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新晃工業 Research Memo(1):事業環境好転も、資源価格高騰への対応がカギ

2022/7/14 16:01 FISCO
*16:01JST 新晃工業 Research Memo(1):事業環境好転も、資源価格高騰への対応がカギ ■要約 1. セントラル空調機器のリーディングカンパニー 新晃工業<6458>はセントラル空調機器のリーディングカンパニーで、大型オフィスビルなどのセントラル空調システム向けに空調機器を製造販売している。主力製品は空気調和機(AHU:Air Handling Unit。以下、AHUまたはヒートポンプAHUとの対比として、水AHU)とファンコイルユニット(FCU:Fan Coil Unit)で、戦略商品としてヒートポンプAHUの製造販売も行っている。2022年3月期の製品及びサービス別の売上高構成比は、空調機器製造・販売事業(国内)53.0%、工事・サービス事業20.0%、ビル管理事業12.3%、空調機器製造・販売事業(海外)14.7%となった。事業環境は、建設投資などの回復により東京オリンピック・パラリンピック特需後の端境期から脱しつつあるものの、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の継続や資源・資材の世界的な価格高騰といったリスクが発生している。 2. 中期経営計画「move.2025」で2025年3月期営業利益75億円を目指す 2021年に同社は中期経営計画「move.2025」を策定した。なかでもSIMA(SINKO Innovative Manufacturing of AHU)プロジェクトが目玉で、デジタル化によって製造面の効率化を進める一方、高精度な需要予測によって新たな営業スタイルの確立を図っている。さらにSIMAプロジェクトをテコに、重点取組項目として水AHU、ヒートポンプAHU、工事・サービス事業、中国事業の強化及び技術深耕・品質向上の5点を推進している。さらに、ESG経営を積極化、製品を通じた環境負荷低減や空調による社会貢献などを進めるとともに、シナリオ分析により脱炭素社会に向けた戦略の柔軟性を検証、持続可能な収益体質の確保を目指している。この結果、2025年3月期に売上高520億円、営業利益75億円を達成する計画である。 3. 水AHUとヒートポンプAHUはターゲットを設定し市場戦略を展開 中期経営計画における重点取組項目として挙げた5点の進捗はおおむね順調で、特に水AHUの強化とヒートポンプAHUの強化に関して、ターゲットを絞ったポートフォリオ戦略を策定し、市場の特徴・要件、求められる技術要件をもとに市場戦略を展開している。例えば水AHUでは、国内回帰で需要が拡大している産業向けは、特殊仕様や短納期が求められるため、オーダーメイドによる設計・生産やAI工数予測などを活用して対応していく。情報通信の高度化・大容量化で伸びているデータセンター向けは、特に同社の技術力が生かされる分野でもあるため、短納期やシステム化への要望に対処していく。ヒートポンプAHU市場では、同社はチャレンジャーであるため、市場浸透を図るとともに、よりスタンダードな製品を開発していく方針である。 4. 資源・資材の価格高騰には生産性向上や価格転嫁がカギとなりそう 2022年3月期の業績は、売上高41,964百万円(前期比7.1%増)、営業利益5,712百万円(同13.0%減)となった。売上は確保できたが、原材料や物流コストの高騰、将来を見越した販管費の増加により増収減益となった。同社は2023年3月期の業績を、売上高43,000百万円(前期比2.5%増)、営業利益5,750百万円(同0.7%増)と見込んでいる。データセンターに加え商業施設など建設投資が回復傾向に入ったが、コロナ禍やウクライナ情勢により資源や各種資材が世界的にボトルネックを起こし高騰していることから、生産性向上や価格転嫁が業績達成のカギとなりそうだ。中長期的にはリスク収束を予想する一方、工場市場やデータセンター向けに加え、都心再開発や大阪万博関連向けの需要が追い風となる見込みである。 ■Key Points ・セントラル空調のリーディングカンパニーで、ヒートポンプAHUで個別空調にも参入 ・SIMAプロジェクトを背景に重点取組項目を推進、2025年3月期営業利益75億円を目指す ・工場やデータセンター向け需要など業況好転も、資源・資材価格高騰への対応がカギ (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《EY》
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業務用空調機器の開発・設計・販売等を行う。セントラル空調機器で国内トップシェア。あべのハルカスなどで納入実績。マリーナベイサンズなど海外でも実績多数。大型ビル空調、データセンター等を重点分野に位置付け。 記:2024/10/12