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ハークスレイ Research Memo(5):投資対象の4分野は合計で6兆円を超える潜在市場規模

2024/8/15 13:05 FISCO
*13:05JST ハークスレイ Research Memo(5):投資対象の4分野は合計で6兆円を超える潜在市場規模 ■投資領域の市場分析 ハークスレイ<7561>は、成長戦略のなかで成長投資に178億円(M&A120億円、設備投資58億円)を費やすことを発表している。その対象領域は、既存事業セグメントである物流・食品加工事業である。M&Aは食品製造、冷凍食品製造、菓子製造、農産物・水産物・畜産物の生産・加工業など、同社とのシナジーによる事業基盤の強化・拡充に寄与する企業・業界を対象としている。弊社では、主な対象市場の市場規模/成長性/プレーヤーなどを調査・分析した。対象4分野を合計すると6兆円を超える潜在市場規模がある。 1. 中食ベンダー、PB食品市場 投資対象領域の最有力となるのは、物流・食品加工事業のカミッサリー事業である。食品スーパーやドラッグストアから唐揚げなどの総菜を受託生産する外販の事業モデルは成長が著しく、同社では交替勤務によるフル稼働が続いている。小売業の現場では、深刻な人手不足により自前で総菜を作ることが困難になりつつあるため、食材の調達から製造・物流までを手掛ける子会社のアサヒL&Cへの引き合いが増加すると見込まれる。アサヒL&Cのカミッサリー工場は関西にのみ所在しているため、関東をはじめ東海や九州で加工機能を持つ企業がM&Aの対象となるだろう。 (一社)日本惣菜協会「2024年版 惣菜白書 拡大編集版-ダイジェスト版-」によると、業態別の総菜の2023年の市場規模は、食料品スーパーが3.2兆円であり、コンビニエンスストアの3.4兆円に次いで2位である。成長性(2023年の市場数値÷2019年の市場数値)では、食料品スーパーが18.9%と業態のなかで最も高い。 視点を変えると大手小売業のPB商品も標的市場となる。インフレ傾向が続くなか価格への感度の高い消費者からのニーズは高く、大手小売業は開発・販売に力を入れている。経済産業省「商業動態統計」によると2022年度の食品スーパーの年間市場規模は約15兆円であり、加工食品や総菜の構成比を仮に50%と仮定(生鮮3品、非食品を除く)すると、約7.5兆円となる。そのうち、PB食品の市場規模は約1兆円(PB比率16.8%と仮定)と試算できる。 業界のプレーヤーとしては、わらべや日洋ホールディングス<2918>、(株)武蔵野などのコンビニエンスストア向けの製造・納入会社をはじめ、大手小売業の資本系列会社や大手食品メーカーの系列会社など全国の多数の食品メーカーが役割を担っている。 2. 冷凍食品市場 子会社アサヒL&Cでは、阪神カミッサリー工場にて冷凍食品の加工も手掛けており、冷凍食品業界と親和性が高い分野である。例えばグラタンなど多くの総菜は、品質維持ができる冷凍物流が適している。(一社)日本冷凍食品協会の「令和5年(1~12月)冷凍食品の生産・消費について(速報)」によると、冷凍食品の2023年国内生産額は約7,800億円と、前期比で2.1%増となった。近年はスーパーの冷凍食品売り場の拡大に加えてドラッグストアでの取り扱いも増えており、共働き世帯・単身・シニア層の増加に伴い時短や簡便ニーズの高まりにより需要は堅調である。 業界のプレーヤーとしては、ニチレイ<2871>、味の素<2802>、日本たばこ産業(JT)<2914>、ニッスイ<1332>など大手メーカーの存在感が大きいが、中堅中小企業の数も多い。なお、日本冷凍食品協会の正会員企業は109社である。 3. 菓子市場 同社は2022年に稲葉ピーナツをグループ化し、菓子業界に参入した。一般的にはチョコレート/飴菓子/チューインガム/ビスケット類/スナック菓子/米菓などと分類でき、和・洋/常温・チルド・冷凍/地域性など、多様な商品分類が存在するのが特徴である。全日本菓子協会「令和5年菓子の生産数量・生産金額等(推定)」によると、菓子の2023年国内生産金額は約2兆6,700億円と、前期比で5.6%増となった。市場規模の大きなカテゴリーはチョコレートや和生菓子であり、前年からの増加率が高かったのは飴菓子やスナック菓子であった。なお、同社は現状では菓子市場の中で豆菓子、ナッツ類の分野に参入している。 業界のプレーヤーとしては、明治ホールディングス<2269>、森永製菓<2201>、江崎グリコ<2206>、カルビー<2229>、ブルボン<2208>、亀田製菓<2220>など大手企業のほか、専門分野を絞り、地域を限定して活躍する中堅・中小企業も多い業界である。 4. 農産物・水産物・畜産物の生産・加工市場 農産物・水産物・畜産物の生産・加工市場は、現在の同社の事業領域から見ると川上に該当し、これまでは仕入れ・調達で関係してきた分野である。同社ではサプライチェーンの川下(小売り)から製造・物流までを所有しているため、農産物・水産物・畜産物の生産・加工企業がグループ化すればより長いサプライチェーンを最適化できる。例えば、近年は気候変動による農作物の出来や旬の時期への影響が大きくなっているが、同社のように川下の機能を有していれば、川上での調達量の加減や適切な加工法や保存法の選択による調達コストの削減や品質維持などが可能になる。農林水産省「令和4年度6次産業化総合調査結果」によると、2022年の農産物・水産物加工の年間販売金額は約1兆1,900億円(農産加工約1兆100億円、水産加工約1,800億円)であり、前期比6.3%増となった。 業界のプレーヤーとしては、ホクト<1379>、東京NSフーズ(株)、マルハニチロ<1333>、ニッスイ<1332>、日本ハム<2282>、伊藤ハム米久ホールディングス<2296>などの多様な企業が存在する。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫) 《SO》
関連銘柄 16件
1332 東証プライム
919.5
11/22 15:30
+9.2(%)
時価総額 287,279百万円
1911年創業の大手水産会社。水産事業、冷凍食品に強みを持つ食品事業が主力。特定保健用食品等の開発・提供、冷蔵倉庫事業、配送事業等も。コンビニ向けおにぎり・サラダは販売順調。養殖事業の安定・拡大図る。 記:2024/06/13
1333 東証プライム
3,065
11/22 15:30
+10(%)
時価総額 155,025百万円
水産国内最大手。2007年にマルハ、ニチロが経営統合。水産物の輸出入・販売・養殖のほか、冷凍食品等の加工食品事業、食材流通事業等も。紀文食品と資本業務提携。中計では28.3期営業利益310億円以上目標。 記:2024/06/13
1379 東証プライム
1,714
11/22 15:30
+4(%)
時価総額 57,177百万円
国内きのこ事業が主力。長野県長野市に本社。エリンギ、ブナシメジは国内トップ。高効率生産体制が強み。海外きのこ事業、加工品事業、化成品事業も。国内きのこ事業ではブランド価値向上による収益拡大に注力。 記:2024/08/05
2201 東証プライム
2,705.5
11/22 15:30
+2.5(%)
時価総額 248,297百万円
1899年創業の大手菓子メーカー。ハイチュウ、チョコボールなどロングセラー商品多数。冷菓事業、inゼリーのin事業、通販事業等も。in事業、米国事業等を重点領域に位置付け。菓子食品事業は収益力向上目指す。 記:2024/10/13
2206 東証プライム
4,263
11/22 15:30
-19(%)
時価総額 291,883百万円
1922年創業の総合食品メーカー。健康・食品事業、乳業事業、栄養菓子事業などを展開。ロングセラー商品にポッキー、プリッツなど。アジア中心に海外でも事業展開。中国、東南アジアなどでの事業成長加速に注力。 記:2024/10/13
2208 東証スタンダード
2,311
11/22 15:30
+6(%)
時価総額 64,015百万円
菓子メーカー。1924年創業。新潟県柏崎市に本社。ルマンド、アルフォートなど人気菓子多数。ミネラルウォーターや機能性食品、冷菓等の販売も。ビスケット、チョコレート等は順調。新製品の開発体制強化を図る。 記:2024/10/27
2220 東証プライム
4,100
11/22 15:30
-15(%)
時価総額 91,508百万円
国内最大の米菓メーカー。「亀田の柿の種」や「ハッピーターン」で知名度。長期保存食や植物性代替肉なども手掛ける。31.3期売上高1400億円目標。国内米菓事業ではミライベイカの構成比率の上昇を図る。 記:2024/06/03
2229 東証プライム
3,050
11/22 15:30
-8(%)
時価総額 408,487百万円
かっぱえびせん等スナック菓子大手。ポテトチップスは国内シェア高い。北米、アジアなど海外でも事業展開。25年度の海外売上高比率は30~35%目標。国内海外ともに堅調。値上げで原材料高こなす。工場効率化進める。 記:2024/10/08
2269 東証プライム
3,299
11/22 15:30
±0(%)
時価総額 968,121百万円
牛乳・乳製品、菓子、食品の製造・販売等を行う明治が中核の持株会社。ヨーグルトやチョコレート、プロテインで国内トップシェア。医薬品事業も。総還元性向50%以上目安。食品部門では高付加価値商品の投入図る。 記:2024/08/05
2282 東証プライム
5,086
11/22 15:30
+34(%)
時価総額 523,649百万円
国内食肉業界最大手。食肉事業のほか、加工事業、海外事業、ボールパーク事業も手掛ける。「シャウエッセン」などロングセラー商品多数。配当性向40%以上目安。加工事業では主力商品のブランディング強化を図る。 記:2024/08/02
3,770
11/22 15:30
-5(%)
時価総額 216,666百万円
伊藤ハム、米久の経営統合で2016年に誕生。食肉事業が主力。ハム・ソーセージ、調理加工食品等の加工食品事業も。ハム・ソーセージ部門で国内売上トップ。ハム・ソーセージは家庭用主力商品の拡販などに注力。 記:2024/09/01
2802 東証プライム
6,312
11/22 15:30
+121(%)
時価総額 3,255,294百万円
国内最大手の調味料メーカー。1909年創業。うま味調味料などで国内トップシェア。調味料・食品を主力に、冷凍食品、医薬用・食品用アミノ酸等も。ヘルスケアやフード&ウェルネス、ICTなどを成長領域に位置付け。 記:2024/08/23
2871 東証プライム
4,093
11/22 15:30
+63(%)
時価総額 548,875百万円
冷凍食品最大手。低家庭用冷凍食品シェアは約20%。温物流事業にも強く、冷蔵倉庫設備能力や庫腹量でトップシェア。家庭用調理品は売上増。炒飯を中心に米飯類の販売数量は回復。低温物流は効率化を進める。 記:2024/06/04
2914 東証プライム
4,236
11/22 15:30
+32(%)
時価総額 8,472,000百万円
世界的な大手たばこメーカー。メビウス、セブンスター等のブランドを展開。製薬会社の鳥居薬品、加工食品メーカーのテーブルマーク等を傘下に持つ。たばこ事業は販売数量増などで、自社たばこ製品売上収益が順調。 記:2024/07/01
1,982
11/22 15:30
-11(%)
時価総額 34,935百万円
わらべや日洋食品、わらべやデリカ等を傘下に収める持株会社。米飯、調理パンなど調理済食品の製造・販売等を行う。物流関連事業等も。セブンイレブン向け売上比率が高い。千葉工場、大宮工場は25年2月末に閉鎖予定。 記:2024/10/27
7561 東証スタンダード
680
11/22 15:30
±0(%)
時価総額 12,954百万円
持ち帰り弁当「ほっかほっか亭」をFC展開。店舗リースや店舗運営事業者向けソリューション、物流センターの運営、食品加工等も手掛ける。中食事業は若年層など新規開拓図る。28.3期売上高720億円目標。 記:2024/09/03