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アンジェス Research Memo(8):2021年12月期業績は新型コロナワクチンの開発費用増等で営業損失が拡大

2022/3/23 15:28 FISCO
*15:28JST アンジェス Research Memo(8):2021年12月期業績は新型コロナワクチンの開発費用増等で営業損失が拡大 ■業績動向 1. 2021年12月期の業績概要 アンジェス<4563>の2021年12月期の売上高は前期比60.4%増の64百万円、営業損失は15,632百万円(前期は5,599百万円の損失)、経常損失は13,588百万円(同6,618百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は13,675百万円(同4,209百万円の損失)となった。 売上高については、「コラテジェン®」の販売高が前期比5百万円減少の34百万円となったものの、2021年4月に開設したACRLにおける希少遺伝性疾患のオプショナルスクリーニング検査の手数料収入29百万円を計上したことが増収要因となった。ACRLでは同年7月より、新生児を対象としたオプショナルスクリーニング検査を実施している。国内では地方自治体の事業として、特定の遺伝性疾患の検査をすべての新生児に対して無償で実施する「新生児マススクリーニング」が行われているが、対象外の疾患については一般社団法人希少疾患の医療と研究を推進する会(以下、CReARID)が、希望者に有償で「オプショナルスクリーニング」を実施している。同社は遺伝性疾患を対象とした治療薬の開発を進めていることもあり、検査サービスも合わせて行うことが事業基盤の強化につながると考え、CReARIDと連携して同事業を進めていくこととした。将来的にはポンペ病やムコ多糖症などマススクリーニングの対象外となっている疾患の治療薬開発を検討していく意向となっている。なお、売上原価も同事業に関連した費用の計上が増加要因となっている。 研究開発費は10,783百万円と前期比で6,987百万円増加したが、増加要因の大半は新型コロナウイルス感染症ワクチンの臨床試験及び非臨床試験にかかる費用増となっている。項目別では、研究用材料費で1,791百万円、外注費で3,227百万円それぞれ増加した。また、主にEmendoの子会社化に伴い、開発人員の給料手当が556百万円増加した。Emendoでは開発体制の強化を目的に、人員を前期末の53名から90名弱に増員した。 販管費は4,855百万円と前期比で3,035百万円増加した。Emendoの子会社化に伴ってのれん償却費2,407百万円(10年間定額償却)を計上したほかEmendoの販管費が加わったことに伴い役員報酬が133百万円、地代家賃が106百万円、コンサルティング費用等の支払手数料が119百万円それぞれ増加した。また、営業外収支が前期比で3,062百万円改善したが、このうち1,500百万円は新型コロナウイルス感染症ワクチン及び治療薬に係る補助金収入の計上によるものとなっている。そのほか期末にかけての円安進展に伴う外貨の資産評価替えにより、為替差損益が603百万円改善したほか、前期に計上していた持分法投資損失909百万円がEmendoの子会社化に伴ってなくなったことが改善要因となった。また、特別損失として投資有価証券評価損を179百万円計上した。前期はEmendo株の段階取得に係る差益2,428百万円を特別利益として計上していた。 2022年12月期も100億円規模の研究開発費を投下し、開発パイプラインの進展に取り組む方針 2. 2022年12月期の業績見通し 2022年12月期の業績見通しは、新型コロナウイルス感染症ワクチンやHGF遺伝子治療用製品等の臨床試験の進捗によって、研究開発費が大きく変わってくること、並びに開発品の海外導出の可能性や営業外収益に計上見込みの新型コロナウイルス感染症ワクチン開発に係る補助金収入の認定時期が一部、2023年12月期に持ち越される可能性があることなど、未確定な要素が多いことから現時点では未定とし、合理的な算出が可能となり次第速やかに開示するとしている。 経営の指針として「新たな展開を考え、ますます発展、進化していく端緒となる年」にすることを目指し、新型コロナウイルス感染症ワクチン及び治療薬を筆頭に、既存パイプラインの開発推進に取り組んでいく方針だ。また、子会社のEmendoでもELANE関連SCNを対象とした臨床試験開始に向けた取り組みを進めていく。売上高は「コラテジェン®」や「オプショナルスクリーニング」などの継続的な収入が見込めるものの、ライセンス契約締結による一時金収入等がなければ、ほぼ前期並みの水準となることが予想される。 一方、費用面でも現段階では研究開発費で約100億円と前期並みの水準を見込んでいることから、営業損失は前期並みの水準が続くものと想定される。経常損失については新型コロナウイルス感染症ワクチンに係る補助金収入が変動要因となる。既述のとおり、前期末の厚生労働省及びAMEDの前受金が5,119百万円となっており、これにAMEDの第2次公募となる「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」に係る最終回分の助成金(2022年1月に受領)が、当局の監査・認定が下り次第、補助金収入として営業外に計上されることになる。認定時期によって2023年度に一部ずれ込む可能性もあるが、それでも2021年12月期と比較すれば増加する見通しで、経常損失は前期比で縮小する公算が大きいと弊社では見ている。 手元キャッシュは170億円超と潤沢で当面の事業活動資金は確保 3. 財務状況について 2021年12月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比7,101百万円増加の45,455百万円となった。流動資産では、新株予約権の発行及び行使によって調達した17,474百万円の一部を事業費用として充当したものの、現金及び預金が6,362百万円増加の17,899百万円と増加した。また、新型コロナウイルス感染症ワクチンの製造費用等を前払したことにより前渡金が653百万円増加した。固定資産ではのれんが38百万円減少の22,675百万円となった。のれん償却費2,407百万円を計上したが、円安に伴う為替換算等で2,369百万円の増加要因となっている。また、Barcode Diagnosticsの投資有価証券評価損を計上したこと等により投資有価証券が196百万円減少した。 負債は前期末比1,146百万円増加の6,821百万円となった。未払金が594百万円減少した一方で、新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発プロジェクトにかかるAMEDや厚生労働省からの助成金が入金され、前受金が1,525百万円増加の5,119百万円となった。 純資産は前期末比5,955百万円増加の38,634百万円となった。親会社株主に帰属する当期純損失13,675百万円の計上があったものの、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金をそれぞれ8,747百万円計上したほか、のれんにかかる為替換算等により為替換算調整勘定が2,150百万円増加した。 2021年12月期末の現金及び預金は17,899百万円となっており、2022年12月期の事業活動資金については確保されているものと考えられる。2023年12月期以降は各開発パイプラインの進捗や導出状況等によるが、必要であれば新たな資金調達を検討していくものと見られる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《SI》
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時価総額 8,395百万円
大阪大医学部発のバイオベンチャー。遺伝子医薬やDNAワクチンのバイオ医薬品を開発。受託数の順調増で手数料収入は伸長。研究開発費は減少。23.12期通期は損益改善。24.12期は大幅増収、損益改善計画。 記:2024/03/05