには、中銀の枠を踏み越えた人材の方が適しているかもしれません。 ユーロは1999年の導入から今年でちょうど20年。ドルの代替通貨として期待されたものの、2008年の最高値1.60ドルをピークに失速し、その後は輝きを失ったように見えます。ECB総裁の交代をきっかけに、通貨として再び魅力を高めることができるでしょうか。政治家出身のラガルド氏には金融政策と財政政策との融合が期待され、ECBがそうした方向に進むならユーロは大底を打つ可能性もあります。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《SK》
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