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ミロク情報 Research Memo(7):2026年3月期の経常利益目標は125億円

2023/1/16 15:07 FISCO
*15:07JST ミロク情報 Research Memo(7):2026年3月期の経常利益目標は125億円 ■今後の見通し 2. 「中期経営計画Vision2025」の進捗状況 ミロク情報サービス<9928>は2021年5月に2026年3月期を最終年度とする5ヶ年の「中期経営計画Vision2025」を発表した。コロナ禍を契機に社会全体でDX化が一気に進行するなど同社を取り巻く市場環境が大きく変容するなかで、継続的な企業価値向上に向けた戦略として、「既存ERP事業の進化・ビジネスモデルの変革」「新規事業によるイノベーション創出」の2点を大きな基本方針として打ち出した。 また、業績数値目標として2026年3月期に売上高550億円、経常利益125億円を掲げている。2023年3月期以降4年間の年平均成長率は売上高で10.7%、経常利益で27.2%となる。2023年3月期第2四半期までの進捗状況は、「既存ERP事業の進化・ビジネスモデルの変革」は順調に進捗している一方で、統合型DXプラットフォーム事業の構築とグループシナジーによる子会社の収益拡大についてはやや遅れ気味となっており、これらの巻き返しが目標達成のカギを握るものと見られる。 同社単体業績については2022年3月期の売上高312億円、経常利益50億円に対して、2026年3月期は売上高360億円、経常利益75億円を目標としている。顧客の課題解決を図るソリューション営業を強化し、クラウドサービスの拡充とサブスク型ビジネスモデルへの転換を進めていくことで、収益拡大を図る戦略だ。ストック型売上となるサービス収入の売上比率を2022年3月期の約40%から2026年3月期には55%まで引き上げていく計画で、経常利益率も2022年3月期の13.0%から2026年3月期は20%超に上昇する見通しだ。 また、グループ会社の業績については2022年3月期の売上高71億円、経常利益5億円から、2026年3月期は売上高150億円、経常利益25億円を目指す。グループ会社が独自成長を目指すためのシナジーを強化し、グループ運営体制の最適化を図っていく。子会社とのシナジーを高めていくため、統合型DXプラットフォームの構築を推進していく。トライベックが「Hirameki 7」をリリースしたが、今後もトランストラクチャの組織・人事系のコンサルティングサービスや、BizMagicのCRMサービスを同プラットフォーム上で提供することで、効率的に顧客開拓を進める戦略となっている。今後4年間で売上規模を2倍強に拡大するのはチャレンジングな目標ではあるものの、提供するサービスが魅力的なものであれば売上も急成長する可能性があり、今後の動向に注目したい。 その統合型DXプラットフォーム事業に関しては、2026年3月期に売上高50億円、経常利益25億円を目標としている。利益率が高いのは、見込み顧客が会計事務所やその顧問先企業のため、広告宣伝費等の顧客獲得コストを低く抑えることが可能と見ているためだ。売上高50億円の前提として、ユーザー数3.5万社、ARPU(1ユーザー当たり平均売上)1.2万円/月を想定している。中小企業・小規模事業者向けSaaS・ソフトウェア市場のポテンシャルについて同社グループでは1.42兆円程度と推計しており、今後の動向を注目したい。 中期経営計画の達成を実現するため、同社は以下の6つの基本戦略に取り組んでいる。 (1) 「会計事務所ネットワークNo.1戦略」 「会計事務所ネットワークNo.1戦略」を実現するため、ERPシステム「ACELINK NX-Pro」の機能強化を図り、新たな業務効率化ソリューションをミロク会計人会(ユーザー組織)との共同プロジェクトによって企画・開発を推進していく。会計事務所向けERPシステムの市場シェアは約25%と安定しており、約8,400所のユーザーがいるが、ERP以外のサービス(MJS M&AパートナーズのM&A支援サービス等)で取引のある会計事務所もある。こうした会計事務所に対してERPシステムの導入提案を行っていくほか、新たに独立開業する会計事務所の新規獲得にも注力していく。 また、会計事務所に対して顧問先企業への経営指導を行うためのツールを提供することで、顧客ロイヤルティの最大化に取り組んでいく。顧問先企業の定性情報や定量情報などの各種データをクラウド上で収集・分析し、資金繰り対策や経営指導につながる新たなサービスの企画開発を進めており、先日発表したオリックスとの業務提携によるオンライン融資サービスもその1例となる。会計事務所にとっても顧問先企業に対する新たな付加価値サービスとなり、顧客満足度の向上にもつながることから導入メリットは大きいと考えられる。顧問先となる約50万社の企業のデータを収集・分析することができれば、提供する経営支援サービスも付加価値の高いサービスに昇華させることが可能となり、今後の動向が注目される。 (2) 「中堅・中小企業向け総合ソリューション・ビジネス戦略」 中堅・中小企業のDXに向けた経営課題に応えるサービス領域の拡大と、コンサルティングによる価値創造の最大化に取り組むことで、総合的なソリューション・ビジネスを展開していく。 顧客企業が抱えるDX関連の課題は事業の成長段階や環境変化に応じて多種多様にあり、これらの課題に最適なソリューションをグループ会社のリソースも含めて選択・提案することで、顧客ニーズを取り込んでいく。たとえば、会計・税務分野であれば同社の専門領域であり、デジタルマーケティング分野であればトライベック、人事分野であればトランストラクチャ、CRM・SFA分野であればBizMagicがコンサルティングサービスを提供していくことになる。このように経営に関する多様なコンサルティングニーズに対して、ワンストップでソリューションを提供できる会社は少ない。また、統合型DXプラットフォーム上のサービスとも連携し、多彩なクラウドサービスを提供していくことで、よりグループのシナジーが高まるものと弊社では見ている。 また、主力のERP製品についてはAI機能拡充や、外部製品とのAPI連携を強化し、顧客企業の利便性を向上することで競争優位性を構築していくほか、クラウド化(IaaS化)とSaaS型新製品の企画開発を進め、クラウドサービスへの移行を進める方針だ。現在、販売形態はオンプレミス型とクラウド型(IaaS型)での提供となっているが、2026年3月期にはクラウド型(IaaS型)もしくはSaaS型でのサービス提供が主体となり、オンプレミス型でのサービス提供は大幅に縮小するものと予想される。 中小企業のDXを促進する契機になるものとして、2022年1月に施行された電子帳簿保存法の改正や2023年10月に施行されるインボイス制度等が挙げられる。電子帳簿保存法については2年間の猶予が設けられているが、2024年1月以降は国税関係帳簿や書類の電子保存が義務化されることになり、同社の関連サービスとしてストレージサービス「MJS e-ドキュメントCloud」の需要が伸びている。また、インボイス関連では電子インボイスの送受信を行うクラウドサービス「MJS e-Invoice」を2022年9月より提供を開始しており、今後の需要拡大が期待される。このため、同社では2022年末からテレビCMを放映し、こうした需要をERP製品と合わせて積極的に取り込んでいくことにしている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《NS》
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財務会計・税務システムを中心とするERP(統合業務管理)製品の販売等を行う。会計事務所、中堅・中小企業向けが中心。会計事務所向け、中小企業向け各種業務システムは販売順調。2028年度売上高600億円目標。 記:2024/06/07