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巴川紙 Research Memo(1):電子材料事業を核に成長推進。新たな成長と企業体質変革の同時実現を目指す

2022/3/22 16:01 FISCO
*16:01JST 巴川紙 Research Memo(1):電子材料事業を核に成長推進。新たな成長と企業体質変革の同時実現を目指す ■要約 1. 「電気物性評価技術」を生かし特殊紙製品を原点に抄紙、塗工、粉体、粘・接着分野の新技術を生み出し成長 巴川製紙所<3878>は、初代社長井上源三郎(いのうえげんざぶろう)氏が電気絶縁紙の国産化の志を抱き、一片のドイツ製見本を手掛かりに1900年初頭より研究開発に着手しこの国産化に初めて成功、1914年6月に現在の静岡市清水区に巴川製紙所を創設し、電気絶縁紙、電気通信用紙の研究試作を開始したことに始まる。その後、電気物性評価技術、抄紙技術、粉体技術、塗工技術、粘・接着技術を生かし 、数々の製品を創出し成長してきた。しかし近年は産業構造の変化や、大型設備投資のタイミングの悪さなども影響、既存事業の収益低迷から長期間の企業成長の停滞を余儀なくされた。そこで改めて「抄紙、粉体、塗工、粘・接着」技術に磨きをかけ、「熱・電気・電磁波」を制御する製品群「iCas(アイキャス)」の拡充や環境関連を中心としたSDGsに対応する「グリーンチップ」ブランドとしての製品開発も進め、時代の最先端分野である高機能性材料分野へと領域を広げて企業変革を目指しており、既に祖業である洋紙事業は2021年3月期の売上比率で10%以下まで減少している。足元では新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)による生活行動様式の変革などから、一時的に収益低迷を余儀なくされたものの、ここにきて収益の回復が加速しつつある。 2. 2022年3月期第3四半期の連結業績は10.8%増収、営業利益の大幅増により黒字転換 2022年3月期第3四半期の連結業績は売上高24,254百万円(前年同期比10.8%増)、営業利益1,641百万円(同681百万円の損失)、経常利益1,992百万円(同513百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益1,458百万円(同1,478百万円の損失)となった。この第3四半期は、2021年3月期後半に回復した半導体関連事業が引き続き好調を維持し、トナー事業も堅調な受注が継続するなかで、2ケタ増収を確保した。利益面では、上期の好調を支えたスマートフォン向け光学フィルム案件は一巡するも、半導体関連事業やトナー事業が引き続き利益を確保、生産性向上や原価低減などもあり原価率が改善し、加えて円安もあり利益が大幅に改善した。 3. 2022年3月期予想は10.5%増収、営業利益1,800百万円と3度の増額修正、配当も15円復配に 2022年3月期通期の連結業績は売上高34,000百万円(前期比10.5%増)、営業利益1,800百万円(前期は15百万円の損失)、経常利益2,200百万円(前期比15.2倍)、親会社株主に帰属する当期純利益1,800百万円(前期は1,152百万円の損失)を予想している。期初計画に対し3度の増額修正となり、期末配当15円も打ち出し3期ぶり復配予定とした。 4. 新中期経営計画(2026年3月期売上高36,000百万円以上、営業利益2,000百万円)は前倒し達成視野に 同社は2021年5月に新中期経営計画を策定し、2026年3月期の売上高36,000百万円以上、営業利益2,000百万円、新製品売上比率を16%以上に高めることを目標として掲げた。進捗については、2022年3月期業績予想が3度の増額修正となっており、既に営業利益予想が新中期経営計画目標の9割水準に達する見通しから、前倒しで達成する可能性がある。成長の核となる半導体、電子部品、さらには環境配慮型製品群の拡大により、新たな成長機会をいかに取り込んでいくかが今後のテーマとなるだろう。 ■Key Points ・2022年3月期予想は10.5%増収、営業利益1,800百万円と大幅な黒字転換となり、配当も15円復配へ ・電子材料事業を核に成長を目指しつつ、事業ポートフォリオの転換を図る ・新中期経営計画の2026年3月期に営業利益2,000百万円を目指す計画は前倒し達成視野に、新たな成長期へ (執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘) 《EY》
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1914年創業の高機能性材料メーカー。電気絶縁紙を初めて国産化。現在はトナーや半導体実装用テープ、光学フィルム、カード製造等を手掛ける。半導体製造装置向け新製品「フレキシブル面状ヒーター」は引き合い多い。 記:2024/06/25