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デリカフHD Research Memo(3):2022年3月期の売上高は計画以上に回復。経常利益も下期は黒字化を達成

2022/6/24 15:43 FISCO
*15:43JST デリカフHD Research Memo(3):2022年3月期の売上高は計画以上に回復。経常利益も下期は黒字化を達成 ■業績動向 1. 2022年3月期の業績概要 デリカフーズホールディングス<3392>の2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比25.4%増の39,788百万円、営業損失で397百万円(前期は1,467百万円の損失)、経常損失で242百万円(同1,031百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失で746百万円(同776百万円の損失)となった。 同社が想定していたよりもコロナ禍の影響が長引いたものの、事業ポートフォリオ変革の推進によりコロナ禍に強い外食企業や量販・小売、中食、給食業界など、外食以外の業界で新規顧客開拓や既存取引先との売上深耕を図ったことが奏功し、売上高については期初の会社計画(35,000~37,000百万円)を上回り、2020年3月期の過去最高売上(40,413百万円)に迫る水準まで回復した。 一方、経常利益は当初目標としていた黒字化を達成できず2期連続の損失計上となったが、前期比では789百万円縮小した格好になっている。前期との比較では商品仕入率が夏場の天候不順による市況悪化により前期比1.1ポイント上昇したほか、人件費の増加や新規事業(ミールキット及びBtoC事業)への先行投資等があったものの、増収による売上総利益の増加で吸収した格好となっている。また、会社計画に対して経常利益が下回った要因としては、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が通期で約8ヶ月近くにわたり発令されたことによる期間中の損失に加え、8~9月に発生した青果物の市況悪化による商品仕入率上昇の影響により、計画比590百万円の減益要因となったこと、さらには外食業界以外の顧客獲得や売上拡大が想定以上に進んだことにより、新規獲得した顧客の生産ライン安定化までの一時的なバタつきも一因になったと弊社では見ている。 ただ、半期ベースで見ると下期は売上高で21,670百万円、経常利益で368百万円とそれぞれコロナ禍前の2020年3月期の水準(売上高19,984百万円、経常利益268百万円)を上回った点は注目される。下期もまん延防止等重点措置が主要都市で発出されるなど、市場環境が好転したわけではなかったが、コロナ禍に強い外食企業や外食以外の顧客向けの売上が伸長したことが寄与したことによるものであり、コロナ禍でも収益を伸ばしていくことができる体制を構築できた証左と言えるだろう。 営業外収支が前期比281百万円悪化したが、雇用調整助成金収入が117百万円と前期から279百万円減少したことが主因となっている。同社はコロナ禍以降も雇用の維持を続けており、2022年3月期末時点の従業員数は前期末比50名増加の651名、臨時雇用者数は同33名増加の1,838名となっている。 (1) 商品別・業態別売上動向 商品別売上高を見ると、カット野菜は前期比25.9%増の18,796百万円、ホール野菜は同14.3%増の14,641百万円、その他(ミールキット含む)は同59.5%増の6,350百万円とすべての部門で2ケタ増収となった。カット野菜(真空加熱野菜含む)は、人手不足と簡便に調理できる利便性の高さを背景に外食業界で利用が広がっているほか、量販・小売店向けやコンビニエンスストア、コロナ禍に強い外食業界向けでの採用が進み、コロナ禍前の水準を上回った。ホール野菜がコロナ禍前に対して8割程度の回復にとどまっているのとは対照的な動きとなっている。また、その他部門のうち、ミールキット事業の売上は1,531百万円(前期は102百万円)となった。 業態別売上高で見ると、主力の外食業界向けは前期比8.7%増の25,466百万円となった。コロナ禍が長引くなかで居酒屋業態向けが引き続き減少したものの、コロナ禍に強い業態向けが同95.7%増の5,675百万円と大きく伸長した。大手ファストフードや寿司チェーンなどで取引エリアが拡大したほか、焼肉業態向けも好調に推移した。顧客側でもコスト削減のため、地域別で異なっていた取引業者を一本化する動きがあり、同社の顧客内シェアが上昇したものと考えられる。 量販・小売業界向けは、大手ホールセールクラブ(会員制倉庫型小売)向けの売上深耕と新規顧客の開拓が進んだことにより同60.2%増の7,095百万円と急拡大した。また、中食業界向けが同27.3%増の2,729百万円、給食業界向けが同79.8%増の2,050百万円といずれもコロナ禍前の水準を大きく上回った。新規事業のBtoC事業は、同98.6%増の735百万円となった。異業種とのコラボ出店や駅ナカ、スーパー・百貨店での期間限定出店などによる販売増に加えて、「青果日和」(ECサイト)、宅食業者を通じた野菜BOXの販売が伸長した。2022年3月期の新規顧客及び既存顧客との取引深耕による増収効果は4,878百万円と前期の4,263百万円からさらに増加した。 (2) 事業セグメント別業績 青果物事業の売上高は前期比25.0%増の39,323百万円、セグメント損失(経常損失)は322百万円(前期は1,038百万円の損失)となった。前述したように売上高の回復で下期は黒字化を達成したものの、第2四半期までの損失分を挽回するまでには至らなかった。 物流事業の売上高は前期比17.3%増の3,407百万円、セグメント利益は14百万円(前期は56百万円の損失)と黒字に転じた。グループ内取引の拡大や単価アップを実施したこと、配送回数・コースの見直しによる効率化に取り組んだことが利益改善要因となった。また同事業では、トラックの空きスペースを利用して他社商品の受託物流サービスも行っており、外部顧客向け売上高は前期比77.5%増の381百万円となった。各種資材に加えて弁当の取扱いも都内で新たに開始したことが増収要因となった。 研究開発・分析事業の売上高は前期比31.2%増の105百万円、セグメント利益は同22.8%減の9百万円となった。コロナ禍で外部向けセミナーが減少したものの、JAXA補助事業※やスマート農業事業など国家プロジェクトによる研究費等の収入増に加え、野菜成分分析サービスが増加した。利益面では、人員増に伴う人件費増や分析消耗品費の増加が減益要因となった。 ※JAXA補助事業とは、「資源循環社会に向けた自立循環型水耕栽培システム(地産地消型探査技術)共同研究事業」のことで、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)産業技術総合研究所、千葉大学、菱熱工業(株)の産官学4機関と連携した共同研究プロジェクトとなる(事業実施期間は2020年11月~2022年10月)。同社グループでは、野菜残渣の提供、残渣分解装置の設置・稼働、野菜残渣や液化堆肥、環境浄化型植物等の評価・分析を行っている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《YM》
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時価総額 8,715百万円
外食・中食産業向けにホール野菜やカット野菜を販売。ミールキットも。カット工場や物流機能を自社で保有。24.3期3Q累計は外食向けの需要が回復。製造原価率も改善して経費増をこなす。通期最高業績・増配を計画。 記:2024/02/15