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富士ソフト Research Memo(8):VUCA時代を迎えるなかで策定された新中期経営計画に注目(1)

2022/4/4 15:18 FISCO
*15:18JST 富士ソフト Research Memo(8):VUCA時代を迎えるなかで策定された新中期経営計画に注目(1) ■今後の見通し 1. 2022年12月期の連結業績予想 富士ソフト<9749>による2022年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比3.0%増の265,500百万円、営業利益が同2.7%増の17,300百万円、経常利益が同2.9%増の18,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.2%増の9,700百万円と、2013年に12月期決算へ移行してから実質的に9期連続での増収・営業増益を見込んでいる。 2022年12月期予想は、新中期経営計画で掲げられた3ヶ年目標値(売上高は年率5%成長、営業利益は年率6%成長)に比べ慎重に見えるが、1)単年度公表値については従来からの保守的な策定方針が維持された、2)子会社における一時的な業績押下げ要因をフルに織り込んだ、3)コロナ禍の長期化や地政学リスクの高まり、インフレ懸念の台頭、金融局面の転換といったマクロ環境面での不透明感を意識した、結果と考えられ大きな違和感はない。 配当予想は、2021年12月期実績の年間52円/株(第2四半期末に26円/株、期末に26円/株)から年間109円(第2四半期末に54円/株、期末に55円/株)へと大幅に引き上げられ、8年連続増配となる見通しである。 同社は、今回の大幅増配にあたって「積極的な事業展開や不慮のリスクに備えるために一定の内部留保を確保しつつ、安定的な利益還元を基本方針としながら、事業の成長性、安定性、資本効率などの状況を総合的に勘案し、連結配当性向30%以上とした」との配当方針を開示している。従来方針の「安定的・継続的な配当の実現を利益還元の基本方針とし、戦略的な成長投資や急激な経済環境の変化、不慮の事業リスクへの対応などを総合的に勘案して実施する」をベースにしつつ、資本効率や連結配当性向という文言が盛り込まれたことには、中長期的な企業価値向上をコミットする企業として、これまで以上に株主還元を含む資本政策を活用しようとする経営意識が表れている。 2. 一歩踏み込んだ新中期経営計画を策定、まずは2024年12月期に売上高3,000億円・営業利益200億円の突破を狙う 2022年2月、同社は「経営方針」と「各種戦略」、「財務方針」、「数値目標」を柱とする新たな中期経営計画を公表した。そこで掲げられた「経営方針」と「各種戦略」は連綿と続くブレない内容となっている。他方、「財務方針」と「数値目標」(2024年12月期に売上高3,000億円以上、営業利益200億円以上、ROIC8.0%以上、ROE9.0%以上、EBITDAマージン9.0%以上、配当性向35.0%以上)については、過去の中期経営計画に比べ内容的にも水準的にも一歩踏み込んだものとなっている。 とはいえ、「数値目標」について物足りなさを感じている市場関係者がいることも事実であろう。しかしながら、ここで注目したいのは新たな中期経営計画を策定する第一段階として、事業戦略や財務戦略の基本となる市場における自社の立ち位置が「理念や文化、スキルやリソース、実績と方向性」等を踏まえてしっかりと明確化されていることである。将来予測が困難なVUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)時代を生き抜くために、「先ずは己を知り、次に負けない戦略を練る」という経営姿勢が貫かれたうえで今回の数値目標が設定されていることを素直に評価したい。 また同社は、「成長を目指さず、効率と利益を重視した縮小均衡型経営」を良しとしない「攻めの経営姿勢」を継続することを強調する一方で、「IT大手企業としてのしっかりとした振舞い」や「プライム市場対応」を明言し、ROEやROICをKPIに取り入れ、配当性向の引き上げにも踏み切っている。 こうした点を踏まえると、今回の新中期経営計画には「ベンチャーと大手」や「成長と効率」、「投資と分配」等を二項対立的に捉えるのではなく二項動態的に捉えることで中長期的な企業価値向上を目指す同社の決意が感じられる。ベンチャー魂と大手IT企業の矜持を両立した成長ストーリーの実現に期待したい。 3. 持続的な成長と付加価値向上の基礎となる「人財投資」の推進 新中期経営計画では、「積極採用・拡大」と「多様な人財への成長支援」を核とする人財戦略が前面に打ち出されている。同社の人事ポリシー「バックグラウンドに関わらず“人”の可能性を信じ、誠実に働く人を大切にする、志をもって努力する人に挑戦する機会を与え、多様な人財登用と多様な働き方を実現していく」に、同社の歴史や多様な事業ドメイン等を重ね合わせて見ると、「人の成長に会社が適応することで付加価値創造の場を拡大していく」ことが、独立系ながら大手の一角にまで成長した同社の真髄であるように感じられる。 実際、長期的な人財育成に裏打ちされた同社の一連の取り組みは、事業パートナー等からも高く評価されている。2019年以来の具体的な実績は以下の通りである。 マイクロソフトからは、「Microsoft Japan Partner of the Year 2019」のModern Deviceアワード、「Microsoft Japan Partner of the Year 2021」のMicrosoft Teamsアワードを受賞している。 世界最大のITクラウドサービスを運営するAmazon Web Services(AWS)からは2019年に「政府機関コンピテンシー」と「IoTコンピテンシー」、「マネージドサービスプロバイダ」の認定(前者2つは国内初)を取得、2020年には特に優れた実績を残したパートナーだけに与えられる「APNプレミアコンサルティングパートナー」とオンプレミス環境からAWSへ移行するための総合的なスキルと実績が必要な「移行コンピテンシー」、「AWS well-Architectedパートナープログラム」、「Oracleコンピテンシー」の認定を取得、2021年にはAWS の卓越した技術力と継続的な情報発信が評価され、同社の技術者が「APN Ambassadors/APN AWS Top Engineers」に選出されている。 IT仮想化市場で世界一のシェアを誇るVMwareからは、2020年からの新しいパートナー制度においてデータセンター仮想化、ネットワーク&セキュリティ、デジタルワークスペースという3つのカテゴリー(全5カテゴリー)で最上位認定である「Principal」を取得、VMware 2020パートナーオブザイヤー賞(アジアパシフィック及び日本地域のクラウドプラットフォームトランスフォーメーション部門)を2021年には2021 VMware APJ Partner Innovation Awardを相次いで受賞している。 RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)等の企業向けインテリジェントオートメーション分野におけるグローバルリーダーであるBlue Prismからは、2021年に顧客への導入支援実績と技術の高さが評価され「コーポレートテリトリー ベストパートナー アワード」を受賞、2022年には日本国内の事業者として初となる「Gold Delivery Provider」認定を取得している(「Silver Delivery Provider」認定は2020年に取得)。 また、2021年にはGPUコンピューティングにおける世界的なリーディングカンパニーである米国NVIDIAの日本法人であるエヌビディア合同会社(以下、NVIDIA)が新たに設立した「NVIDIA DXアクセラレーションプログラム」に国内初のパートナーとして参画し、NVIDIAから「日本トップクラスのAI開発、インテグレーション実績を有する」と高く評されている。なお、「NVIDIA DXアクセラレーションプログラム」はDXやAIに課題を感じている企業に対しNVIDIAとビジネスコンサルタントやAIエキスパート、システムインテグレータ等の同プログラムパートナーが連携し、企業の成長戦略に合致したDX施策の立案から開発や運用までを支援することを目的とするものである。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘) 《ST》
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独立系のソフト開発会社。FA・自動車関連の組込み系に強み。24.12期は最高業績・連続増配を計画。中計では28.12期に営業益450億円を目指す。筆頭株主の3Dが出した非公開化などの株主提案は総会で否決。 記:2024/04/11