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ダイナムジャパンHD Research Memo(7):スマート遊技機の積極導入で営業収入を拡大し、守りから攻めに転じる

2023/7/5 16:27 FISCO
*16:27JST ダイナムジャパンHD Research Memo(7):スマート遊技機の積極導入で営業収入を拡大し、守りから攻めに転じる ■2024年3月期の事業方針 1. パチンコ事業 (1) 営業方針 2024年3月期は集客力の高いスマート遊技機を積極導入し、プロモーション展開も図りながら幅広い顧客層の取り込みを推進し、増収増益を目指す。 スマスロ機は、2022年11月の導入後に半導体不足や型式認定※の遅れなどが発生した。2023年3月期は業界全体で15万台の供給見込みであったのに対して、8万台強に留まり、大手ホールでも調達に苦労する状況が続いた。2024年3月期はメーカー各社の計画を積み上げると上期に31万台、通期で80万台の販売を計画しているが、今後の部材調達や型式認定の取得状況次第となる。上期に導入が順調に進めば業界全体でスマスロ機の設置比率は上昇する見通しで、ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>においても設置比率を高める意向である。 ※パチンコ・パチスロ機がホールに導入されるまでに、(一財)保安通信協会 が実施する型式試験(規則どおりに製造されているかの確認試験)に合格し、検定・認定を受ける必要がある。 スマパチは2023年4月から導入が始まった。現状は稼働率で従来機種と大きな差がないため、メーカー側でも2024年3月期上期は業界全体で10万台程度の計画に留まる見通しだ。ただし、部材調達や型式試験の状況によって変動する可能性もある。このため、同社でも2024年3月期はスマスロの導入を優先して進める方針だ。 スマート遊技機の導入は遊技機業界にとって、以下の3つのメリットが考えられる。第1に、遊技機が玉・メダルレスになることで利便性が向上し、感染防止対策にもつながること、遊技機のスペック向上(現状はスマスロに限る)によって、ゲーム性が高まることで遊技人口の増加が期待できる点にある。 第2に玉・メダルレスになることで島設備(玉・メダル等の補給機装置等)が不要となり、交換作業やメンテナンスが不要となり、店舗のローコストオペレーションが進む点にある。既にスマート遊技機専門店を出店している競合もあり、同取り組みが成功すればローコストオペレーションという特長を生かした小型専門店が増える可能性もある。 第3に、業界の健全化が挙げられる。スマート遊技機の遊技データ(出玉情報、設置情報等)は第三者機関となる「遊技機情報センター」に送信されることになる。これによりセキュリティの強化と不正遊技の撲滅につながる効果が期待されるほか、のめり込み防止対策にもつながると見られる。業界の健全化が進めば、参加人口が増え顧客層のさらなる拡大も期待される。 なお、出店戦略については建設コストの高止まりが続いていることもあり、新規出店は居抜き物件も含めて検討するほか、M&Aについても条件に適う店舗に絞って取得を進めることで、店舗数の増加を目指す。回復が見込みにくいと判断した店舗については整理を検討する。全体では前期末比で純増となる計画で、2018年3月期以来7期ぶりに増加に転じることになる。これは外部環境もある程度落ち着きを取り戻し、既存店舗の稼働率もスマスロ効果によって回復に向かう一方で、資金調達力のない競合店の閉店が2023年に入ってからも相次いでおり、同社にとってはシェア拡大の好機と見ているためだ。 (2) パチンコ事業費用の見通しについて パチンコ事業費用については、引き続きコストコントロールを進める方針としている。遊技機の購入台数については、スマート遊技機の導入を積極的に行っていくものの、全体で見ればグループで保有する中古機の有効活用を図ることで前期から10~15%程度絞り込む計画である。このため遊技機の減価償却費については上期をピークに下期は減少に転じる見通しだ。 パチンコ事業費用の3割強を占める店舗人件費については、ローコストオペレーションの取り組みを継続することで総労働時間をさらに抑制する一方、水道光熱費については電力料金の値上げにより前期比でさらなる増加を見込んでいる。広告宣伝費は、スマート遊技機の設置台数拡大とあわせてプロモーション施策を展開することから、若干増となる見通しである。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《SI》