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TDCソフト Research Memo(6):企業のIT投資抑制の解消等を背景として、4分野とも増収増益を達成(1)

2022/7/1 15:26 FISCO
*15:26JST TDCソフト Research Memo(6):企業のIT投資抑制の解消等を背景として、4分野とも増収増益を達成(1) ■TDCソフト<4687>の業績動向 4. 主要施策の状況 同社グループは「次世代型システムインテグレーター」を目指し、市場の潜在ニーズを捉え、デジタル技術の新たな潮流に対応した次世代型のシステムインテグレーション(SI)事業へと進化することをビジョンに掲げ、2019年4月から2022年3月における中期経営計画「Shift to the Smart SI」を推進してきた。また、新たに2023年3月期を起点とする新たな中期経営計画を策定。今後3年間はその中期経営計画に基づいた経営を推し進める方針だ。 主要戦略としては「高付加価値SIサービスの追求」と「SIモデル変革の推進」を掲げてきた。「高付加価値SIサービスの追求」においては、重点分野の事業の拡大、高収益化を推進するうえで、アジャイル関連事業とセキュリティ関連事業を重点戦略分野としている。また、「SIモデル変革の推進」においては2020年2月にM&Aを行った、SAPシステムのコンサルティング及びシステム開発に強みを持つエールビジネスコンサルティング(株)によるソリューション事業の強化、米国Scaled Agile, Inc.やセキュアで高速大容量通信のプライベートLTEサービスを提供するclosip(旧LTE-X)とのアライアンスを推進させ、差別化を図っている。そのほか、顧客のビジネスのイノベーション支援等を通じた営業活動を推進するビジネスイノベーション本部や、顧客のDX推進に向けて先端技術を駆使し、スピーディーかつ効率的な課題解決をアカウント事業部門と連携。それを実現するデジタルテクノロジー本部を創設した。 高付加価値SIサービスでは、高付加価値を実現するために常に最新の技術を追い求める必要がある。いわゆる最新の流行を追いかけることになるが、流行は時間の経過とともに一般化する傾向がある。そうなると、他企業との競争が激化し、同社の収益水準が下がってしまう可能性がある。そこで、同社は現在の技術がどのような問題を抱えているかについてアップデートを心がけ、常に新しい技術の流行をキャッチできるよう留意。そのためには継続した投資を行っていく方針だ。その一方で、廃れていく技術に関しては大胆にカットし、事業や技術の新陳代謝を高めていくことが今後の課題の1つとなろう。 また、上述の施策を実現するためには、人材リソースの確保が必須である。DX化が加速するなか、高付加価値SIを実現できる技術者のニーズがますます高まっており、そうした技術者の給与水準の引き上げが顕著になっている問題がある。同社は新卒採用者の早期育成に強みを持っているが、今後は人材リソースの確保を目的としてM&Aも活用していく方針だ。今後も、技術者の確保・育成を最重要課題の1つとして取り組んでいく見通しである。そうなると、人件費の増加が収益の重石となる可能性が浮上する。実際、2023年3月期の9月中間期時点では、新卒採用者の拡大による人件費の増加に伴い、わずかではあるが前年同期比で微減益の予想となっている。ただ、新中期経営計画のもと、人材への投資は新たな成長ステージに向けた種蒔きの段階と捉えられる。新中期経営計画や今後の業績において、人件費の増加はやや重しとなる可能性がある点ではあるものの、企業のIT投資の増加を見据えた将来への投資と前向きに考えたい。実際、2022年3月期の業績において、増収増益のおよそ3分の1は高付加価値化、次世代SIを推し進めた効果によるもので、残りの3分の2はパートナー企業との協業も含め、人材リソースを拡大させたことが要因であることは押さえておきたい。 2022年3月期における次世代型システムインテグレーターに向けた取り組みとしては、次世代型SI事業は順調に拡大しており、売上高に占める構成比は17.4%と前期(12.3%)から5.1%増加し、売上高は前期比60.3%増の5,390百万円に拡大。会社計画比12.0%増の成長。また、次世代型SI事業の拡大に伴い、売上総利益率は前期比1.0%増の20.8%となった。 加えて、重点戦略分野であるアジャイル関連事業においては米国Scaled Agile, Inc.とのゴールドパートナー契約によるアライアンスの強化に基づき、SAFe(R)を用いた企業の迅速な経営判断、システム開発に資するコンサルティングサービス、教育サービスの提供を行っている。さらに、リックソフトと業務提携契約を締結し、SAFe(R)を導入したビジネス変革に向けたベストプラクティスなサービス開発を推進。顧客のDX需要の拡大によってアジャイル関連事業は着実に成長しており、アジャイル関連事業の売上高については、2019年3月期の330百万円から、2022年3月期においては1,523百万円に増額し、4ヶ年で約5倍に拡大した。アジャイル開発分野においては、アジャイル開発サービスの拡大に向け、デファクトスタンダードであるScrum認定技術者の拡大等に取り組んでおり、Scrum認定技術者、アジャイル開発PJ経験者、SAFe(R)認定コンサルタントは順調に増加。2019年3月期の50名から2020年3月期は102名、2021年3月期は194名、2022年3月期は261名と大幅に増員している。2022年3月期第2四半期においては、新型コロナウイルス感染症の影響から新卒採用を53名に抑制したものの、認定技術者の増員によって、高度な技術が必要とされるプロジェクトの需要を取り込むことができると見られることから、2023年3月期第2四半期では、積極採用を再開。人材の早期育成を強みとする同社だけに、こうした新卒採用の増加は高付加価値化を一段と加速させる要因になると弊社では考えている。 もう1つの重点戦略分野であるセキュリティ関連事業においては、新サービスの追加などの高付加価値化に向けた取り組みを強化した。2020年8月には社会的なリモートワークソリューションなどWithコロナの需要を取り込む新サービスとして、「LTE over IP(R)」※技術を活用したセキュアアクセスを実現するサービス「Tegata」の提供を開始。利用者は、ソフトSIMを端末にインストールして接続を行うため、紛失リスクがなく、パスワードレスでネットワークへ接続を行うことができる。また、クラウド型サービスのため、急な増減にも対応が可能となる。TegataはVPN以上のセキュリティを確保し、VPNで必要となる専用装置が不要なクラウド型アクセスサービスであり、リモートワークユーザーの増大などに柔軟に対応できる。今後もTegataの提供機能を拡充し、システムインテグレーション事業をコアに2022年度末の累計販売10万ライセンスを見込む。 ※「LTE over IP(R)」とは、closip(旧LTE-X)が開発に成功した技術であり、プライベートLTEの構築に際し、ライセンスバンド(無線局免許を必要とする周波数帯)の取得の必要がなく、通常のインターネット(IPネットワーク)上でプライベートLTEの構築が可能な技術のこと。 (執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) 《SI》
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独立系システムインテグレータ。金融業界のITソリューションに強み。クラウド型システム開発ツールなど自社製品の販売も。エンタープライズ向けSaaSソリューション案件は堅調。24.3期3Q累計は増収増益。 記:2024/04/15