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ウォール街を知るハッチの独り言 (マネックス証券 チーフ・外国株コンサルタント 岡元 兵八郎)

2022/1/5 9:32 FISCO
*09:32JST ウォール街を知るハッチの独り言 (マネックス証券 チーフ・外国株コンサルタント 岡元 兵八郎) さて、マネックス証券の「メールマガジン新潮流」が、1月4日に配信されました。 そのなかから今回は、同証券のチーフ・外国株コンサルタント、『ハッチ』こと岡元兵八郎氏のコラム「ウォール街を知るハッチの独り言」の内容をご紹介いたします。 「ニューヨーク証券取引所のオープニングの鐘を鳴らすイベントに参加した時のこと」 世界最大の株式市場であるニューヨーク証券取引所では、市場の始めと終わりに鐘を鳴らすセレモニ−が行われています。この1日2回行われる打鐘の儀式は、100年以上の歴史がある伝統的なイベントです。株式市場に興味がない人でも、一度くらいはテレビのニュースでその様子をご覧になったことがあるのではないかと思います。実は私はこのイベントの登壇に招待されたことがあります。 本来はニューヨーク証券取引所に上場する企業のマネジメントや関係者だけが参加できるイベントですが、たまたま運よくこの名誉なイベントに参加できる機会が与えられたのです。 それは今からほぼ13年前、2008年1月10日のことです。きっかけはiShares ETFの一つMSCI-Kokusai ETF(NYSE:TOK)の上場を祝し、日本の機関投資家や個人投資家を顧客に抱え、外国株の取引が多い証券会社の代表者として招待を受けたことでした。 MSCI-Kokusaiとは、世界的に知られる株価指数を算出しているMSCI指標の一つで、日本の年金等に外国株運用の際のベンチマークとして使われており、日本株を除く先進国22カ国の大型株・中型株を投資対象とする株価指数です。 ニューヨークへは前日入り、当日は朝の8時くらいだったと思いますが、マンハッタンはダウンタウン、11ウォール・ストリートにあるニューヨーク証券取引所へ向かいます。 セキュリティチェックを終え入館すると私たちは重厚な応接室に通されます。ここでは、アメリカの朝のミーティングらしくコーヒー、紅茶のような飲み物に加え、ペーストリーなどの軽食がふんだんに用意されています。そこに招待された業界の人達と名刺交換や挨拶を終える頃にはニューヨーク証券取引所の上場関連の責任者からの挨拶となります。(参加者へのお礼から始まり、このセレモニーの歴史、鐘を鳴らす世紀の瞬間までの注意事項です。) 9時25分くらいまでには、この日の晴れ舞台に登場することになった15人はポーディアムに登壇します。主賓がその舞台の中心で、鐘を鳴らすボタンの前に立つのですが、たまたま私は運よく彼の右隣に立つことになりました。取引所の担当者も我々と一緒にポーディアムに登壇し、そこから見える取引所のトレーディングフロアーの説明をしてくれます。彼からの指示を受け9時29分40秒くらいには、参加者は力強く拍手をし始めます。 その時笑顔も忘れないよう言われます。ここからはCNNやCNBCなどのTVを通して、世界1億人以上に見られている瞬間だからです。 もしこれが、たまたま市場が暴落している最中であったとしても、笑顔で拍手をする訳ですから見ている人にとっては滑稽に感じる日もあるのでしょう。ですがこれは自分達の上場を祝う人たちの集団なので、その時のマーケットの環境とは関係ないのです。 9時半になると主賓が鐘を鳴らします。通常は上場する企業のCEOが引き受けることが多い役目ですが、今回の場合ETFですので、ETFの運用会社であるブラックロックのETF事業のトップの方でした。 鐘を鳴らすと言っても、本当に鐘を叩くのではなく、ボタンを押すのです。主賓がプラスティックの蓋を開け、ボタンを押すと鐘が鳴るようになっています。押し続けると鐘の音が鳴り続けるのです。そのけたたましい鐘が取引所のフロアに鳴り響くのは10秒から20秒くらいでしょうか。 鐘が鳴り終わると、参加者達は周りの人たちと握手をし合います。 これは握手をするようにとは言われてはなかったと思うのですが、歴史的な瞬間を経験した参加者は気分が高揚するため、隣の人が同業他社の人であったとしても短時間で仲間意識ができ上がり、周りと握手しその経験を祝いたくなるのです。そんななか、ポーディアムからは取引所の取引フロアで働くトレーダーたちも暖かい拍手でこの記念すべき日を祝福してくれているのを見ることができます。 ニューヨーク証券取引所のオープニングの鐘が鳴る舞台裏はこんな感じなのでした。 毎日のオープニング・セレモニーの模様はNY証券取引所サイトでご覧いただけます。 マネックス証券 チーフ・外国株コンサルタント 岡元 兵八郎 (出所:1/4配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋) 《FA》